「アート思考」なら夢だってつくれる
ありがたいことに、先日書いた「夢は『なる』ものから『つくる』ものへ」という記事をたくさんの方に読んでいただき嬉しく思っています。
そこで、この記事を書くきっかけとなった本「自分だけの答えが見つかる 13歳からのアート思考」(著 末永幸歩)から、「夢をつくる」ために必要な「アート思考」について掘り下げていきます。
この本、とてもおもしろかったのでおすすめです。
僕みたいに、芸術やアートについて全くの無知、という人でも分かりやすく読みやすい本になっています。
「アート思考」とは
著者の末永幸歩さんは、本書の中で、
アーティストとは、「自分の興味や好奇心」から「自分なりのものの見方」で考え、「自分なりの答え」を生み出す人のことだ
と定義しています。
このアーティストとしての考え方こそが「アート思考」であり、激しい世の中の変化の流れに負けない重要な力となるそうです。
今、世界では、新しいテクノロジーの進化により、世の中の流れもめまぐるしく変わっています。
そんな激しい変化の中で重要なのは「明確な1つの答えを見つける力」ではなく、「新しい変化を生み出す力」や、「自分なりの答えで変化に対応する力」が必要なんだと。
これが激動の時代を生き抜く「アート思考」として今注目を集めており、究極的には「夢をつくる」ための重要な力となります。
つまり、「自分の興味や好奇心」を活かせる分野において、今の時代におけるニーズを「自分なりのものの見方」で解釈し、「自分なりの答え」(=夢や自分の役割)を見つけ出せば、「夢をつくる」ことができるということです。
小さなことから身に付くアート思考
おうち時間が増えてからというもの、長女のおうちでの過ごし方は「工作」が主流になりました。
ゴミになる空き箱や牛乳パックなどを工作用にとっておき、自分がひらめくままに自由に工作をして楽しんでいます。
何でもない空き箱や牛乳パックから「自分なりのものの見方」で材料をとらえ、「自分なり答え」を出して作品を作っていく。
この一連の流れが「アート思考」に基づいています。
作品の上手さや、技能の高さなどは全く関係がなく、どんな発想をしたか、どんなひらめきをもったか、それを自分なりにどう表したか、それこそが大切なのだそうです。
他にも、何でもない真っ白な画用紙に何を描くか「自分なりのものの見方」で考え、自由に表現すること。
名作と言われる芸術品や絵画から、作者が何を表現しようとしたのかを「自分なりものの見方」で考えて、「自分なりの答え」を導き出すこと。
これらのように「自分なりのものの見方」で考えて「自分なりの答え」を導き出すことがアーティストとしての考え方であり、これからの社会を生きる力になるということなんです。
そうやって考えると、学校教育における美術や図工の時間は、ほとんどが「アート思考」に基づいた思考の時間となります。
多くの社会人が「アート思考」を身に付けられていない理由
ところが、多くの人が「アート思考」を身に付けられずに社会人になります。
美術や図工の時間には、多くの子が自分の作品の出来栄えばかりを気にしてしまい、うまくできた、できなかったという価値観だけで作品をつくってしまいます。
自分と向き合い、自分らしい作品をつくることを忘れ、人と比べることを繰り返すうちに、「アート思考」を失っていくのでしょう。
有名な画家の鑑賞は、この作品を描いた画家の意図(=1つの答え)ばかりを追い求めようとしてしまい、結局何が伝えたいのか分からずにモヤモヤします。
「アート思考」的な鑑賞の目的は、画家が意図するものの神髄に迫るのではなく、あくまでも「自分なりの答え」を見つけることでいいのです。
これまでの学校教育では、多くの教科で「明確な1つの答え」を見つける力ばかりを求められてきました。
この力と「アート思考」は全く異なります。
「自分なりの答えを見つける」という「アート思考」の本質は、美術や図工の時間だけでは到底身に付いていきません。
つまり、他教科での学習や学校教育全体でも「アート思考」に基づく考え方をもって教育活動を展開していくことが重要です。
算数では1つのやり方ではなく多様なやり方で答えを導き出すことを、社会では豊臣秀吉の政策に自分なりの意見をもつことを、体育ではより多くの子が楽しめるルールづくりを…。
多面的な見方、解釈の仕方から、自分なりの考えや答えを出す経験を様々な場面でしていく中で、少しずつ「アート思考」が身に付いていくのではないでしょうか。
教える側もこの視点をもつ必要性がありますね。
すべての子どもはアーティスト
有名な画家のパブロ・ピカソは、
「すべての子どもはアーティストである。問題なのは、どうすれば大人になったときもアーティストでいられるかだ」
という言葉を残しています。
長女は今まさに「小さなアーティスト」になりきっています(笑)
自分が作った作品を誇らしく見せてくれます。
そして、その作品に込めた「自分なりの想い(答え)」をたくさん語ってくれます。
「人に見られるんだし、上手なものを作らないといけない」
「見られるのはなんだか恥ずかしい」
という意識はまだありません。
この「小さなアーティスト」の感覚を忘れずに、ずっと工作やお絵かきが好きな女の子に育ってほしいものです。
「自分らしい発想で、自分らしく表現すればいいんだ」と思うと、少し力が抜ける気がしますよね。
「アート思考」は子どもへの教育だけでなく、大人にこそ必要だと言われています。
僕も、何かしらの「アート」を始めてみようかな^^