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また、走ってみないか?(6)

今の自分の現状を冷静に把握する。
自分の肉体の状態、自分のランニングに費やせる時間の問題、そして、走る環境。

走る環境は、10点満点中10点。そりゃそうでしょ、セントラルパークから走って5分ですよ。セントラルパークは、1周を信号なしで10キロ近く(6マイルループ)走れるコースがある。それをショートカットできるルートもあるので、色んな距離を作れる。その他にも、ブライダルパス(馬車道)と呼ばれる不整地コースもある。ここは、木々に囲まれた、夏は日陰を作ってくれるコース。また、一周2.5キロ程度の貯水地コースもある。こんな環境だから、年がら年中、朝から晩までランナーに溢れている。これ以上の環境は世界中探しても中々ないだろう。

次に、自分のランニングに費やせる時間。社会人は仕事が重要。ハイハイ、わかってますよ。駐在で来てますから、会社へ貢献は必須。日々、集中して、やってますよ。でも、日本にいる時より、ずっと、楽なんです。周りのアメリカ人が夕方5時で、サクッと帰るし、コンプライアンスの威力か、上司、先輩たちも若手を誘うのを恐れているらしく、飲みニケーション文化も見事に消えている。週末はほぼ100%自分の時間。と、言うわけで、8点をつけたいけど、英語での業務にまだ慣れておらず、時間が掛かる。それを考慮して、7点ってところか。だけど、つまり、慣れたら、自分次第で、もっと点を上げられるってことだな。

最後に、今の自分の肉体の状態。実は、これが一番の懸念事項。社会人になってからも、定期的に、ジムに通って、筋トレしたり、時間があれば、ジョグはしていたけど、何か目標に向かって、トレーニングをするなんてことは、駅伝部を引退して以来、全くしていない。
そうか、僕は、肉体もだが、自分のメンタルも、もう一度、鍛え直さないといけないかもしれない。長距離走は、長くなればなるほど、メンタル勝負の競技でもあるのだから。

それにしても、監督に指導されることもなく、部を背負うなんてプレッシャーもなく、自分でメニューを考え、自分のためだけに走るなんて、なんか妙な感じだ。気を抜くと、楽な方に自然と向かう。なるほどな、無理矢理させられていたことが、実は、自分の力になっているなんてことでもあったんだな。あの胃の痛くなるようなプレッシャーも、自分を強くすることに繋がっていたのだと今更ながら気づく。そんな日々が、自分の仕事でも生かされているようにも思える。同期の新入社員が、辛い、やめたいと嘆く新人研修も、昭和上司の暑苦し過ぎる叱咤激励も、そして、何より、よく分からない無駄とも言える事務の単純作業も、僕にとっては、慣れ親しんだもの。無になって、目の前の物事をこなす能力は、見事に高い。

もしかしたら、精神力に関しては、この8年間の会社員生活で、前より鍛えられているかも?
飛び出したい気持ちを抑え、戦略通りに、ペースを刻む。状況に応じて、臨機応変に対処する。
大人の対応ってやつが、意外に長距離走に向いているかも。

そんなことを考える時間も楽しい。

さて、準備運動も終わったし、走りに行くとしますか。

(続く)



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