【読書メモ】新 物理の散歩道〈第3集〉(ロゲルギスト)【#49】
第2集を読んだのは、もう1年以上前です。やっと、第3集を読み終わりました。おそらくどういう本か知っている人は少ないと思うので、詳しく紹介します。
まず、著者が「ロゲルギスト」となっています。ロゲルギストについては、まえがきに書いてくれてあります。
それぞれの記事を異なる人が書いているので、目の付け所や、どこまで物理を深く解説しているかに個性が出ていて面白いです。基本的に物理の話なので小難しい数式や図で解説していますが、それなりに読み飛ばしても楽しめます。ちょっとでも科学的な話に興味があればオススメです。
どんな話が書かれているかというと、次のような項目です。
「眼の中にただようゴミ」では、たまに見える、空中に浮かんで、見ようとするとぴょんぴょん逃げてしまう、あのゴミです。まず、あの物体をスケッチして、眼の構造を考えて、ゴミがどこにあるのか、焦点距離を計算して、それが現実的なのか、などなどを考察しています。
「魚はなぜ銀色か」では、鱗の構造から、薄膜の光の干渉や、反射について色々書かれていて、高校の時の物理を思い出しました。
「コマはなぜ起き上がる」の中にとても感銘を受けた部分があったので引用します。
かなり良いところまで計算が進んで、解説もしていたのに、最後の最後にもう一度矛盾しているところをちゃんと受け入れて、検証しなおすという、現実に対する謙虚な姿勢がとても勉強になりました。
自分が関わっている業界でも、最後の最後に矛盾に目をつぶって、データの改ざんや隠ぺいをする人たちが、数年に1回くらい出てきます。出てくるというか、あとでバレて小さく話題になります。
しかし、科学の世界は、基本的に実験を誠実に行われているという性善説に基づいているようなので、バレずに闇に葬られているデータ改ざんもたくさんあることと思います。
実際に、僕が知っているデータ改ざん事件も、偉い教授が関わっているとかなんとかで、闇に葬られてしまいました。論文も取り下げられずに、今でも検索に引っかかってきます。(その教授が死んだら、しれっとブログとかに暴露記事を書いてやろうかと思ったりしています。エヘヘ。)
ということで、現象の解釈に謙虚さのない、つじつま合わせしているだけの自称科学者をたくさん見ているだけに、こういう謙虚な探求姿勢を忘れないようにしたいと思います。
おわり