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【詩】涙の河底

節くれだった両手で

すくった涙のかけらから

悲しみがこぼれて

私の膝を濡らした。


もう数え切れないくらい

私はすくってきたんだ。


それでもこの河原には

透明な水が

太陽の照り返しで銀色に輝く

この河原には


今日もあふれんばりの

涙のかけらが

流れつく。


あるときは

凍てつくような涙の冷たさに

天を仰いで憤った。


あるときは

たぎる涙の熱さに

両手を握りしめた。


あるときは

濁った涙の薄汚さに

ただ手のひらを見つめた。


濡れそぼった膝

涙の冷たさに

ぬくもりに

なまぬるさに耐え切れず

ついに両膝をついた。


一匹の白い鷺が

小さいけれど甲高い声で

一声鳴いた。


このまま私を

流れのかなたまで

流し去って欲しい。


そして二度と

目覚めないように

涙の果てで

永久に沈ませて欲しい。


ついぞ私には

悲しみを

希望を

汚さを

受け入れることはできなかった。


…わずかに揺れる水面が

遠くに見える。

すべての音は

この川底までは聞こえてこない。


白くてやわらかい

あの人の腕が

空から伸びてきて

その細くてしなやかな指で

そっと私の瞼をとじた。


永劫に。

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