時間制限が逆に効果的な話。
やぁ、いらっしゃい。今日も寒いね。風邪ひいてない?
いやほんとにね。寒い。
寒いと言っても解決しないんだけど、これ辛いよ。
足がね、冷える。全身厚着で防寒完備。
でも指とか顔とか露出部分がね、超えられない壁だよ。
暖かくなってほしいなぁ。
小規模飲食店。
飲食店って何だかんだよくオープンしてるね。
もちろん、その分よく閉店もしてる。
こればっかりはまぢ難しいんだろね。
元々地域密着で頑張ってるお店とか。
常連さんに支えてもらってる運営。
物価高とか、光熱費の高騰で提供価格維持がそもそも困難。
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値段上げたらいいのに、常連さんも状況くらい分かってくれると思うんだけどな。
それでも一徹して価格据え置き。
上がる原価と販管費周り。
圧迫されていく経営、そして閉店。
まぁ、気持ちは分かるけどね。
いつまでも昔のままじゃいられない。
きっとそれが今の日本なんだろうね。
不動産所有。
S氏はやや変わったビジネスモデルを展開。
小さい戸建て物件を持っていて、立地も悪くない。
家賃としてはかからないのでその辺りはやや気が楽。
長時間の労働を好まないタイプで、合理的な考え方の持ち主だね。
業態は飲食店。
普通に考えたら合理的なビジネスカテゴリじゃないよね。
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知り合ってから5年ほどになるのかな。
ちょうどコロナの前くらい。
物件を余していて、何か使う用途とかないか相談されていた頃。
これをやりたい!
という強い願望もないので、色々提案する。
飲食店はちょっと出来たらいいよねってくらいの手応え。
ということで、程なくその方向になる。
営業時間。
飲食店として勝負どころはやっぱし夜だよね。
お酒が出て、ズルズルいてくれれば客単価も上がる。
ただ、この提案は普通なのでしない。
というより、S氏の性格的に普通の業態だとビミョーな顔をしてきそう。
そこで夜のディナータイムは賃貸する。
ランチタイムだけ何かやってみないかという方向性。
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提供するランチメニューは超限定。
1日50食のみ。
そんな感じで区切るようにする。
単価は1,500円ドリンクが出れば200円増。
というより、大体出るよね。
客単価1,700円。50食。
1日の上限売上は8.5万円。これ以上は欲張らない。
土日祝は休みで、徹底してビジネス層狙い。
ディナーでも使えるお店なので、狭いということもない。
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15時には完全撤退。
ディナータイムのお店に場を引き継ぐ。
このモデルのいいところは、まず入居者が決まれば家賃収入が確定。
そして、「50食分しか作らないから仕入れも限られる」。
毎日同じじゃつまらないので、定められた原価で作れるものを決めていく。
ビジネス街となれば、普通に50食くらいは掃けるもんさ。ランチタイムなんてどこでも並んでる。
ペースを掴んでいくと、S氏は手応えを感じていく。
コロナ禍。
多くの人を絶望に落とし込んできたパンデミック。
世の中から人がいなくなったんじゃないかと言うほど、人通りはスッキリしていたね。
とは言え、ビジネス街から人がいなくなった訳ではない。
人は生きていればお腹も減る。
ランチタイムは確かに人は減ったものの、確実に来るお客さんはいた。
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逆にライバル店の多くが早々に店じまい。
ランチは儲からないから、夜に全力を注ぐ店も多い。
そんな中、S氏の店はやたら当たった。
ランチのみ、かつ数量を限定しているという発想が目を引いたのかSNS経由でも来る人は多くいた。
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普段、混んでいて売り切れの印象があるだけに「今ならいけるかも」というお客さんだっている。
もっと製造を増やせば売上も上がるが、S氏はものぐさ。
そして50食という限定にポリシーも根付いていた頃。
変わらず、毎日完売。
お店は流行り、その流れでディナータイムにも恩恵はあったそう。
賃貸ロスもなく、うまくコロナ禍を切り抜けていく。
バイアウト。
S氏は一しきり現場を楽しんだ。
ということで、コロナ禍が終わってから程なく店舗譲渡をする。
元々不動産や投資などでそこそこの安定収入。
道楽もほどほどに、という考えだそう。
実際、好条件で売買も成立。
別に100食にしようが、2,000円にしようが好きにしたらいい。
自分としては昼と夜の家賃を払ってもらえればそれがベスト。
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時間貸し、と言えばいいのか。
結果的にS氏としては御の字の形で幕を閉じた。
今でも元気に営業しているみたいだし、いい案だったね。
欲を抑えることが出来れば現実的なビジネス。
S氏とは今ではあまり会うことも無いが、時々案件が来たりする。
これくらいの距離感の方が良いもんだね。
これから。
頑張ろうと一生懸命努力する経営者は多い。
いや、経営者に限らずだね。
その努力の方向性がシビアな時代に突入している。
今までのような物量押しの根性論が通じるジャンルは徐々に衰退。
合理的な考え方と、自身の自由な時間の確保。
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この上で収益が乗ってくればそれは正しい。
恐らく時代の流れと共に、これも衰退して新しいものにもなるんだろうね。
世の中は流れ、常に変化している。
結果的に、変化に対応出来なくなった頃。
新しい流れに飲まれていく。その繰り返し。
これからも頑張っていこ。
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