まだあった! 富士が見える富士見坂
文京区の大塚富士見坂は見る場所が肝心
新宿区の次は、こちらもほぼ都心と言っていい文京区です。
場所の紹介の前に、いわゆる「富士見坂」についてお話しします。坂の多い江戸・東京の街ですが、富士山がよく見えた坂は「富士見坂」と名付けられ、その数は数え方にもよりますが、江戸時代からのものは10数か所ありました。近年できた坂なども含めると、20か所以上とも言われます。
国土交通省は「関東の富士見百景」の中で、「東京富士見坂」というものを選定しており、そこでは主に23区郊外の7つの地域を紹介しています。これは「富士見坂」という名で選定していますが、紹介しているのは特定の坂でなく、富士山がよく見える地域です。
しかし特に江戸時代から名前がついていた「富士見坂」の多くは都心部に近く、ビルなどの建設でほとんどが富士山の姿を見ることができなくなりました。
荒川区の西日暮里にあった「富士見坂」は、煉瓦塀や石畳の風情が美しく、「東京富士見坂」にも選ばれていましたが、2013年ごろに富士山を遮るマンションが視線上に建ち、見えなくなりました。この時、「最後の富士見坂が消えた」などとも言われました。
今回ご紹介するのは、護国寺門前から東に伸びる不忍通りにある富士見坂です。坂の途中には文京区教育委員会が設置した「富士見坂」の解説板がありますが、「富士山が見えた」とすでに過去形になっています。ネット上のブログなどでも「もう見えない」などとのレポートが散見されます。
現地に行くと、よく見えたという坂上の大塚三丁目交差点あたりからは確かにほぼ見えません。双眼鏡などを使うと、電柱や街路樹のごちゃごちゃとした中に富士山を確認できましたが、これはいかにも辛いです。これでは「見えない」とされてしまうのも仕方ないです。
ところがです! ここで諦めずに坂をくまなく上下すると、なんと一番高い坂上ではなく、坂の途中に富士山がよく見えるポイントがあるではないですか! 大塚富士見坂、富士山はまだ見えました!
不忍通りの護国寺門前側歩道を坂上に向かって歩き、左側に「そば処 丸屋」との看板があるあたりで振り返りましょう。車道側に少し身を乗り出すと、架線が少し引っかかるものの、山頂部分がきれいに見えます。
富士山頂上火口部、お鉢の左端は欠けていますが、ほぼ全体が見えています。見えるのは坂の途中のほんの少しの限られた区間ですので、注意しながら歩いてください。今まで「見えない」とされていたのも納得の見え方です。
次回も同じ文京区内をご案内しますが、次の見え方も超絶発見困難です。乞うご期待(笑)。
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