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そこにあること〜美術館さんぽ1/24〜
「みちのくいとしい仏たち」
東京ステーションギャラリー
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告知ポスターを見かけたのは駅だったか。
大きすぎる頭部に対して、手はちんまり。
それでも胸の前で合掌されている。
そして超越した謎の笑み。
なんか衝撃だった。
絶対観に行こうと決めていたのに、年をまたいでしまっていた。
仏像の展覧会に足を運ぶのは、上野エリアが多い。
だから東京ステーションギャラリーがぴんと来ず。
丸の内北口改札を出てすぐのところ、みちのくから仏さまがやって来る。
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江戸の寺社には立派な仏像が祀られたけど、東北は仏教の浸透が最も遅かったという。
地方の村々では、仏師でなく大工や木地師の造った仏像や神像が祀られた。
地方民間仏の展覧会は初めての試み。
セクションは8つ。
1.ホトケとカミ
2.山と村のカミ
3.笑みをたたえる
4.いのりのかたち 宝積寺六観音像
5.ブイブイいわせる
6.やさしくしかって
7.大工 右衛門四良
8.かわいくて かなしくて
セクション5.6あたりで笑いが生まれる。
「ブイブイ」なんて上野じや見かけない…
「やさしくしかって」は昭和歌謡みたいだし。
一部を除き、ほぼ木造。
自然に任せて朽ちたところもある。顔や腕が消失した仏さまもいた。
素直で飾らない信仰のかたち。
ご本尊様には言えない、日々のささやかな祈りや呟き。悩みなどを打ち明けてきたという。
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フロアに鎮座する姿は大きさもさまざま。
憤怒の表情もあるけれど、どこか優しさが漂っていた。
祈る人を見守り、叱咤し、いつくしむ。
そこにはちゃんと気持ちの交流があったように思えた。
向かい合うと心が凪いでゆく。
そこには祈りが内包されている。
ずっと続いてきたひとたちの。
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ミュージアムショップで目を引いたこれは
「仏下(ぶつした)」。
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撮るの大変だったけど…伝わるだろうか?
足の裏に鬼が来る。
鬼を踏みつけることで「邪鬼を払う」靴下。
奈良のメーカーで履き心地が良かった。
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もう1か所寄りたかったので外に出る。
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東京駅構内は観光客で混んでいたから、近くの商業施設「KITTE」に移動。
宮崎料理の店でチキン南蛮定食を。
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お次は惜しくも1/28で閉館してしまった相田みつを美術館。
東京国際フォーラムの長期大規模修繕工事のためらしい。
移転の予定はなく閉館。残念…。
最後の展覧会は「生きること 書くこと」。
彼の文字とことばは力をくれる。
好きな作品の前で足を止め、吸い込むように見入った。
平日の割にはお客さんが多く、みんな静かに向き合っている。閉館を知り、遠方から訪れた人も多いようだった。
心にしみこませた1日。