ConceptionのIN YOUR MULTITUDEはあまり世間の評価は芳しくないけどプログレッシブ北欧メタルの完成形だよね
Conceptionというバンドをはじめて知ったのは確かドイツで行われたメロディックパワーメタルフェスティバルのライブレポを掲載したBurrn!の紙面ででした。
ベテラン2組(Gamma Ray、RAGE)に新人2組(Helicon、Cponception)がカップリングされた4バンドが参加し後に「ザ・パワー・オブ・メタル」と銘打ってライブCDも発売されたこのフェスティバルで、まぁ当然RAGEとGamma Rayの評価が高いのは当然として、Conceptionも非常に高い評価を得ていたのを覚えています。
そしてもちろんこうやってベテランとカップリングして売り出されるということはHeliconも期待されていたはずです。
確かノイズレコードの幹部が次のスターと見込んで売り出した的なことがどこかに書かれていましたし、Heliconのリーダーであるウヴェ・ヒーペンさんも「俺たちはHeliconのロックをやるんだ」みたいな発言をしていたのをどこかで見かけました。
でもHeliconの評価はボロカスでした。
ライブのパフォーマンスがひどいみたいなことも書かれていましたし、Heliconというバンドはその名前と同じように最悪だみたいな評価を受けていたようですが、Heliconという言葉の意味も由来も世間的評価も知らない私からしたら、その言い回しがさっぱり理解できませんでしたし名前までdisられるの?とやり過ぎを感じました。
でもHeliconはボロカスに書かれており、彼らのアルバムを結構気に入っていた私としては、それはとても悲しいことでした。
対してConceptionは演奏力も高く曲も素晴らしい期待の新人、みたいなことを書かれており、それを見た私は先程の悲しい気持ちもどこへやら、当時の彼らの2ndアルバム「Parallel Minds」を買いに走りました。
期待に胸膨らませて聴いたそのアルバムは、うーん…って感じでした。
当時まだ若かった私に彼らのアルバムは疾走曲不足だったんですよね。
確かWATER CONFINESとPARALLEL MINDSの2曲ぐらいしかまぁまぁ速い曲がなかった記憶が…
しかしその2曲は気に入っていたのでMDなどに録音してよく聴いていました。
そしてその後リリースされたのがIN YOUR MULTITUDEでした。
なんというか、アフリカンな感じの非常に特徴的なジャケットのアルバムでしたが、Burrn!の評価はそれほど高くなかったように記憶しています。
それでも80点は超えていたと思いますが。
そのアルバムを聴いてみた感想は、うーん…って感じでした。
まだ若かった当時の私にはこのアルバムは難しかったんですよね。
それでもかろうじて1曲目だけは非常に気に入りMDに録音してよく聴いていました。
その後のFlowは一度ぐらい流して聴いただけで録音もせず、棚の肥やしになっていました。
ロイ・カーンという稀代のVoの魅力に私が気づくことになるのは彼がアメリカのKAMELOTというバンドに加入してからでした。
彼が加入してからリリースされたシージ・ペリロスというアルバムを聞いてその歌唱の素晴らしさにノックアウトされ、それ以降KAMELOTのアルバムを購入するようになりました。
KAMELOTはその後どんどんダークな方向に進んでいき、ロイもどんどん妖しげな魅力あふれる歌唱を披露してくれました。
その後ふと思い立ってIN YOUR MULTITUDEを改めて聴いてみたところ、これが非常に素晴らしいという事に気が付きました。
ミドルテンポ主体の曲構成で、なかなかに複雑な展開にねっとりと歌い上げるロイのVoが絡みつき、そしてどこか漂う冷たげな雰囲気、素晴らしいです。
彼の魅力はスピードチューンよりもミドルテンポの曲を情念たっぷりに歌い上げる事で発揮されると気が付きました。
そういう意味ではこのアルバムは本当にロイの魅力をいかんなく発揮してくれています。
ただPARALLEL MINDSに関しては今も評価は「まぁまぁ」なんですよね。
なんというか逆にあっさりしすぎというか、ちょっとねっとり感が足りない印象です。
いずれにせよ、IN YOUR MULTITUDEは非常に気に入り、そしてまたこのレコードが欲しくなり探し回りました。
紆余曲折の末、再販された2枚組レコードのカラーヴァイナルを入手することができました。
黄色の盤面が非常に格好いいです。
盤面ごとに収録曲が記載されているタイプです。
SIDE AにはUNDER A MOURNING STAR、MISSIONARY MAN、RETROSPECT、GUILTの4曲が収録されています。
背面にはメンバーの集合写真が掲載されています。
ベースどこ見てるんでしょうね。
撮影の際に「カメラの方見てください」「いや俺はこれでいいんだ」とかそういうやり取りあったんでしょうか。
っていうか背景の色合い的に一度にまとめて撮ったんでしょうけど写真のテイストバラバラですよね、顔のサイズぐらい揃えてやればいいのに。
ドラムだけ背景青だし。
しかしこのアルバムはロイの歌声が堪能でき、彼らのしっかりとした演奏も楽しめるプログレッシブ北欧メタルの完成形と言ってもいいと思います。
後半もミドルテンポの曲が殆どで、ロイ・カーンの歌唱がこれでもかというほど楽しめる名盤。
個人的には全曲好き。
でも、日本での評価はイマイチなんですよね。
GoogleでConceptionで検索してみるとなんか俺の子供を産んでくれとかいうエロゲーみたいな副題のついたゲームしかヒットしませんしね。
再結成した今こそ、もう少し評価されてもいいと思うのですが、再結成後のニュースもさっぱり聞こえてきません。
一体どうなってるんだ。
おまけ
実はこのレコードを入手する前にもう一枚のIN YOUR MULTITUDEを入手しています。
彼らのレコードを探しはじめたのが2022年の2月ごろ、当時彼らのレコードは廃盤になっていたようで、通販でもなかなか見つからず、CDandLPという海外のセラーと取引できる通販サイトを通じてようやく1枚見つけて購入しました。
それがこちらです。
白い盤面が非常に格好いいのですが、入手してはじめて気が付いた問題点があります。
もう少し寄ってみましょう。
もう少し。
Side Aの収録曲がGuiltです。
そう、それだけです。
こちら実はシングルレコードでA面B面に各1曲ずつしか曲が入っておりませんでした。
ジャケットだけ見ても一見全く区別がつかないです。
ちょっと色が濃いほうがアルバムですねってわかるかーい!!
その後も何度かIN YOUR MULTITUDEのレコードをヤフオクなどで見かけましたが、どれも同じようなシングルレコードだったりシングルレコード+CDアルバムのセットだったりというね。
もう本当にこういう紛らわしい売り方やめてほしいです。
おわり