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基礎研究の多様性は将来のビジネスの源泉
面白い記事があったのでご紹介します。
「基礎研究はもうかる」というキャッチ―なタイトル。
この記事の中でとても印象深かったのが以下の部分。
VCとのつながりの中で強く感じたことがあります。彼らは基礎的な研究成果に一番のビジネスチャンスがあると思っているということです。
原理的に競争相手が存在していないことや、無数の応用が将来に広がるためです。そして、有望な技術を見極められる目利きの人たちがたくさんいる。
これはその通りだと思います。
ここに書かれているように原理的に競争相手が存在しない新技術や新用途の場合は本当にビジネスになると思います。
だからこそ、企業にはBD部門があって、色々なシーズや提携相手をそれこそ血眼になって探しています。
なのに、、、、
日本ではむしろ基礎研究は何の役に立つか分からないって風潮
確かにこれはそうで、私が研究の世界いた10年以上前もそんな感じでした。
私が居た分野が医学と近い免疫学であったこともあるとは思いますが、何かしらの免疫応答メカニズムの解明を目指しつつも、その解明によって何かしらの病態を改善するような意味合いがあるのかと言った事をまるで免罪符のように書いていたように思います。
何に役立つのかって視点は大切だと思いますが、それを追い求めすぎると研究の裾野(多様性)が急速に狭まってしまいます。。。
富士山のように広大な裾野があることがサイエンスには大切なのに、最短ルートで山頂に登ることのみに、特に国がフォーカスしてしまうと、サイエンス全体が萎むのは目に見えています。
以下の記事でも書いたのですが、日本を見てみるとサイエンスの多様性が少なくなってきていて、新分野へのチャレンジが減ってきています。
新分野への挑戦が日本は少ないという点です。
記事によると、多くの研究テーマがある中で日本のテーマカバー率が低いとしている。米国が91%をカバーしているのに対し、日本は32%。
日本より研究者が少ない英国やドイツは、日本よりカバー率が高い。
そのため日本では同じような研究分野に人が集まっているとしている。
そして研究の多様性が低下している理由として、
以下3点をNISTEPが報告しています。。。。
・一時的な流行を追った研究の増加
・新しい研究領域を生み出すような挑戦的な研究の減少
・新たな研究テーマを見出すための探索的な研究の減少
研究の多様性を絞る場合は、短い間は蓄積した知見でやっては行けるものの、長期的にみると尻すぼみになります。
これは日本という国の産業という視点で見ると、国力が低下する要因の一つとなります。これに付随して、今も起きていますが、研究者の海外流出も起きて負のスパイラルまっしぐらに。。。
基礎研究の裾野の広さこそビジネスの源泉であると確信している人たちからするとこのような日本の状況は嬉しいと思うでしょうね。
で、この記事で一番に恐ろしいなぁと思った一文がこれ、、、
基礎研究を軽視する日本の風潮を海外は喜んでますよ。
そうですか、それは良かったと。
なんだか悔しくなってしまうこの一文。
自分が出来ることはなんだろうと考えています。
サイエンスやテクノロジーが分かってビジネスが分かる人たちが私の知り合いにもいます。その人たちは大分前からこの話をしていました。
そしてこの一文と関連する突き刺さる話を私の知人はしてくれています。
例えば新しい治療薬に繋がる研究が実際に商品として出て行く場合に、
患者さんからしたらそれが外資だろうが内資だろうが関係がなく、
一刻も早く出してくれる企業こそが求められていると。
世界という観点から言うと、オールジャパンなんて小さい世界での話なんかしないで、世界中の多くの企業と一緒に世界中の患者さんに新しい治療薬を一刻も早く届けると言う原点に立ち戻るのが筋だと思う。
サイエンスはもうかる。
日本にはそれをやる人がいないと書いてありましたが、
私にはそうした方々が増えてきていると感じています。
少なくとも私にはそれをやっている人を数名知っています。
でも確かにその方々は外資系の企業にいる人が多いのは確かかも。。。
でも、その方々は口を揃えて言うのは社会が必要としているものをなるべく早く世に出したいってことなんですよね。
これはもう日本とかって話ではないと私も感じています。
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