初めまして、くろと申します
臨床4年目、回復期リハビリテーション勤務の作業療法士です。
今回は、上縦束Ⅱについて述べていきたいと思います。
恒例ですが、白質線維とは何かについて話していきます。
次に、何という白質線維があるのかを説明していきます。
ここから上縦束Ⅱに入ります。
SLFⅡは、下頭頂小葉~~上・中・下前頭回を繋ぎます
次は上前頭回についてです
上前頭回の障害は判断力障害やうつ、発達障害に関与、反射脱抑制、失行等の高次脳機能障害への関与が生じています。上縦束Ⅱの損傷でも出てくる可能性が考えられますね。
思考を抑制しようとするとき、より抑制できると成功するようです。
さらに、イライラを抱える場合、SFGの欠損と関わる可能性が考えられます。健常者と比較して大うつ病群でも減少が確認されています。
また羨望は右縁上回・楔前部との接続が大きいほど少なくなると述べられており、楔前部は安静時に内省や脳内のイメージなどに関わるため、SFGの抑制により少なくなるのではないでしょうか。
ボクセル研究では、VBMと神経症傾向の正の相関がみられていて、精神機能面にも関与することが示唆されますね。
IGDでも灰白質が大幅に減少することが示され、ゲームはほどほどにするのが良いようですね。
また、ワーキングメモリや、損失に対する行動にも関与しています。
生まれる前に関しても、母親の状態によって変化があるようですね。
また反芻思考との性の相関がみられ、うつ病の反芻思考などにも関与しそうですね。
また、BMIとも相関しており、生活習慣にも影響していそうです。
高齢者の機能低下もSFGの灰白質が薄くなることが関与していそうです。
SFGはユーモアにも関与していてただの思考ではなく複雑な認知機能を司っている可能性が高いですね。
上前頭回とブローカ中枢のつながりはFATである可能性も高いですね。
SFGの厚さや機能によりPTSDの発症に関連しており、統合失調症でも異常がみられており、精神とは切っても切れない関係のようです。
SFGは、課題学習に関与しており、ここで学習効果が変わってきそうです。
騙す、正直、この二つがSFGとも関連しているようです。驚きですね。でもユーモア等の高次な精神機能にも関与するので納得できます。
フットボール選手の脳震盪と皮質の厚さとの逆相関には驚きました。何度も脳震盪をしてしまう場合は、危険ともいえますね。
また、うつの中で、産後うつ病とも関連しているようです。
次は中前頭回(MFG)です。
中前頭回の梗塞にてジャーゴンの失書、仮名の失書を呈する場合があるようです。
また、耳鳴りや糖尿病性の視神経障害との関連もあるようです。
中前頭回は半球の有意性やADHDにも関与しているようです。
注意機能にも関与する場所でもあるので、その影響が考えられます。
また機能性ディスペプシアでは食事前の右中前頭回の接続が有意に高く、食物摂取、内臓感覚、感情反応の異常な脳活動を示唆していて、食べる前から脳反応が違う可能性がありますね。私は胃もたれや心窩部の疼痛を起こしやすい方ですが関係しているのかもしれません。
学びや読書、高いWM負荷は注意力を促進する可能性があります。
また、病変で構音障害を引き起こす可能性があるようです。
双極性障害にも関わっており、安静時脳活動を低下させ、安静時に考えが浮かんだりストレスを感じることに関与しているのかもしれません。
ドライアイ患者の眼表面損傷は脳領域と関連しており、認知障害、精神症状、抑うつと関与しており、さらに疾患期間と相関しているようです。
うつ病に対するTMS治療で活動が変化していることから、うつ病には強く関与していそうですね。
痛みと脳は密接に関連し、多くの部位が活性化するようです。
また、手掛かりのない動きの間に先立つ左中前頭回には以前の活動源があり、以前の活動を保存している、している場所からの関与があるのかもしれません。
次は下前頭回(IFG)についてです。以前前頭斜走路で解説したものを混ぜています。
次は下前頭回三角部の機能と障害についてです。
いわゆるブローカ野で、音韻認識や発語を行っています。
調べると文法処理や音韻解読にも携わっていたり、
四肢運動面の右手首の運動感覚と視覚の統合という難しい機能も担っています。
