提供する製品・サービスが環境・社会的な課題解決に資するものの、これまでESGと関連付けた情報開示が限定的な企業にも取材でお邪魔させていただくことが増えました。ご担当の方には様々な方がいらっしゃいますが、取材を承諾いただけた時点でESGに何かしらの関心はお持ちと考え、取材のお礼も兼ねてESG投資に関してご質問をお受けしています。その中に「そもそもESGに関する情報開示を充実させて何かメリットはあるのか」というものがあります。私から少なくとも2点お伝えしています。
第1に新卒採用で優秀な人材を獲得しやすくなるということです。私が普段から大学生とコミュニケーションを取っていることから、彼らのいわゆる「ブラック企業」への強い警戒感を生の声とともにお伝えします。一方で彼らはESGに関する企業の掲載情報はしっかりチェックしており、募集要項だけでなく会社紹介や人事データも可能な範囲で開示した方が良いということを強調しています。
第2に長期投資家を惹き付けるのに有効ということです。以下のハーバード大学の研究によれば、企業が短期志向に陥ると、同じ短期志向の投資家を惹きつけることになり、その結果高い資本コストを要求されると警鐘を鳴らしています。短期的な利益を追う投資家にとってはESG情報の開示は単なるコストとしか映らない可能性が高いです。一方、長期投資家は企業の長期的な価値創造能力に興味を持ち、短期的な収益の変動に対して寛大な傾向があります。長期投資家にとっては成長の源泉となる情報の一端であるESG情報を重要視しています。長期安定成長を望む企業は同じ時間軸を持つ長期投資家を惹きつけるために支障を来さない程度に開示情報を充実させることが肝要です。
https://www.hbs.edu/faculty/conferences/2012-imo/Documents/Francois.pdf
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