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広島の被爆樹木を観てきました

 8月の投稿記事「長崎原爆資料館訪問記」に少し紹介しました広島の被爆樹木を観て来ました。

 広島市の被爆樹木リストからいくつかを選択して、市内を散策しつつ観てきました。その中から4本の被爆樹木の内容を紹介します。

 来年2025年は、終戦(原爆投下)から80年めの年です。戦争体験者が年々少なくなっていく中、被爆樹木は歴史を次世代へ伝えるための大切な存在だと思います。広島市では被爆樹木をリスト化し樹木の保護、案内板の設置等をしており、そのおかげで私も容易に観察する事ができました(草や葉に隠れている案内板もあり探して見つけたものもありました)。観察した感想としては、長い年月が過ぎていても説明板を読み実際の被爆樹木を観察することで過去の歴史を感じ想いを馳せることができるということです。皆さんも広島へ行かれることがあれば、是非、たとえ一本でも被爆樹木を観に行って欲しいと思います。

【1】クスノキ①
 見出し写真のクスノキです。広島城の西にある市営住宅の駐車場の脇に立っていました。爆心地から1,090mと近い位置なのによくぞ無事だったなあと思いながら背の高いクスノキを見上げました。木の周りをゆっくり歩きながらクスノキを観察したところ、確かに少し傾いていました。下の写真の左方が爆心地で幹が途中から左に傾いているのが分かると思います。爆心地側の幹は熱風と放射線でダメージを受け成長速度が幹の反対側に比べて遅くなり幹が爆心地側に傾いたと推察されます。私がよく観る元気なクスノキと比べると高さは立派ですが枝の張りと樹形はあまりクスノキらしくないように感じられました。

クスノキ①爆心地側に傾いた幹


【2】クスノキ②
 ①のクスノキから南西へ5〜10分ほど歩いた位置で、これもまた市営住宅の駐車場の端に被爆クスノキは立っていました。

クスノキ②

 このクスノキは上の説明板に書いてあるように傷痕がハッキリと確認できました。傷のある幹は枝も葉も少ないですが、その幹の周りを新しい幹が覆い元気に育っているように観えました。但し、このクスノキも①のクスノキ同様で背は高いものの枝張りと樹形が通常のクスノキと比べると少し差異を感じました。

クスノキ②幹の傷痕

【3】エノキ
 広島駅から徒歩約10分の川端の緑地に被爆エノキは立っていました。

エノキ

 最初見た際は立派そうに観えたのですが、説明板に「幹の爆心地側が平らになっています。」と書いてありました。よく観ると確かに幹の一部分が平らになっていて驚きました。平らな幹というものは常識的にイメージがないので本当にビックリしました(下の写真の青丸で囲った部分が平らになっていました)。

エノキ(青丸で囲った部分が平らになっている)


エノキの全景(全体的には立派な樹木、複雑に曲がりくねった枝が印象的)

【4】イチョウ
  広島駅から西へ徒歩約20分の縮景園という公園の中に被爆イチョウは立っていました。種が国内、海外に贈られて被爆樹木2世として育てられているそうです。

縮景園の被爆イチョウ

 爆風で傾いたイチョウです。しかし、スマホの地図でチェックしたところどうも爆心地の方に向かって傾いていました。後で調べたところ、「爆心地からの爆風が過ぎた後、気圧が低くなった爆心地に向かって凄まじい勢いで風が吹き返した。イチョウはその風を受けて今の形になった。」ようです。縮景園は400年の歴史があり園内には多くの樹木があったそうですが、原爆後に芽吹いた木は数えるほどだったそうです。


縮景園の被爆イチョウ(幹に傷痕もある)

 色々なことを感じさせてくれる被爆樹木でした。戦争のない平和な世界になりますように。

以上