さらに他にも機能があり、言語翻訳や、構文の基礎にも関与しています。また、パニック障害において皮質の減少が認められています。まだまだ調べれば何か出てきそうですね。
今度は下前頭回仲間の弁蓋部さんです。
こちらは発話に関与する部分が強いですね。
また、命名がどこまでよくなるかの予測因子になるみたいです。
次は下前頭回弁蓋部の機能と障害です。
女性のインターネット使用と体積・灰白質に相関関係があるとあります。
このことは、論文をみたところ、男女ともにインターネット使用障害は灰白質の体積と負の相関がみられるとのことです。男性はインターネットをゲームに使う場合が多く障害場所が女性とは違い、女性はインターネットを主にコミュニケーションのために使うため、下前頭回弁蓋部と関連するのではないかとの報告です。
ASDで弁蓋部と社会的スケールとの関係に負の相関があることから、社会性にも必要不可欠な部位となっていますね。
今回以前と別に調べました。
大脳基底核や視床との連絡が示唆されています。
また、ジェスチャーの理解にも関わり、三角部は構文表現、弁蓋部は意味表現に動作することが明らかとなりました。
次は下頭頂小葉についてです。
角回は構成失行、計算障害、ゲルストマン症候群に関連しています。
縁上回は言語性短期記憶、内言語操作などに関わります。
次は下頭頂小葉の中でも、角回についてお話していきます。
下頭頂小葉の角回についてです。
後頭葉、側頭葉、頭頂葉など異なる感覚を統合する場所としても働いています。さらに読解と理解、計算にも関与していることが報告されています。
ゲルストマン症候群にも関連する部位となっています。
次はデフォルトモードネットワークとの関連です。
デフォルトモードネットワークは、安静時に働くネットワークで、内省であったり空想など本当に安静時のネットワークです。
これに下頭頂小葉として関与しています。
両側の角回は自己言及領域であったり、休息やエピソード記憶の想起にも関連しています。
次に注意機能と記憶機能についてです。
AGは転換性注意に関与します。
特に、ボトムアップ(不随意)的な注意に関わります。
記憶との関連では、言語作業記憶や回想、自伝的記憶にも関与しています。
角回は葛藤解決とToMにも関与しており、
葛藤課題ではgo/no-go課題でにおいて抑制することに関与しています。
ToMでは文脈上、に関する判断をサポートしていますね。
クロスモーダル統合領域とは、多感覚の統合のことです。
角回は概念の組み合わせやリーチにも関与しているようです。
角回は左右で機能的な違いがあります。右は注意や競合解決なのに対して、左角回は言語や文脈的な機能が多いです。
両側が共に機能するとなると、DMNや注意、記憶、計算、ToMなど様々なことに関わります。
下頭頂小葉は運動するために必要なようです。
さらに他者を眺めているときに重要な役割を果たしています。
まるでミラーニューロンのようですね。
角回は、計算、言語、空間課題で血流増加が観察されています。特に計算において強く賦活されるようです。
驚きですが、大きな数の計算よりも簡単な加算課題の方が大きな活性化が確認された研究もあります。
次は縁上回についてです。
縁上回は言語性短期記憶や、道具の使用、使い方などにより賦活されます。
また、左側はワーキングメモリに関与し、右は言語のプロソディー障害(抑揚や大きさ、タイミングなどの感覚的抑揚)と関与します。
境界性人格障害(BPD)では右下頭頂小葉が関与しているようで、精神面についても関与が考えられます。
ASDでも皮質の異常がみられており、ASDの表情・感情認識に関与している可能性が考えられます。
教育年数が関与しており、さらに感情認識と関連しているようです。
上記スライドの内容とも一致する部分がありますね。
道具の使い方を研究した結果では、頭頂間溝との接続性が大幅に変化したようです。ここから運動前野等の運動領野に接続されていそうですね。
また、右縁上回では特定の時間の長さに反応するニューロン群があり、時間感覚や時間の自己管理にも直接影響することとなります。
左縁上回は動作と物体の統合だけでなく、動作の認識と理解にも関与します。
