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ERP3.0の実現を目指すリチェルカに投資した理由

株式会社リチェルカの出資担当、ジェネシア・ベンチャーズの黒崎です。ベンチャーキャピタリストとして、最新テクノロジーの恩恵を広くあまねく世の中に浸透させたいという想いを抱きながら、日々投資活動に従事しております。このnoteは投資実行に至るプロセスやポイントなどを投資家サイドの視点でまとめたものです。それでは早速ご覧下さい!


出会い

リチェルカ社との出会いは昨夏まで遡ります。エンジェルラウンドでの資金調達ニュースを発見し「ワークスアプリケーションズのトップ営業×SaaS企業の執行役員CRO経験×SCM領域での起業」というtoBの玄人感全開の事業テーマがあまりにも自分好み過ぎたため、すぐに共通の起業家の知人にお繋ぎ頂き、東麻布のオフィスに訪問しました。

入ってみると、theベンチャーの雰囲気。マンションの1室に5-6名が集まり背を向けてPCに向き合っている。寝袋もある。そんな中で初めてCEOの梅田さんと対面しました。第一に記憶に残っているのは打ち合わせ時間の60分の内、57分は梅田さんが喋っていたという事実w。自身の事業構想とVisionを熱く語る時間を過ごし、すごい気概の起業家を見つけてしまったと興奮冷めやらないまま帰路につきました。シードラウンドの投資の意思決定において、ジェネシアでは事業領域の有望性に加え、起業家個人の成功への貪欲さや欲求の大きさが議論の対象になります。社内では欲求のタンクという言葉で良く表現されるのですが、梅田さんはまさにタンクの大きさを体現している様な起業家でした。

その後も定期的に連絡を取り合い、時にリチェルカの展示会に顔を出したりしていました。そしていざ社内稟議を上げるために大宮のリチェルカ拠点に赴き、現場視察やメンバーの皆様とのご挨拶をする機会を頂きました。正直、投資家が来たら基本的には自分達のポジティブな面を中心に表現し、リスクに繋がる回答はオブラートに包みつつも資金調達完了までつつがなく進めていきたいものだと思うのですが、リチェルカの場合は全くそうじゃない。全体で議論を重ねていく中で、当時の仮説・方向性に対してメンバーがフラットに意見を言い、喧々諤々の議論が進み徐々にヒートアップしていきました。2-3時間ほど議論が続き、結局その場で結論は出ず、後日整理を行い無事投資実行には至ったのですが、振り返ると「誰が」でなく「何を」言うかを大切にしているリチェルカのオープンコミュニケーションの文化が分かりやすく表現されたイベントだったと捉えています。その意味で頼もしい印象すら覚えた出来事でした。

事業内容

一言でいうなら「生成AI搭載型・SCMSaaS」を提供しております。起業経緯や事業内容については、梅田さんや取締役の幸田さんのnoteに非常に分かりやすくまとまっているので、是非下記をご覧ください!

リチェルカ社資料より引用

資金調達リリース

起業した経緯(CEO・梅田さんのnote)

リチェルカのチャレンジ領域(取締役・幸田さんのnote)

投資家視点でのポイント

投資家視点で今回の投資実行に至ったポイントや論点を数点記載します。

①All in Oneの需要

この10-15年のSaaSの勃興により様々な領域でSaaSの利用が普及しました。SaaSは機能性・使用性に優れている一方、限定範囲でのモジュール提供にフォーカスすることでそれらが実現した側面もあり、業務の全体カバレッジをシステムで実現する際には既存システムと複数SaaSを利用しながら、それらを連携・活用していくことが今後必要になってくるのではと捉えています。このシステム設計はユーザ視点だと相応に実装難易度が高く、結果的に多くの企業でSaaSの部分的利用は進めども、隙間部分はエクセルやマニュアル作業でカバーする状況が依然残っていると認識しています。
それらの状況を踏まえ、今後新興ベンダーに求められるのは、部分最適の機能提供に留まらず、様々な顧客の業務オペレーションを網羅的にカバー出来る「All in One」プラットフォームの様な位置付けのサービスになるのではと予想しています。

黒﨑ブログ「エンタープライズIT市場にSaaSはどう関わるか?」の画像利用

機能モジュール自体は出来る限り該当ベンダーが開発を行いつつ、カバー出来ないエリアにおいては、他社システムとの連携を前提にアーキテクチャを設計していく柔軟性のあるPaaSプラットフォームに近いモデルのイメージです。
リチェルカ社は同様のトレンドを意識しながら、従来のSaaSの発想を超えたプロダクトラインナップを提供する存在であり、この点時流を捉えたビジネス展開が出来ると想定しています。

②事業承継でのドッグフーディング

今回のSCM構想はデスクトップリサーチから入ったものでなく、梅田さんがバイクの輸入業者を事業承継し、リチェルカのチーム全体で同事業を運営する中でまざまざと感じたBurning Needsそのものです。
他の流通・製造事業者においてもニーズが存在し得る点は確認出来ており、それらを解決するソリューションにおいても自社で実利用することで現場に即した実践的なプロダクト開発を行う環境が既に存在していた点も投資において重視したポイントとなります。

幸田さんブログ「RECERQAという◯◯」より引用

③高い営業力を基軸にしたチーム

ERPライクなシステムを展開していくに際して、当然システムの複雑性から開発難易度は高く優れたエンジニアが必要です。ただそれ以上に経営チームの必須要件として営業力が挙げられると思っています。
ERPはその全体像が非常に複雑であり、大手ベンダーであれば全体機能を把握している社員はほんの一握りで、多くの社員は1つか2つのモジュールの構造理解に留まっていると話を聞きます。
この規模のシステムを販売していくに際して、重要な要素は細かな機能を把握し具体的な役務提供の内容や範囲を伝達するのではなく、ERPを導入することで経営観点でどの様な変革や示唆を提供できるのか、幾分抽象度の高いレイヤーでのVisionSellingの要素だと捉えています。
梅田さん、幸田さんを始めとしたチームリチェルカはこの点充足している稀有なチームである点も投資に踏み切れた要因でした。

④生成系AIのトレンド

生成系AIはシステム開発の現場に既に応用が進んでおり、徐々に開発の上流に遡って活用が進んでいくものと想定しています。ERPのモジュール開発、及びモジュール間のデータ連携等は引き続き複雑性が高く開発難易度は高いですが、生成AIの技術トレンドによって開発作業の圧倒的な効率化が想定されます。
技術におけるパラダイムシフトも新興ベンダーが伝統的市場に進出する上でキーとなる要素となりますが、AIinside出身の技術者が集まっているリチェルカであれば、技術を適切に理解し、プロダクトに応用していく素地が整っていると感じています。

リチェルカ資料より引用

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