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この匂いはきっと
先日いただきものをした。
お庭でたくさん実をつけたという。
偶然居合わせたのだが「せっかくだからどうぞ」 と言われ、ビニール袋を提げて帰ってきた。
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頭に浮かんだのはこの物語。
小学生の国語の教科書に載っていた。
「車のいろは空のいろ」
冒頭にこんな台詞がある。
これはレモンのにおいですか
いいえ、夏みかんですよ
子どもの頃にはわからなかった匂いの違い。
レモンと夏みかんのそれ。
袋から取り出して手のひらに載せる。
ずしりと重い。
傷もなくピカピカの黄色。
頬を寄せて軽く吸い込む。
爽やかで澄んだ香りがした。
夏みかんをどうしよう。
実家の母はよくピールを作っている。
他所の家に夏みかんが鈴なりなのを目にすると「使わないならくれないかしら」と言う。
チャイムを鳴らしそうな勢いだ。
私は貰うばかりで作ったことはない。
でも。
夏みかんを見つめていたらピールの気分が上がっていた。
早速レシピを検索。
ほほぉ…。
白い部分を残さないように皮を薄く剥く。
この分厚い夏みかんの皮を…。
それから5ミリ幅に切って、茹でこぼす。
3回も…。
遠くなりかけた気を引き戻して包丁を持つ。
スイッチが入ったのは夕飯後だった。
台所が夏みかんの匂いに包まれる。
1個剝くのもなかなか手間で。でも途中でやめたくないから3個剥いた。
茹でこぼした後、水につけて半日置くらしい。寝てる時間に当てればちょうどいい。
ここまでが昨夜の作業。
![](https://assets.st-note.com/img/1706003365059-FjxPXanzKY.jpg?width=1200)
午前中ずっと鍋の前にいた。
グラニュー糖と水で煮詰めていく。
目を離せないので本を立ち読みしながら鍋を見ていた。
なかなか水分が飛ばない…。
そのうちお腹が空いてきた。
はしたないけど鍋の横でおにぎりを立ち食いした。
煮詰まったらクッキングシートを広げたバットに並べる。
予熱が取れたらグラニュー糖を追いがけ。
この時点で、すんごい量の砂糖を使っていることを知る。
![](https://assets.st-note.com/img/1706003603145-in8G7yZYRA.jpg?width=1200)
完成。
甘さでコーティングされているけど、ほのかな苦みも残っている。
初めてにしてはなかなか?
実母と義母にお裾分けしようと思う。
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