さらに、聴覚、言語的な短期記憶にも関与するようです。
縁上回は行動の計画にも関与します。
ここでも運動に必要な感覚情報などが統合され、パフォーマンスの引き出しも行われるため、病変により両側の上肢失行を引き起こします。
文法力も影響するようで、高文法力と低文法力で脳活動に差がある様です。
高文法力であれば少ない活性化で済み、低文法力であれば大きな活性化が必要となると考えられます。
注意に関しては、腹側注意ネットワークの一員として活動しています。
下に難しく書いてありますが、縁上回が外的刺激に注意を高め、角回が文脈を協調しつつ、入るべき刺激を調整しています。
縁上回は記憶の符号化(記銘)にも優先的な役割を果たしています。
身体所有感は前頭―島―頭頂と関連し、身体無視にも関与しそうですね。
興味深いですが、100均などで他にいい道具ないかな?と探しているような思考中(いろんな空想や計画)時に角回と共に関与しているようです。
プレッシャーなどの脅威の条件下では前頭前野と縁上回の活性化が低下しているようです。圧迫面接等では対象者の思考力低下時の状況などもみれるんでしょうか。(受けたくない)
長期の乗り物酔いを2度経験したケースにおいて、どちらも得状回の海綿状血管腫からの少量の出血が検出されたようです。
縁上回は前庭感覚の統合にも関わると考えられるので、乗り物酔いと関連している可能性があります。
次は下頭頂小葉と半側空間無視について述べていきます。
皆さまがよくご存じの通り右半球損傷の方が頻繁に、重度な半側空間無視を呈します。
下頭頂小葉を重視する報告と、TPOJが重要であるとの報告があり、空間関係の感覚統合が上手くできないこと、その統合結果を頭頂葉、前頭葉にうまく運べないことなども関与していそうです。
次も半側空間無視(USN)について述べていきます。
自己中心性無視は下頭頂小葉、上側頭回、中・下前頭回と関連し、物体中心性無視では、下側頭部の損傷と関連しているとの報告もあります。
また、上縦束も損傷によりUSNの残存に関わる一つとなっています。
ボクセル研究において、右縁上回~中心後回までの皮質、白質がUSN出現と関連していると報告されています。
体性感覚と空間感覚の離断が原因と考えられています。
USNは、感覚領域から縁上回と皮質下の損傷が深く関与しているものと考えられます。
次は病態失認について述べていきます。
多くの領域で確認されてますね。
深部白質が最も重なりの多い領域ともあります。
持続する場合、運動前野、前帯状回、TPJ、海馬、扁桃体の損傷が伴うようです。
続いて、色名呼称障害についてです。
視知覚は良好であるが言語化しようとすると失敗するものです。
離断が考えられていて、右視野は入力されず、左視野は言語処理できないという状況がこうさせるようです。
次はPusher現象についてです。
多くの部位で認められますが回復が遅延する場合、上縦束や皮質脊髄路などと重度麻痺が共通するそうです。
次は計算についてと、ミラーニューロンシステムについてです。
より難しい計算は左下前頭回と左下頭頂小葉との連携によってなされるようですね。
ミラーニューロンシステムとしては、頭頂間溝、下頭頂小葉だけでなく、上側頭溝や中側頭回にも活動がみられています。
失行については左下頭頂小葉の角回周囲が重視されているとのことです。
縁上回でも発症はしやすいです。
音の空間情報は上側頭回後部→縁上回で担うようです。
ついに戻ってきました。SLFⅡ(SLS)についてです。
上記のものを調べた結果と、上縦束について調べた結果、
空間短期記憶や、リーチの精度にも関連していて、完全性が視覚運動や感覚統合、行動計画にも関与しています。
また、SLFⅠとⅢの切り替えにも関与しています。
SLFⅡがUSNの最良の予測因子ともいわれています。
精神面の関与として、統合失調症者の研究では、健常者より両側SLF線維のFAが有意に低く、精神だけでなく認知機能にも影響しそうですね。
左半球ではAFとSLFⅡで言語的役割が異なり、連携いているようです。
いかがだったでしょうか。
毎度繋がる部位の説明が多くなってしまっていますが。。。
次は上縦束Ⅲでお会いしましょう。