ザ・再生医療って適応症で承認

まさに再生医療って感じがかなりする製品が承認されます、
しかも先駆け審査指定制度*を利用しています。
（日本として気合いを入れてやる再生医療製品だぞってこと）https://www.nipro.co.jp/news/document/181122.pdf

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38044750R21C18A1000000/

*先駆け審査指定制度https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai18/siryou4.pdf１．治療法の画期性： 今までに実用化されたことのない画期的な仕組みでできている。２．対象疾患の重篤性： 生命に重大な影響があり根治療法がない疾患を対象としている。３．極めて高い有効性： 既存の治療法に比べ有効性の大幅な改善が見込まれる。４．世界に先駆ける： 日本で早期開発・申請する意思を持ち、そのための体制が整っている。

これまでの再生医療関連製品の概要（社名、製品、適応）

＜J-TEC＞
ヒト（自己）表皮由来細胞シート（ジェイス)
→重症熱傷と先天性巨大色素性母斑

ヒト（自己）軟骨由来組織（ジャック）
→膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎＜JCRファーマ＞

ヒト（同種）骨髄由来間葉系幹細胞（テムセルHS注）
→造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病（急性GVHD）の治療

＜テルモ＞
ヒト（自己）骨格筋由来細胞シート（ハートシート）
→虚血性心疾患による重症心不全

＜ニプロ＞
ヒト（自己）骨髄由来間葉系幹細胞（ステミラック注）
→脊髄損傷に伴う神経症候及び機能障害の改善

今回のニプロからの製品は、
再生医療等性製品としては国内5品目となります。

細胞の種類としてはJCRファーマと同じ骨髄由来幹細胞、静脈内への点滴投与ですが、最大の違いは自己の細胞であることと適応症です。

JCRの製品を除いたほかの製品は、
移植する組織を使うかもしくはその組織に分化させたものを使用し、
移植した皮膚や心臓がきちんと機能するのを助けます。

一方で、JCRの製品は、再生医療等製品という括りにはなりますが、適応症がGVHDの抑制と「再生医療」と言うイメージとは遠いかなと思います。

もう少し部会での承認状況のまとめは以下になります。

これはニプロが札幌医科大学と共同開発したもの。用いる間葉系幹細胞は、神経や血管に分化する能力を持つ。患者の骨髄液から採取した間葉幹細胞を培養、体内に静注により戻すことで神経が再生し、脊髄損傷に伴う神経症候や機能障害の改善が期待される。ニプロが６月に承認申請した。先駆け審査指定制度の対象で、同制度対象の再生医療等製品としては第１号の承認となる見通しとなった。

https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/65644/Default.aspx

今回のニプロの製品は、脊髄損傷を治療する製品という点で、

ザ・再生医療

だと思っています（私見）。静脈投与した幹細胞が神経細胞に生体内で分化し、神経を再生させるのが主目的となり、

まさに再生医療の王道という感覚があります。
この疾患は、交通事故などによる外的損傷により脊髄が傷つき、車椅子の生活になったりするのを防ぐことが可能となります。

ちょっと私の話をすると、以前にいた製薬会社では海外からの導入品（自己脂肪組織由来幹細胞を使ったとある治療薬）の国内への技術移転やPMDAとのやり取り（治験相談など）をしていました（2010年ごろ）。

脂肪由来幹細胞も骨髄幹細胞と同じ間葉系幹細胞で色々な細胞への分化能があります。色々な企業が色々な部位からの幹細胞を利用して、製品化を目指していました。

当時色々とPMDAと議論があったのは、培養に使う牛血清、組織を溶かすコラゲナーぜ、細胞の同等性、ガン原性とかとか。

まだまだ固まった分野ではなく、
かなりの議論をしたなぁって思い出があります。

今はどうなっているんでしょうね。とにかく私たちにとって治療の選択肢が増えるというのは、

本当にありがたいことです。

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