僕が間違っていた -育休という考えに至った経験-
5年前、長女が産まれました。
この出来事がなかったら、
間違いなく今の僕はありません。
長女が誕生してからというもの、
僕の生活は一変しました。
➣理想的なパパ
仕事から帰宅したら
妻の体調をチェックし、
かわいい娘の元へ行き、
顔を覚えてもらうために張り切ります。
オムツを替え、沐浴をし、
食事の準備を手伝い、
げっぷをさせ、
寝かしつける。
夜泣きするときは抱っこして、
寝不足で出勤する。
そんな寝不足生活だけど、
「パパとしての役割を果たせた」
という充実感で心は満たされています。
「毎日大変だ」と感じることが
家族のために頑張っている証拠だと
勘違いしていました。
職場では、長女が産まれた翌日こそ
「おめでとう!」とちやほやされましたが、
だからといって仕事が減るわけでもなく。
1週間もすれば特に何も変わらない日々。
寝不足を感じさせずに
今まで通りバリバリ働く。
赤ちゃんのお世話は大変だけど、
幸せの方が何倍も大きいと笑顔を見せる。
それが理想的なパパのような
気がしていました。
➣産後うつ
僕は自分の中の理想的なパパを
務めあげることに必死すぎて、
妻のことをちゃんと気にかけて
あげられていなかったと思います。
仕事から帰宅したら、
妻が疲れている日が増えました。
ちょっとしたことでもイライラ。
出産直後から3ヶ月の間に
現れやすいと言われている「産後うつ」。
出産を経験した女性の半数が
経験しているほど身近なものですが、
治療せずにつらい思いをしている方が
ほとんどなんだそうです。
育児は大変です。
そんなことは長女が産まれる前から
ちゃんと分かっているつもりでした。
だから今の大変な日々も、
自分たち夫婦が望んだもの。
大変だから楽しい。
大変だけど幸せ。
そう思って頑張らないと、
娘に申し訳ない気がして。
妻にもそう思ってもらいたかったし、
妻もそう思っているだろうと思っていた。
弱音を吐いたら負けな気がして
僕が黙々と頑張るもんだから、
妻は「大変だ」「つらい」と言い出せず
「大変だけど楽しいね」と
無理して笑うのでした。
僕は教師をしているから、勝手は違っても
「子どもってそんなものだよね」
っていう感覚がありました。
でも、妻は初めての子育て。
何もかも初めてで勝手が分かりません。
僕と妻と娘の3人家族だから
他に頼れる大人もいませんでした。
僕は、妻の本心も、つらさも
理解していなかったんだと思います。
➣妻の仕事復帰
長女が1歳半になる頃に
妻が仕事に復帰しました。
娘と二人きりの生活に疲れていた妻は、
外の空気を吸えることを喜んでいる。
と、僕は思っていました。
妻の職場は家から車で40分程の所にある
小さな内科医院の横の調剤薬局。
病院の横だから夜7時頃に終わり、
8時ごろに帰宅します。
朝は7時半に長女を保育園に送り届け、
夕方6時までに僕がお迎えに行く。
それから僕は長女と二人。
お風呂と夕食を済ませ、
妻の帰りを待ちます。
妻は帰宅したらすぐに
お風呂とご飯を済ませ、
3人一緒に布団へ行きます。
妻は土曜日の午前中にも仕事があって、
僕は長女とお留守番やお出かけ。
そこまでしてでも、
妻がその職場に復帰したのは、
僕が言うのも変ですが
とても温かい職場だったから。
こじんまりとした薬局ですが、
みなさん本当に優しくて温かい。
こんなに素晴らしい人と職場に
巡り合うことなんて、
もうないんじゃないかと思うくらいに。
毎日人と会話ができて、
最初は妻も嬉しそうでした。
だけどやっぱり家族と過ごす時間がなくて
さみしい気持ちもありました。
特に土曜日の朝は、僕と娘が休みなのに
何で自分だけ働きに行くんだろう、と
何度も思っていたようです。
妻は長めのお昼休みを使って
コツコツと転職活動を始めました。
