金沢藩前田家上屋敷(東京大学本郷キャンパス)その1
東大本郷キャンパスは全て前田家の屋敷
表高:103万石(加賀、能登、越中、全国1位)
所在地:文京区本郷7丁目
最寄り駅:東京メトロ丸の内線本郷三丁目、南北線東大前
最大の大名家、金沢藩前田家の主な屋敷は、幕末の段階で上屋敷が本郷、中屋敷(抱屋敷)が染井、下屋敷が平尾(板橋宿北)だった。また小さな抱屋敷が深川などにあった。江戸初期には上屋敷は辰ノ口(いまのパレスホテルあたり)にあったが、明暦の大火後に筋違橋門外に移され、さらに下屋敷だった本郷に移った。今の東大本郷キャンパスの大部分が前田家の屋敷だった。江戸時代初期には現在の防衛省西側も前田家屋敷だったが幕府に取り上げられた。今も市谷加賀町の名が残る。また六義園で有名な柳沢家の駒込下屋敷も前田家の中屋敷だったがこれも取り上げられた。上屋敷としては例外的に遠い本郷という場所といい、幕府の前田家に対する微妙な姿勢が現れている。
1)赤門
東大といえば赤門。赤門は江戸の大名屋敷の主要門の中でわずかに三つだけ残ったうちの一つ。しかもほぼ建設当時の場所に残るのは赤門だけで、国の重要文化財に指定されている。しかし赤門は屋敷の表門ではない。十一代将軍家斉の息女溶姫が前田家に輿入れした際に造られた御殿の門で溶姫だけが
使える門だった。写真は表側から見たところ。赤い門は将軍家と特別な関係にある大名しか造れなかったため、この門は前田家と将軍家の深い関係を表すシンボルの門。両側に番所を持つなど格式が高い。輿入れの際に造られた門は火事で焼けると再建が許されなかったため、この門を守るために火消しの加賀鳶が組織されたという。
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