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選手の表情から読み取るスポーツの変化

 スポーツ漬けの夏休み。もちろん見る方です。

 オリンピック開催に賛否両論ありましたが、僕は「やるんだったら楽しんじゃえ」っていうスタンスでした。いざ始まったら、スポーツ好きとしてアツくなる場面がたくさんあって、毎日興奮の日々を過ごしました。めずらしく夜更かしして、メダルの行方を追いかける日が続きました。

 オリンピックが終わったら、すぐに「夏の甲子園」高校野球が始まりました。雨で順延が続きましたが、毎日目が離せない、これまたアツい試合が展開されています。

 この2つの大会を見ていて、僕が感じたことは
「試合後の選手の表情が今までと違う」ということ。

 どういうことか詳しく書いてみます。


メダル獲得の瞬間に見える3つの表情

 東京オリンピックは、日本勢のメダルラッシュでした。毎日見逃せない試合が続き、数多くのメダル獲得の瞬間をテレビ画面を通して見させていただきました。

 日々メダル獲得の瞬間を目撃した僕は、メダルを獲得した選手の表情が選手によっていくつかのタイプにわかれることに気付きました。

 1つ目は、冷静を保つタイプ。相手に敬意を払い、喜びを抑え込んで最後まできっちりとやり通す。コーチと軽くハイタッチ・ハグをかわし、インタビューもクールに答える人。

 2つ目は、勝って涙を流すタイプ。僕にはその涙が「プレッシャーからの解放」に見えました。極限まで自分を追い込んだ練習の日々、つらい怪我・リハビリ、そういった困難を乗り越えてよかった。頑張ってきたことが報われた瞬間に、感情が涙となって流れているようでした。

 3つ目は、満面の笑顔タイプ。純粋に競技を楽しみ、今の自分の力を出し切れた。とにかくオリンピックが楽しかった。メダルの色や結果にこだわらず、自分の中の100点が出せたかどうかを判断基準においている感じがしました。

 細かく分けるともっと多くのタイプがあると思いますが、大まかに3つに分けました。

 オリンピックを見ていた方なら、この3つのタイプを読んで、いろんな選手の顔が浮かんできたことと思います。


選手の表情と競技の特性

 僕は、選手の表情とその競技がもつ特性は、切っても切れない関係であると考えています。

 例えば、「冷静を保つタイプ」と「勝って涙を流すタイプ」は、柔道、空手、レスリングなどの選手に見られました。どれも「相手」を意識し、直接手合わせをして競い合わなければならない競技です。相手がいるから自分も競技ができる、だから相手に敬意を払う。日本の「武道」の精神を感じます。

 その中で、「日本のお家芸」といわれるような、「金メダルを取って当たり前」みたいなプレッシャーも相当なもののはず。それを実現させるために、相当な努力をされてきたはずです。そこから解放された瞬間に涙がこぼれるのではないかと思いました。


 「満面の笑顔タイプ」で印象的だったのは、スケートボードですよね。

「13歳!真夏の大冒険!!」

 オリンピックの名場面でテレビの実況が何度も流れるので覚えちゃいました。この言葉「すごくスケボーの特性を表してるな」と感じます。相手はいるんだけど直接対峙するわけではない。むしろ、難しい技や障害物に挑戦する勇気を分け合い、成功したらお互いに「すごい!」と声をかけ合う。できないかもしれないけど、できるかもしれないことに何度も挑戦する姿勢は、「大冒険」という言葉がぴったり似合うな、と思いました。

 このタイプは、他にもスポーツクライミングやアーチェリーなどでも見られました。どれも障害物や的など、対人ではないものが多い印象です。メダルの色に関わらず、自分が納得のいく力を出しきれたときに、笑顔があふれてくる。その競技の楽しさと満足感を感じているのかなと思いました。

 僕はタイプが3つに分けられるからといって、「このタイプがいい」などと言いたいわけではありません。ただ、そこに昔と今の変化を感じています。その変化は、高校野球を見ながらひしひしと感じています。


試合後の高校球児

 毎年、夏は甲子園。野球経験者として見逃せません。

 オリンピックの影響からか、試合後の選手の表情に目がいきます。特に負けてしまったチーム。ここに昔と今では大きな違いがあると感じています。

 昔は、負けたチームが声を上げて泣きながら、甲子園の土をかき集めるのが試合後の名シーンでした。届かなかった「全国制覇」。つらくて過酷な練習、何のためにやってきたんだ。親御さんや先輩の思い。日本一の監督にしたい。そんな思いを叶えられなくて悔しい。アツい青春の一幕です。

 今では、負けても爽やかに、朗らかに、笑顔で甲子園を去る球児の姿が増えました。自分たちにできることはやった。胸を張って帰ろう。「全国制覇」への思いは、今も昔と変わらないのでしょうが、負けに対する捉え方が大きく変わっているように感じます。

 この変化は、時代の流れとともに訪れたものと思います。昔は何でもアリでしたが、生徒を大切にした指導方針に変化し、未来を見据えてのびのびと野球をさせる指導者が増えました。「この一瞬に自分のすべてを懸ける」みたいな、変に背負わせるものも排除されてきて、「全力を尽くす。それで結果が出なかったらしょうがない」くらいに思えてきたのかなと。野球ができるありがたさを感じながら、心から野球を楽しんでいる様子は、オリンピックのスケボーやBMX、スポーツクライミングの雰囲気と似ています。


スポーツは楽しむもの

 100年以上の伝統ある高校野球でも、このような変化が起こっているのです。今までいわゆる「マイナー」と呼ばれてきたスポーツや「ニュースポーツ」では、変化の加速度も違うことでしょう。

スポーツは楽しむもの。

 そんな当たり前のことが、時代の変化とともに少しずつ実現し、具現化してきているのかなと思います。パラリンピックが始まり、その雰囲気をますます強く感じます。

 そんな時代にスポーツをしてみたいなぁと、若干うらやましくも思ってしまう^^;

 今日も高校野球にパラリンピック。選手たちの一挙手一投足に目が離せませんね。選手たちはどんな表情を見せてくれるのでしょうか。見逃せない一日が始まりますね。




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