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体を大事にするお酒の飲み方

皆さん、お酒は好きですか?
私は好きです。一人で飲むお酒も、特別な人と飲むお酒も格別においしいです。

できれば、飲み続けていたいですが、飲みすぎは体にとって害になります。

そんな害を徹底的に減らしていく方法をまとめていきます。
具体的には、

・お酒を飲むことのよるデメリット
・お酒を飲んでいい量
・二日酔い対策
・トレーニング中のお酒飲み方
・お酒の害を相殺する方法
・酒飲みに効きそうなサプリ

おそらく、お酒についての問題は一生続くので、知っておいて損はないと思います。


まずはお酒を飲むとどんなことが起こるのかを知っておきましょう。
面倒な人は読み飛ばしてください。


1.お酒を飲むと起こるデメリット


お酒好きには悲しい話になるので、覚悟してください・・・


1-1.筋肉の成長やダイエットに悪影響を及ぼす

アルコールはタンパク質の代謝やホルモンのバランスを乱します。
これはアルコールがタンパク質の合成を抑制してしまうためであり、これが筋トレに悪影響を及ぼします。また、筋肉の成長や脂肪を燃やすために必要なホルモンにも悪影響を与えるだけでなく、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を促すため、脂肪がつきやすくなる原因になります。

具体的にどんな悪影響が出るのかというと・・・

・48時間、タンパク質の合成の割合が20%も低下
・タンパク質の再合成に必要なmTORがにぶる
・筋肉の成長に必要なホルモンとグリコーゲンの働きが鈍る
・筋肉の脱水が進む
・アルコールの代謝で筋肉に必要な栄養が失われる→筋力にも影響が表れる

Alcohol consumption and hormonal alterations related to muscle hypertrophy: a review(2014)


1-2.腸内環境の悪化

アルコールには腸内の悪い菌を増やす作用があり、それによって腸に穴が開き、エンドトキシンという毒素が入ってしまう恐れがあります。腸内環境の悪化は、メンタルや肌の悪化につながる恐れがあるので注意したいですね。

Alcohol, Intestinal Bacterial Growth, Intestinal Permeability to Endotoxin, and Medical Consequences(2009)


1-3.脳機能の低下

たくさんお酒を飲むと、翌日の集中力、記憶力、反応時間が低下することにより、パフォーマンスが落ちます。
これは、以下のことが原因だとされています。

・アルコールの分解によって水分が失われることによる脳の脱水
・水分を外に出すときに、脳に必要なミネラルが一緒に出てしまう

ちなみにこの実験では、男性はグラス5杯以上のお酒を飲んだ場合を基準にしています。

別の研究でも(少し制度は低め)アルコールを週に1度、1缶ぐらい飲むだけでも、海馬が縮む確率が3倍になる!とか、週に7缶ほど飲むと、言語能力が下がるともでています。もちろんたくさん飲めば飲むほど縮むリスクは上がります。

以上のことから、アルコールが脳に悪いといってもいいと思われます。

A systematic review of the next‐day effects of heavy alcohol consumption on cognitive performance(2018)
Moderate alcohol consumption as risk factor for adverse brain outcomes and cognitive decline: longitudinal cohort study(2017)outcomes and cognitive decline: longitudinal cohort study(2017)


1-4.肌の老化

アルコールは肌に悪影響を及ぼします。

・アルコールの分解に大量の水を使うため、脱水症状になること
・アルコールが肌に必要な栄養の吸収を妨げる

この2つが原因としています。すみません。この文献のリンクが削除されてました。



1-5.発がん性リスクの増加

お酒をたくさん飲めば飲むほど、ガンのリスクが上がります。また非常に残念なことですが、週に1杯以下の人でさえもガンのリスクはあがるようです。

ガンのリスクは年齢を重ねるほど上がっていくので、年配の方は注意してください。20代の方には希望がありますが・・・

また日本人を対象にした研究で「酒を全く飲まない人の発がん性リスクが最も低い」というデータが出てます。

なぜ発がん性リスクが上昇するのかというと、アルコールの分解によって生まれた代謝物(ゴミみたいなやつ)が、他の栄養素や化学物質を処理するシステムに影響を与えるようです。

アルコールを分解したときに生成されるアセトアルデヒドは、国際がん研究機関がグループ1の発がん物質に指定してますからね。

Light to Moderate Amount of Lifetime Alcohol Consumption and Risk of Cancer in Japan(2019)



1-6.死亡率の増加

ガンや酒による事故死などのリスクを考えたら、死亡率の増加は当たり前のような気がします。昔「少しの酒は体に良い」というデータが出てましたが、それは統計にミスがあったからであり、「少しでも飲むとアウトだよ。」という結論になったのは、ご存知の方も多いかもしれません。ただ、週に1杯ぐらいなら被害は少ないと考えられていました。

しかし、別のデータでは酒を週に1杯でも飲むと、健康に悪影響が出るという結果を出していました。ちなみに、酒を長期にわたって辞めると、40歳までに寿命が1-2年増えるようです。

Do "Moderate" Drinkers Have Reduced Mortality Risk? A Systematic Review and Meta-Analysis of Alcohol Consumption and All-Cause Mortality(2016)
Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016(2016)


1-7.幸福度の低下

お酒は一時的には幸福感をもたらしくれるのは、皆さんも容易に想像ができると思います。しかし、長期的に考えたとき、人生の幸福度は上がらず下がってしまうようです。

お酒を飲むことで、脳内麻薬のエンドルフィンがでるため気分が良くなるが、アルコールが健康を害するため、長期的な満足度が下がるとのことです。

Can alcohol make you happy? A subjective wellbeing approach(2016)


