連作短歌九首

人心の
指向性をぞ
見るならば
私は真理
さとりたるなり

この世の苦
逃れる道を
選ぶなら
なに一つとて
恐るることなし

苦を得ては
苦しみぬいて
叫ぶとき
夢は戻りて
我を生かさん

人心
想像すれば
分かるはず
私の心も
伝わるものぞと

分かり合い
私と人とが
通じると
願い来りて
かなうときかも

約束を
したはずもなし
いたづらに
声を断っては
ならぬとぞ思う

言葉など
思いを止める
こともなし
我が思いこそ
光り輝く

人心の
美しさのみ
求めいて
私は自己を
分からずにいる

さとるとき
心の限り
悲しみて
人の生をぞ
至上と見たり

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