川崎病とはどのような病気か(コロナとの類似点)

欧米で、新型コロナウイルスに感染した子供などに川崎病のような症状がみられるケースが出てきている、というのが最近話題になっています。

新型コロナ 川崎病似た症状102人 米NY州の子どもら 7割、ICUに

川崎病とは、川崎富作さんという日本人医師が発見したことにちなんで命名された病気です。全身の血管に炎症が発生する病気で、患者のほとんどは5歳未満の乳幼児。

小児科の病気:川崎病 | 病気の治療 | 徳洲会グループ

リンク先ページにも書かれているように、2014年の患者数は1万5,979人となっていて、実は日本ではかなり多く発生している病気です。欧米人の10~20倍もの頻度で日本の子供に発症する病気であるため、日本人に特有の病気であるように考えられていました。

川崎病にかかった子供の体内では免疫が過剰に働いてしまい、結果として血管の炎症をはじめとした症状を起こすと言われています。血管の炎症がひどくなると、血管が傷んでいき、特に心臓の冠動脈が拡張して動脈瘤ができてしまうことがあり、最悪の場合は心筋梗塞を起こします。

日本の医療機関では、なるべく早い段階で薬を投与して、心臓に異常が起こる前の段階で症状を抑え込む治療が行われています。早い段階で症状を止めることができれば、子供にとって大きな肉体的負担となる心臓手術などを実施しなくてすみ、成長したあとも大きな障害が残らずに生活していけるようになります。

<新型コロナウイルスでも血管に症状が起きる?>

新型コロナウイルスは、これまで「肺炎を起こすウイルス」というイメージで語られてきましたが、症例の分析が進むにつれて、重症例では患者の体内の免疫が異常な動きをすることによって血管に異常が起きているのではないかという見方がされるようになってきています。

新型コロナウイルス感染の重症化と血栓症について

このページに書かれている内容を要約しますと、下記のようになります

・新型コロナウイルスが血管にあるACE2受容体を攻撃し、血管を傷付ける。血管が傷付けられるとそこを修復しようとして小さな血栓が生まれる。

・血栓が心臓や肺の血管に詰まると心筋梗塞や肺梗塞になる。すでに肺炎がある状態だと特に死亡率が高くなる。若い人も含め膨大な人数が新型コロナ肺炎で亡くなってしまっていることについて、心筋梗塞や肺梗塞などが合併しているとなれば納得しやすい。

・重症化する人の特徴: 喫煙者、高血圧、糖尿病、肥満など
つまり、血管が傷みやすくなるような生活習慣や持病を持っている人が特にコロナ重症化していると考えられる。

<相違点もある>

しかし、いま新型コロナに関連して欧米の子供に発生している病気は、川崎病に症状が似ているものの、川崎病とは違うものだと言われています。

まず、「コロナに関連した川崎病のような症例」は今のところ日本では発生していません。先述のように川崎病はおそらく遺伝的な理由で日本人に多発するとされている病気なので、欧米でだけ発生していることが不自然です。

「冷静に」日本川崎病学会、コロナ流行の欧米で似た症例

この朝日新聞の記事によると、韓国では川崎病の入院患者全員にPCR検査をしたが陽性者はいなかった、とあります。中国の上海でも新型コロナ感染に関連する川崎病症例は報告されていないことを確認。
このため、「コロナに関連した川崎病のような症例」は欧米人だけに起きているのではないかと推察されます。

また、川崎病の患者のほとんどは5歳未満なのに、今回の新型コロナウイルスに関連して欧米の子供に起きている症例ではもう少し年上の5歳から10代までという年齢層で起きています。たとえば15歳の子供が亡くなるという事例が報道されています。

イギリスでも同様の症例が報告されており、学校の再開などについて不安を感じる家庭も増えているようです。

<これを日本人はどう受け止めるべきか>

ただ欧米諸国においても、このような症例がコロナ感染した子供たち全員に起きているわけではありません。

日本でも学校の授業再開に向けた議論が行われています。これまでの分析では、子供は新型コロナウイルスの感染源になりにくいという見方が出ています。

日本では、ひとまず目前での感染拡大は防ぐことに成功したというべき状況になっており、新規感染者数がゼロとなっている地域も多くあります。緊急事態宣言の解除も始まりつつあります。

中国や韓国ではすでに学校の授業が再開されてきていますが、こうした国の状況を参考に、日本でも学校の再開を検討しなくてはいけない時が来ていると思います。

先述したように、川崎病は日本では年間に1万人以上も感染者が出ている病気であるため、治療法を理解している医師も多く、手術しなくとも薬を早期に投与して治せる体制が整備されています。

さらに新型コロナウイルスについても、アビガンに限らず様々な薬を組み合わせて治療することで、日本では多くの患者が回復に至り、退院しています。

もちろん学校を再開するためには適切な感染症対策が必要ですが、ただ、過度に怖がる必要はないとも思います。