美少女着ぐるみが接客?! この空間は濃い
写真にある店構えを見てどう思うだろう?
まあ、「大体の人がたばこ屋だよね」と思うだろう。
筆者も、何も情報を与えられなければパッと見てたばこ屋だと答えるだろう。
答えは、『トランプ』のお店である。
ここは、浅草橋の駅から十分弱歩いたところにある、『うそのたばこ店』という店である。
うそ、というだけに、ここに置いてあるタバコのような外観の商品は、タバコではなくトランプなのだ。
世界中のトランプが売られている。
しかしながら、タバコは一切置いていない。日本・世界関係なく置いていない。
しかも、店内は禁煙ときている。
買えないどころか吸えもしない。
先日、筆者はそんなお店にお邪魔してきた。
なぜか?
別にトランプが欲しかったわけでもない。
おしるこちゃんに会うためだ。
写真の娘を知っているだろうか?
まあ、いきなり聞かれても大体は知らないだろう。
彼女は、美少女着ぐるみ製作ユニットの『ひょっかめ』さんマスコット、おしるこちゃんである。
ひょっかめさんのことは、以前の記事でも触れた。
初めての人は読んでほしい。
彼女は、いわゆる美少女着ぐるみである。
そんな美少女着ぐるみがお店のお手伝いをしてくれるというので、筆者は興味深く、仕事を終えたその足で浅草橋まで向かった。
今まで着ぐるみの交遊といえば、ケモノ系ばかりだった筆者。
イベントごととはいえ、美少女着ぐるみという、着ぐるみは着ぐるみでもまた違う色合いの趣味趣向と交流することにより、また新たな趣味の世界への理解を深められるかもしれない。
↑お客さんにジントニックを作ってあげるおしるこちゃん
お店に着くと、店内はなにやら怪しげな空気を醸し出す音楽が流れる中、既に何人かのひょっかめ常連さんがいた。
傍にいた女性2人は、ひょっかめユーザーのようだ。
マニアフェスタでも見かけた『おきち』の人もいた。
他は少し年齢層が高めの男性陣。
どうも見ていて、この手の世界は男性陣が年齢高めで、女性陣は若めが多い印象を受ける。
こうもくっきりしていると、やはり男女で美少女着ぐるみへの感覚は大きく違うのだろう。
おきちの人は、自分はおきちを憑依 させて いただいてると表現していた。
関係性がキャラの方が上になっているという。
こういう感覚も興味深い。
他の人にも話を伺ってみると、マニアフェスタ経由でひょっかめさんを知った方がいた。
マニアがマニアを呼ぶようだ。
ミイラ取りがミイラではなく、ミイラが強化ミイラになったようなものだな。
なにせ、この人たちの会話、昆虫食まで出てきたから。少しの会話だったが、そこに中身の濃さを垣間見た。
しかし、マニアの感性があるからこそ、この美少女着ぐるみに惹かれる何かを受け取ったのかもしれない。
恐らくは、着たいという感覚は薄いのではないだろうか。
だからといえ、アイドルを追うような感覚ともまた違っていると思う。いや、アイドルを追う感覚に近いものはあるのかもしれない。
しかし、それとも違う感性が混じり、全く奇怪で表現し辛い衝動に突き動かされてこの人たちは来たのではないだろうか。
とはいえ、その辺の追求はまた別の話だ。
それらひょっかめファンの方々は次々とオーダーしていく。
それを、おしるこちゃんが手伝っていた。
↑分厚い肉が入った丼を運ぶおしるこちゃん
筆者も、おしるこちゃんが勧めてくれるカクテルとオーダーすると、作り出したのはマリブコークでした。
おしるこちゃんはサービス精神旺盛で、積極的にお客さんに話しかけて……いや、喋らないキャラなので、積極的にお客さんに近づいてコミュニケーションをはかろうとしていた。
基本は、お客さん側が何を伝えたいのか必死に読み取ろうとする、ゲームのような空気になっていたが。
最終的には、尻文字で伝え出したくらい。
こういうパフォーマンスはまた興味深い。
以前の記事で触れたが、筆者も仮面を被ってキャラを演じたことがあるが『キャラクター性』の確立に苦労して反省するばかりであった。
見ている側も、キャラが確立できていない着ぐるみや仮面の人を見ても面白くもないだろう。
このキャラクター性の確立はキャラの魅力に大きな影響を与えるだけに重要である。
特に、おしるこちゃんのような喋らないキャラは、その仕草がキャラクター性に直結する。
この日の彼女の動きは、そのキャラクター性を表すとは何かを観察できる良き対象であるように感じられた。
かなり出来上がっているのではなかろうか?
一つ一つのしぐさに強いアクセントをつけていて、それでいてあざとい領域との境をうまい具合にキープしていた印象。
かわいい女の子キャラを変に強調しすぎてなく、感心するばかりであった。
(いや、筆者は女の子キャラはやらないので、感心しても仕方ないが)
タバコはないけどトランプはある。
ということで、最後はおしるこちゃんとババ抜きが始まった。
結果は……恐縮ながら筆者が勝者となった。
おしるこちゃんは4人中3番目に抜けた。
今回、着ぐるみキャラはおしるこちゃん1人だった。
おしるこちゃんデーなだけに。
他、キャラクター性が出来上がった他の着ぐるみが集結すれば、面白い空間ができるのかもしれない。
マニアを観察するマニアとしては、それはとても興味深い世界である。