そして一年後。
在宅で仕事ができるようになり、
その職場を辞めました。
当時の僕は必死でした。
毎日のお迎え。減らない仕事。
その日を一生懸命生きること。
家族を守ること。
職場に迷惑をかけないこと。
とにかく黙々と与えられた責任を
果たすのみでした。
「大変だから楽しい」
「大変だけど幸せ」
そう自分に言い聞かせて。
➣僕が間違っていた
妻が転職して、状況が一変しました。
長女を保育園に預けたら、
妻は在宅で仕事をします。
妻はその日を自分が思うように
カスタマイズして働きました。
子どもと二人きりで過ごすのとは大違い。
生き生きとしていました。
妻が家にいてくれる安心感。
保育園で長女に何かあったり
体調が悪くてお休みしたりしても
妻が家にいてくれる。
僕が無理しなくてもいいんだ。
そんな安心感で満たされた時、
僕はふと肩の荷が下りたように思いました。
そうか。
僕が間違っていた。
「大変だから楽しい」
「大変だけど幸せ」
そんなことあり得ないんだ。
人は楽しいと感じている時は、
大変だなんて感じない。
大変な時が幸せだなんて
そんなわけない。
「大変だから楽しい」っていうのは、
無理して頑張ってる自分を
認めたかっただけ。
「大変だけど幸せ」っていうのは、
そう思わないとパパとして積み上げて
きたものが崩れそうだったから。
僕はそうするしかないと思っていたから
無理をしてでも頑張ってきました。
それが家族の幸せを守る僕の責任。
だけど僕が無理して頑張ることは、
僕が気付かないうちに
妻へのプレッシャーとなっていました。
「パパがこんなに頑張ってるんだから、
私も頑張らないといけない」
知らず知らずのうちに
そんな思いをさせていたのかもしれません。
あの時、妻が欲しかったのは、
手を抜いてもいいんだと、
弱音を吐いていいんだという雰囲気と言葉。
僕はそれに気付いていませんでした。
➣無理しないということ
昨年7月、次女が産まれました。
その日から僕は育休を取得。
子育てが落ち着くまでの間、
家庭のサポートをすることにしました。
長女が産まれてから約5年。
自分で言うのもなんですが、
僕の人生観は大きく変わりました。
あの経験がなかったら、
僕に育休という選択肢は
おそらくなかったでしょう。
5年前の僕のように
妻が家にいるんだから、
旦那が長期で休む必要はない。
そう思う人もまだまだ多いと思います。
でも、確実に男にもやれることがあります。
まもなく次女が1歳の誕生日を迎えます。
妻の産後うつの気配はありません。
次女は10ヶ月で
託児所デビューをしました。
最初こそ泣きましたが、
今は楽しそうに通っています。
これも長女の時には
考えもしなかったこと。
子どもが小さいうちは、
なるべく長く親と過ごした方がいい。
いや、過ごすことが普通だって、
5年前の僕は思っていました。
確かにそうなんだと思います。
だけど、それで親の心が乱れたり、
家庭が不安定になるんだったら、
子どもと上手に距離を取ることも
必要なことだと思います。
要するに、無理しないということ。
自分が本当の幸せを感じるくらい。
子どもが可愛い、子育てが楽しいと
心から思えるくらいに。
子どもと一緒にいる時間に
しっかりと愛情を注ぐ。
自分がイライラしない程度に手を抜いて。
疲れたら弱音を吐いて。
それは自分や家族を守ることになる。
これからも、そんな気持ちで
やっていこうと思います。
あの経験があったから、
僕たち夫婦は、今になってようやく
子育ての本当の楽しさが分かってきました。
これからもずっと手探りですが、
幸せな子育てとは何かを
探していきたいと思います。
*過去の記事から、僕のことを
とても素敵に紹介してくださいました。
読んでいただけたらとても嬉しいです^^
★つきかおりさん
★sachiさん