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【詩】真昼の青空

からっぽの空に

思いのたけを叫んで

ぜんぶ吸い込まれていく様を

心地よく眺めている。


私の思い

あなたの願い

隣人の親切


どんな心も

やがては空に吸い込まれていく。


清々しい青空

雲一つない

一筋のそよ風も吹いていない

やけに白い小鳥が一匹

瞬く間に横切った。


胸の中にたぎる憤り。

過去から亡霊のように

手を伸ばしてくる怨み。

己の卑小さへの惨めさ。


ぜんぶぜんぶ

透き通るような青空に

吠えてとどけた。


でも

なにも

ない。


黒々とした情念は

胸の内にこびりついたまま。

空はゆるぎなく

どこまでも広がっている。


きっと

私が土に還る日まで

哀れな蛆虫として

生きなさいということ。


すべてに疲れた。

このまま虚な時を

鳥についばまれ

排泄物となる日まで


地を這い続けよう。

それしかない。


それしかできない。


大地は

慈悲をもち

生命を

土塊に還す。

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