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モノをデザインするときにとりいれる「シグニファイア」とは何か?
モノをデザインする時に忘れてはならないのは、「シグニファイア(知覚のアフォーダンス)」。
はじめて見たものや使おうとするとき、なんとなく「使える」のは、モノから行動の誘導があるからです。
アフォーダンス(英: affordance)とは、
環境が動物に対して与える「意味」のこと。アメリカの知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンによって1970年代に提唱された。生態光学、生態心理学の基底的概念である。「与える、提供する」という意味の英語の語「アフォード」から造られた。
その後、アメリカの認知科学者・認知工学者のドナルド・アーサー・ノーマンによって生み出された、アフォーダンスの考えをデザインに応用。“アフォーダンスが身の回りの製品の使い方を左右する”という概念を知覚のアフォーダンス=シグニファイアといいます。
デザインにとりいれるシグニファイアとは
私が仕事としているのは、モノのデザイン・設計。
モノをデザインするときに、デザイナーとして「はじめての〇〇」をデザインしたり、メーカーさんと一緒につくりあげることです。
そのとき、「はじめての〇〇」なのでもちろん、メーカーさんの過去例がないときが、あります。使い方がよく似た商品などはもちろん参考にします。
デザイナーとして、一番大切にするのは、使う人が混乱しないように、間違った操作をしないように、配慮することです。
使う人がどういう操作をするのか、何が危ないのか、などチェックリストを確認しながら、モノのカタチ、ボタンの位置、色をきめます。そして、どう移動させる、設置する、などをつめていきます。
そのとき、この「シグニファイア」は重要な指標の一つとなります。
モノをつかうとき、
このモノからの誘導が悪いと、使い手に混乱やストレスを感じさせます。
普通に使うのに、説明書をずっと持っていなければ使えないモノは「シグニファイア」が悪いといえます。
安全性はシグニファイアより優先される
ひとつ、モノからの誘導より優先されるものがあるとすれば、「安全性」です。
事例をあげると、
かつて、シングルレバーの水道栓は、上げ吐水と下げ吐水がありました。
どちらもメリット、デメリットがあります。
モノの動作からの誘導からかんがえると水は下に落ちるもの、だから、下げ吐水 となります。
でも、今、シングルレバーはすべて、「上げ吐水」に統一されています
なぜでしょう。
国際標準に足並みを揃えたという側面もありますが、
1995年におきた阪神大震災のとき、上からの落下物により下げ吐水で水栓がひらき「水」による二次的被害をもたらした。という指摘も後押しになったと考えています。
さいごに
モノは、時として人に被害をあたえる凶器となることがあります。
デザイナーとして、モノが凶器とならないように、「デザイン」で配慮することが、デザイナーに求められるとても大切な使命のひとつだと、私は考えています。
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