自分の顔。
自分の顔が嫌いだった時期がある。
"時期がある"ということはじゃあ今は好きなのか。
そんな疑問が浮かぶ方もいるかもしれない。
だがそういうことは直接語らず読者に読み取らせる方がかっこいいので、今回はあえて言わないでおくことにする。
嫌いだった要因は、別にブサイクとかではない。
どちらかというとブサイクいじりをされてきた方ではあるが、それはキャラのせいで顔面がそこまで崩れているとは思っていなかったからだ。
ただ、決してイケメンではない。
なんというか、よく見かける印象に残らない顔だと思う。
昔から「こないだ〇〇にいた?」とか「〇〇で遊んでたやろ」と、俺はそこにいなかったのに謎の目撃情報を報告されることが多い。
似たような顔の人が多いのだと思う。
俺が普通の仕事をする人だったらその程度気にすることはなかったのだと思うが、俺は芸人である。
とてつもないイケメンか、とてつもないブサイク。
芸人の顔は、平均的な顔から逸脱すればするほどいい。
人に覚えてもらうためには何かインパクトがある顔の方がいいのである。
とんでもないブサイクは社会的にはかなりのハンデだが、芸人的にはかなりのアドバンテージだ。
努力ではどうにもならない"才能"である。
もちろん顔にインパクトが無くても売れている芸人は沢山いるが、ある方が得だというのは変わらない。
俺にはその"才能"がなかったのだ。
普通の髪型をしてしまうと、あまりにも普通の人になってしまうからロン毛にしている部分もある。
色んな人に似ていると言われていたが、ある日気を遣ってくれた人が「野村周平に似てるね」と言ってくれた。
当時『恋仲』がやっていた最中だったので、俺は野村周平の髪型を真似して寄せに行くことにした。
その結果、何故かかまいたちの山内さんに似てしまった。
髪型も当時の野村周平とほぼ同じで、さらに俺は太っていたので山内さんの方に似てしまったのである。
これだけ自分の顔が芸人向きではないと言ったが、山内さんはめちゃくちゃ売れている。
そんな人に似ているのだから、顔は関係なく売れることはできるのだろう。
最近は痩せてロン毛になったので山内さんと言われることは減ったが、最近野村周平がロン毛になったので今度こそ野村周平に似てきた気がする。
今回はむしろ野村周平が俺に寄せてきた形である。
野村周平がもう少しなにかのドラマでブレイクし、名フレーズを残してくれればモノマネでテレビにも出られそうだ。
がんばれ野村周平。
おしまい。