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就農希望の人へ、農業が儲からないと言われる理由を説明するよ(`・ω・´)ノ

まず最初に書いておきますが、現代の農業は一般的なメージほど牧歌的ではありません。積極的な設備投資により「売り物の生産は機械に任せる時代」になっています。農家自身が自分や家族が消費する分を無農薬や有機栽培で作るのは難しくありませんが、それで稼ぐのはかなり厳しいのが現実です。
農業が儲からない理由
なぜ農業(主に米や野菜の農家)が儲からないのかというと、その理由は外部要因と内部要因の2つに分けられます。
外部要因
①農業は土地に依存している。
②生産に時間がかかる。

これ(①②)は「1つの土地から、1回〜数回しか収穫できない、面積あたりの収穫量にも上限がある」という意味です。例えば、コメの生産では、年に一度しか収穫できず、水田10aあたり飼料用米で1.2トン、コシヒカリなどでは0.8トン程度が限界です。工業製品の場合は製造機械にエネルギーと原料を投入してスイッチを押せば無尽蔵に生産できるのに対して、農業は面積や時間といった物理的な制約を大きく受けるという特徴があるのです。
③天候に左右される
④単価が安い。

米や野菜は生活必需品であり、消費者の多くが「ほどほどの品質で安い物」を求めています。実際に、市場に占める高級農産物の割合はごく一部です。
⑤同じ品種(同じ味の野菜)
一般的にあまり知られていませんが、栽培に使う種子や苗は“種苗(しゅびょう)メーカー”とよばれる一部の企業が開発したものを購入して利用するのが一般的です。これは「ライバル農家と同じ品種(同じ味の野菜)を栽培することになる」という意味でありライバルと品質で差をつけにくいのです。
しかも農業は自然環境(四季)の影響を受けるので、近隣のライバル農家と収穫時期も重なります。その結果、同じ時期によく似た品質のものを収穫・出荷することになり、その結果として価格競争・薄利多売になりやすいのです。仮に新しい品種を導入しても、それが儲かるという噂が広まればライバルがすぐに真似をします。つまりメーカーが開発した種や苗を使っている限りは、自社製品(オリジナルの製品)を生産して差別化することが困難なのです。


内部要因

内部要因として指摘する内容については“貧乏農家の特徴”と読み替えても差し支えありません。なぜなら同じ環境(外部要因)にあっても、金持ち農家と貧乏農家が存在するからです。
①長時間労働が当たり前だと思っている。
外部要因のところで「農業は土地や時間の制約を大きく受ける・単価が安い」と書きました。これが原因で、貧乏農家は「稼ぎを増やすためには土地を広げなければならない」と安易に考えて労働を長くしてしまうのです。労働生産性とは『労働生産性=生産量÷労働時間』であり、労働時間を長くしたからといって生産性が上がるとは限りません。もちろん面積を広げて大型機械を導入することで、作業効率が上がり、労働生産性が上がることもあります。しかし労働生産性を考慮せずに安易に規模拡大してしまうと『貧乏ヒマなし状態』になるので注意が必要です。
②勉強しない。
農家に限らずですが、労働者の多くは驚くほどに勉強をしません。
③設備投資をしない。
設備投資をしないことは、生産性が上がらないとに加えて“仕事の品質のブレ”が多くなることも問題です。例えば、温室内の温度や水分にムラがあると生育にバラつきが出てきます。結果として「生育のバラつき→作業のバラつき→病害虫の発生→余計な作業の発生→生産の不安定化→コストアップ」となるのです。
④無駄な作業が多い。
『労働生産性=生産量÷労働時間』ですから、余計な作業が多ければ生産性は向上しません。③の設備投資をケチって余計に仕事が増えるという例え以外にも「除草作業・苗の自家生産・田植え作業・収穫作業・出荷作業」などが、ここでいう無駄な作業に該当します。これらは栽培に必要な作業ですが、お金を生み出す作業ではありません。つまり「手足を動かす労働」と「ビジネス(お金を生み出す仕組み作り)」は違うのです。そして多くの貧乏農家が、この労働とビジネスの区別をつけないまま手足を動かす労働に忙殺されているのです。
⑤ビジネス(お金の稼ぎ方)を勉強しない。
金持ち農家たちの多くは外部要因の問題を、内部要因を改善することでコントロールしています。そして内部要因の①〜④は要するに「ビジネス(お金の稼ぎ方)を勉強しない」に集約できるのです。つまりビジネスの勉強をしない農家は、内部要因の問題を放置する人たちであり、結果として外部要因にも振り回されやすいと言えるのです。


