《感想》アガサ・クリスティー著『謎のクィン氏』/第五回「クルピエの心情」
クルピエ:ルーレットなどのカジノゲームを進行する人
アガサ・クリスティーについておさらい
アガサ・クリスティーは、1920年代から
1970年代まで活動していた作家さんで
『謎のクィン氏』は1930年発表の12篇からなる
正体不明なクィン氏と 人生の傍観者サタースウェイト氏
不思議なコンビの短篇集です
傍観:そばでながめること。当事者でないという立場・態度で見ること。
「クルピエの心情」のあらすじ
モナコ公国 モンテカルロのカジノ場
サタースウェイト氏は 社交界の名士や立派な身なりの外国の男爵や子爵を見かけなくなっていること
時代の変化に淋しさを感じていました
またサタースウェイト氏は心配していました
伯爵夫人をめぐって 若い男女2人の間に亀裂が入っていることを
サタースウェイト氏は 偶然再会したクィン氏に相談します
「クルピエの心情」の感想
正直この話は結末にも興味が持てなくて…
ただ面白いなと思ったのは
話が新旧世代の比較になっていること
伯爵夫人やクルピエ、サタースウェイト氏は 旧世代
(歴史的にも若い国)アメリカから来た若い2人は 新世代
旧世代のサタースウェイト氏は中立を保っていて
伯爵夫人と伯爵夫人の話を間に受けている若い男への心の声は どちらも辛口
なんだかアガサ・クリスティーの意見のような気がして そこも面白い
サタースウェイト氏の受け答えがシンプルでいい(※ネタバレあり)
事実なのかどうか知らないことには 知ったふうな返答をしない
余計なことを言わない
サタースウェイト氏の受け答えが素晴らしい
男「真珠はボスニアの王様からもらったものなんです。王様のために、彼女が秘密書類を国外に持ち出したんです」
それに対するサタースウェイト氏の返答が
「あの真珠がボスニアの王様からもらったものだ、というのは聞いています」
(秘密文書のことは知らない)
また
男「自分から三十五歳だと教えてくれました。とてもそんな歳には見えませんよね?」
サタースウェイト氏の返答は
眉をつり上げてみせただけ
サタースウェイト氏の返答が
シンプルでいい
勝手にアガサ・クリスティー祭り中
9月はアガサ・クリスティーの誕生月です
勝手にアガサ・クリスティー祭りと称してアガサ・クリスティー作品の感想をいつもより少し多めに書いていきたいと思ってます
クィン氏とサタースウェイト氏のキャラクターについてはこちらに書きました↓