医薬品の再就職「ドラッグリポジショニング」
この記事の締めくくりはこうあります。
武田薬品工業はアイルランドのシャイアーを約7兆円で買収することを決めた。世界の製薬各社は薬のタネを求めて高額での企業買収を競うが、実は自社の足元に眠れる宝が埋まっている可能性もある。それを丁寧に掘り返すことも製薬会社が生き残る道だ。
この締めくくりこそ、これからの新薬開発に不可欠な考え方を端的に表している。希少疾患の場合は特に、研究材料がほとんどない場合が多い。
そこで、希少疾患患者の細胞由来のiPS細胞を使えば、新しい病態モデルの構築が可能となる。そのモデルに色々な薬剤を投与し良い反応があれば、
希少疾患における薬剤開発に道が開ける可能性が高まる。この際に使用する薬剤は、記事にあるように特許切れの薬剤も多く用いられる。
こうした既存医薬品の新しい用途を探すことを
ドラッグリポジショニング
と言います。
医薬品の再就職とも言える手法です。先ほどの希少疾患での説明の時のような場合のみに、ドラッグリポジショニングが適用される訳ではありません。
例えば、乳がんについては基礎から臨床まで多くの研究があります。
乳がん研究においては、どのような発症メカニズムであるかといった話から、医薬品の効果と患者の遺伝子型といった情報まで多岐に渡ります。
こうした情報を機械学習といったAIを駆使することによって、点在している様々な科学的なデータを関連付けることが可能となっています。
それによって乳がんという疾患に関わる遺伝子やタンパク質の関係性を把握し、病態の全容(パスウェイ)を統計的に推定することができますし、その中でキーとなる標的分子がどれなのかも推定可能です。
この病態のキーとなる標的分子(主にはタンパク質)へ作用する既存の医薬品は、すぐに見つけることができますし、まだ医薬品の開発がない標的分子を見つけることも出来ます。
特許が切れている医薬品はすでにヒトにおける安全性試験(フェーズ1)をもちろん完了しているため、
安全な医薬品として利用ができますし、臨床試験においても後期開発段階のみですむ可能が高く、時間とコストを大幅にカットし、製造、流通においてもアドバンテージを享受できるのが魅力です。
こうした方法はまだ日本国内では多い印象ではありませんが、開発パイプラインの少ない中〜小規模の製薬企業では取り組みやすい施策だと思いますし、実際に海外ではそうした取り組みが多く報告されています。
世界から見ると、創薬研究から医薬品製造まで一貫した経験をもつ日本の製薬企業のポテンシャルは実は高い。
こうした日本の製薬企業の持つ特性は、ドラッグリポジショニングを取り入れやすい土壌が整っていると感じています。
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