ボーカル音楽は脳卒中後の記憶と言語の回復を促進する:2つのRCTから統合された結果~論文紹介~
目的
これまでの研究では、毎日の音楽鑑賞が脳卒中回復を助ける可能性があることが示唆されていますが、この効果を引き起こす刺激依存性の神経メカニズムについてはほとんど知られていません。声楽が脳内の広範かつ双方向のネットワークに関与しているという神経画像の証拠に基づいて、我々は、声楽が脳卒中後の器楽やスピーチよりも認知と言語の回復と神経可塑性を高めるのに効果的であるかどうかを判断しようとしました。
方法
脳卒中患者(N = 83)を対象とした 2 つの単盲検ランダム化対照試験からプールされたデータを使用して、脳卒中後の最初の 3 か月間、自分で選んだ声楽、器楽、オーディオブックを毎日聴くことの効果を比較しました。結果の尺度は、言語記憶(主要結果)、言語、注意の神経心理学的検査と、急性期、3か月期、6か月期で実施される気分アンケート、および急性期と6か月期の構造的および機能的MRIで構成されました。
結果
声楽を聴くと、特に失語症患者において、器楽やオーディオブックよりも言葉の記憶の回復が促進され、オーディオブックよりも言語の回復が促進されました。ボクセルベースの形態計測と安静状態およびタスクベースのfMRIの結果は、ボーカル音楽を聴くと左側頭領域の灰白質体積とデフォルトモードネットワークの機能的接続が選択的に増加することを示した。
解釈
ボーカル音楽のリスニングは、脳卒中後の認知回復をサポートし、失語症の早期言語回復を促進する効果的で簡単に適用できるツールです。声楽のリハビリ効果は、感情処理、言語、記憶に重要な側頭頭頂ネットワークの構造的および機能的可塑性変化によって促進されます。
結論
楽器の演奏やオーディオブックと違い、ボーカルのある音楽は、言語的な側面と、リズム、音階など様々な脳の部位、領域が働くため、脳の再編成や回復が起こったのではないかと考えます。
かつ、音楽鑑賞中のイメージの中で一緒に歌ったり、旋律を感じたり、鼻歌を歌うなど、音楽にのることでさらにデフォルトモードネットワークや言語野が賦活されたのではないかと考える。
このことから、脳卒中患者様に音楽を聴くことは推奨できると考えられる。
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