そもそも人間が農業(食料生産)をやる時代は終わりです。
人類は農耕を始めて以来、何千年間も食料生産のために働いてきました。365日、一生涯のほとんどを何世代にもわたって食料生産に費やしてきました。しかし、これからは違います。テクノロジーの進化によって食料生産という苦痛から解放される時代がやってきたのです。

ところが、、、
現実の日本の農業、とくに高齢農家や田舎で新規就農したような小規模農家はとても残念な状況です。これだけテクノロジーが進化したのに、未だに手作業で苗を植えたり人力で収穫したり全然進化してないです。これはとても残念なことです。

はじめにも書きましたが、これからの農業は「売り物の生産は全て機械に任せる時代」です。広い畑に機械でブワァー!っと植えてガガー!っと収穫するだけです。人間が食料生産のために必死に働く必要の無い時代なんです。

食料生産はすべて機械に任せて『あなたが本当に自分のやりたいこと』に専念しましょう。


これからの農業は2極化する。
これからの農業は、売り物の野菜を機械化で安く大量に作る農業と、家庭菜園型の「作ること(行為)」を目的化した農業の2極化が起こります。

前者は、その作業の大部分を機械に任せて、農家(人間)は営業活動や経営判断などの頭脳労働が中心となるでしょう。そして「70点くらいの品質で、超安い農産物を超大量に作る生産者」と「90点の高級品を、そこそこ安く超大量に作る生産者」の2種類になるでしょう。どちらの場合でも機械化のメリットを活かす必要があるので栽培面積は相当に広くなくてはなりません。

外部要因①②③④を思い出してください。これは、スケールメリットを効かせられない小規模農家にとって圧倒的に不利であるということです。当然ながら、栽培ノウハウや販売ルートを持たない新規就農者が、田舎の耕作放棄地をチビチビと借りる程度では太刀打ちできるはずもありません。

後者の、作ること(行為)を目的化した農業とは、NHKのガーデニング番組や某アイドルの農業番組のような【タレント農家、あるいはコンテンツ生産農業】と言えるものです。このタイプは農産物を販売して利益を上げるのではなく、その周辺で利益を上げるのが特徴です。例えばアーティストがライブをやって、そのついでのグッズ販売で収益化するビジネスモデルが近いでしょうか。このタイプの収益源は農産物の換金ではないので「収益を収穫量に依存してない」といえます。つまり収穫量の少ない小さな畑でも稼げる可能性があるということです。


まとめ
これからの農業は「売り物の生産は機械に任せる時代」であり、それと同時に「自分が食べたいモノを自分で作る時代」でもあります。前者のように、作物の換金を目的とした農作業はすべて機械に任せて『本当に自分のやりたいこと、自分のやるべきこと』に専念しましょう。

もし栽培ノウハウや販売ルートを持たない人が新規就農を目指すのであれば、収穫量に収益を依存しない後者を目指すべきです。なぜなら、前者は初期費用やランニングコストが高くハイリスクです。しかも大量生産が前提なので販売ルートの確保が問題となります。売り先が決まらないのに毎日、収穫が続いたら大量の在庫が発生します。しかも貯蔵ができないのですぐに腐ります。地獄ですよ。その点で後者はローリスクです。見込みがないと判断したら手を引っ込めるだけで済むので小さな損失で終止符が打てますから。

最近は消費者として有機栽培に興味をもった人が、新規就農するケースが増えているそうです。就農希望者全体の数も増えているそうなので、私の文章がそのような方の参考になれば幸いです。

#食料自給率 #農家減少 #農業 #就農 #新規就農 #有機栽培 #有機農業

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