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初の多摩地区との境散策に奇怪なクチバシ境
23区全区境踏破第35回
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世田谷区編2回目は、前回終了の京王線芦花公園駅から出発です。駅を出て商店街を北に向かって旧甲州街道に出ます。横切ってさらに進むと現在の甲州街道=国道20号線です。ここまで歩いた道が杉並区との区境です。
20号も横切って進むとすぐに住宅街となり、地図で見ると右側の杉並区との境が凸凹した区画があります。見事に世田谷区部分にだけ歩道があるのが面白いです。
区境の凸凹は歩けないので道なりに進み、左に世田谷区の福祉作業所を見ながら左にカーブしていくと、駐車場に挟まれた細い道があります。ここを抜けて突き当たりを右です。区境からはやや南東に離れています。
出た道は下本宿通りという江戸時代以前からの道です。国府のあった府中までを結ぶ古道だという人もいます。下本宿はこの先三鷹市牟礼の字名で、中世にはこの辺りに宿場があったようです。
この道がしばらくは杉並区、さらにその先三鷹市との境で、東八道路と合流するまでゆるーくカーブしながら続いていきます。しばらく歩くと中央自動車道をくぐります。少し右に行けば玉川上水です。
中央高速を抜けたあたりの道沿いには、かつて玉川上水から水を分けた烏山分水がありました。右側のマンション前に、近くで見つかった300年ほど前の観音像と、近くから移した250年ほど前の庚申塔があります。
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烏山分水の分水地点は近くの岩崎橋あたりでしたが、この岩崎という名は、戦前にできた岩崎通信機の大工場があることに因むものです。今も区境右側に同社の工場がありますが、下本宿通り左側で世田谷区内の久我山病院や、この先正面にある國學院久我山中学・高校も岩崎通信機と関係があります。
病院は工場内の診療所が独立したもので、学校も社員の教育のために設立されたものでした。国学院大附属幼稚園の脇へ入る道との三叉路中央あたりが、杉並区・三鷹市との三市区境です。初の多摩地区との境です。
次の次の三叉路を左に行くと千歳烏山の寺町通りです。関東大震災後に都心部から多くの寺が移転してきました。江戸時代の大名家や喜多川歌麿の墓などがあります。
三叉路は右へ行き、東八道路まで行きますが、この左側に都内でも屈指のヘンテコ行政界があります。地図を見ていただいた方が早いと思いますが、この部分で世田谷区が烏口のように三鷹市に食い込んでいます。
三叉路の先、ゴルフ場と北烏山五丁目緑地の間の信号あたりから「クチバシ」の上の部分が伸びています。「クチバシ」東側には高級大規模マンションがあり、西側は宅地や農地です。世田谷区の上の嘴の幅の狭いところは20メートル程度しかありません。マンションの敷地境にはサクラの巨木が並んでいるのですが、保存樹木指定を世田谷区と三鷹市が分担して行っています。江戸時代からこのような境界だったようですが、どうしてこうなったのかはよくわかっていません。
クチバシの上端を進むと最近できたばかりの東八道路です。広々としていますが、世田谷の「クチバシ」の先は道の中です。左側には東京外かく環状道路用地の表示があり、地下のシールドマシンの位置まで表示されています。
その用地内を突っ切って「クチバシ」の口の中に入ります。江戸時代にはこの脇に品川用水が通っていました。「クチバシ」の成因にこの品川上水を理由に求める方もいます。区境である「クチバシ」の中や下顎の下には道がないので、下顎上の部分に沿った道を歩き、烏山通りに出て右に行きます。
最初の右側路地に入りすぐに左です。曲がらずに進むとすぐ向こうに三鷹市の中川遊歩道があり、普通はこういう川跡が行政界なのですが、ここでは行政界は中川からつかず離れずの道を境が通っています。この中川は下流で水無川、さらに烏山川になります。
先ほど左に曲がって入った道をしばらく道なりに進みます。左手に女子寮がありますが、この奥に日本女子体育大があります。やがて再び「東京外かく環状道路用地」の標識があり、目の前は中央高速です。ここにジャンクションができます。
右側の三鷹市部分は中央高速を越えてコブのようになっているのですが、道がないので右へ行き、突き当たりを右ですぐ左に行きます。北野中央通りとの三叉路を左に行くとS字にくねって行き当たるのがまっすぐな吉祥寺通りです。
ここまで区境は高速のやや南側にありますが道がありません。吉祥寺通りを左に折れてしばらく直進です。やがて左斜めに入る路地がありますのでそこに入ります。右側3つ目の道へ入ると、その先の三叉路真ん中が三鷹市・調布市との三市区境です。と言うことでここから先は調布市との境で、左へまっすぐ進みます。
まもなく国道20号、現甲州街道に出ます。境はこの国道20号沿いにクネクネしていますが、そのまま進んで仙川を渡ったら右へ行き、旧甲州街道に出ます。右に行くと間も無くこの道が区境になります。仙川三叉路を越えるすぐ手前で左に行きます。線路へ向かう道のやや右側に区境があるのですが道がありません。
線路に出たら右へ進んで仙川駅に出ます。今回はここまでで帰りましょう。(7キロ)
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![歩いて、探して、歴史を発掘する黒田涼](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/16553550/profile_5960dcd4d4065b88138d6758e0927e7a.jpg?width=600&crop=1:1,smart)