1-8.その他

・日本人の中には生まれつきアルコールの代謝が苦手な人もいて、その人は肝臓へのダメージを受けやすくなる。
・ワインに含まれる酸化防止剤に硫黄が入っており、その硫黄よってアレルギーが出ることがある。
・アルコールの代謝にグルタチオンを使うため、グルタチオンが減る。
・アルコールもカロリーなので、飲みすぎると太る危険性がある。

Alcohol and aldehyde dehydrogenase polymorphisms and a new strategy for prevention and screening for cancer in the upper aerodigestive tract in East Asians.(2010)
Sulfites: Separating Fact from Fiction


1-9.お酒を飲むメリット

デメリットの方が多いですが、メリットも書いておきます。

~メリット~
・アルコールを飲むことで印象が良くなる。
             →アルコールによって血流がよくなるから。

Increased facial attractiveness following moderate, but not high, alcohol consumption.(2016)

~ワイン~
・寿命をのばすかも。 → ポリフェノールのおかげ
・体内の炎症に効いた。→ アンチエイジングに効くかも
・パーキンソン病や認知症に効く

Type of alcohol consumed and mortality from all causes, coronary heart disease, and cancer.(2000)
Down-regulation of adhesion molecules and other inflammatory biomarkers after moderate wine consumption in healthy women: a randomized trial.(2007)
Alcohol and Risk of Parkinson Disease in a Large Prospective Cohort of Men and Women(2012)



2.お酒を飲んでいい量

もちろん、お酒を全く飲まないのが健康に最も良いのですが、
これくらいなら大丈夫だろうという量は・・・・・

1週間でアルコール100g分

アルコール100gなら死亡率がそこまであがらないというデータが出ておりました。

アルコール100gは
・ビール(5%) ロング缶(500ml) が5本分
・日本酒 1合 ×5
・ウィスキー ダブル1杯(60ml) ×5
・焼酎(25度) グラス1/2杯(100ml) ×5
・ワイン グラス2杯弱(200ml) ×5
・チューハイ(7%) 缶1本(350ml) ×5

という計算になります。
これくらいを目安にしてもらえればと思います。

Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599912 current drinkers in 83 prospective studies.(2018)


3.二日酔い対策

まず二日酔いのメカニズムは、アセトアルデヒドが原因だ!とか、脱水が原因だ!とかが言われてますが、まだ微妙です。ただわかっていることをまとめます。

・「ウコンの力」とか「ヘパリーゼ」とか「ハイチオールC」とか二日酔いに効くといわれている商品は二日酔いを解消しない。
・コンジナーが多いお酒は二日酔いがキツイ。
ブランデー、赤ワイン、ラム酒、ウイスキーとかは二日酔いがキツい。

よって、研究者が勧める対策法は、

・食事をしながら飲む
・飲みすぎに注意
・水分をたくさん飲む
・コンジナーの少ない酒を選ぶ
・たくさん寝る

The impact of consuming food or drinking water on alcohol angover(2015)
The alcohol hangover-a puzzling phenomenon(2008)
Grape or grain but never the twain? A randomized controlled multiarm matched-triplet crossover trial of beer and wine(2019)



4.トレーニング中のお酒


・飲んでもよさそうなのは1日2杯

1-1にも書いた通りお酒はトレーニングに悪影響を及ぼします
エクササイズ後に、体重1kgあたり0.5gのアルコールの量を飲んだ場合、
目立った変化は確認されなかったようなので、このあたりが目安になるでしょう。まあ、飲まないのがベストですが・・・

また1日2杯を守れば、トレーニング後のリカバリー、疲労回復にはアルコールは影響を及ぼさないかも!というデータも出ています。このため、アルコールは筋肉の成長を阻害するので、トレーニングはアルコールを飲む前に行うべきでしょう。


・何か食べてから飲む

それから、胃の中に食べ物をいれましょう。胃の中にかさばった食事に含まれる酵素によって、アルコールが少し分解され、吸収の速度が落ちるので、肝臓に余裕が生まれます。

これにより、トレーニングの成果を妨げにくくなります。特にタンパク質を食べておくのが良いです。

このため、タンパク質が豊富な鶏肉や胃の中をパンパンにしてくれる食物繊維を飲む前に食べるのがよさそう。

The Effects of Alcohol Consumption on Recovery Following Resistance Exercise: A Systematic Review(2019)
Intra-individual and inter-individual variation in breath alcohol pharmacokinetics: The effect of food on absorption.(2011)
De novo lipogenesis, lipid kinetics, and whole-body lipid balances in humans after acute alcohol consumption.(1999)
Effect of high-fat, high-protein, and high-carbohydrate meals on the pharmacokinetics of a small dose of ethanol.(1997)
Effect of food on the pharmacokinetics of alcohol absorption.(2000)



5.お酒の害をなるべく相殺するには

5-1.運動

週に150分の運動をすることで、早死のリスクを相殺できるとの結果が出てます。ただ、がん発症リスクは相殺できません。

運動は肝臓へ働きかけて脂肪をエネルギーとして使います。お酒が肝臓の働きを阻害して脂肪をため込むので、この真逆の作用が肝臓へのダメージを和らげてると考えられます。

Does physical activity moderate the association between alcohol drinking and all-cause, cancer and cardiovascular diseases mortality? A pooled analysis of eight British population cohorts(2016)


5-2.飽和脂肪酸

飽和脂肪酸にアルコールの毒をやわらげる作用があるようです。
このため、ココナッツオイルなどの質の高い油を摂取しても良いと考えられます。もちろん、油や肉類を取る際には、カロリーとか、塩分とか、調理法など別の部分に注意しなければなりませんが。

ただ、肝臓がアセテートを分解すると脂肪の燃焼を妨げられるので、脂肪分を減らすべきという主張もあるので注意。

Dietary saturated fat reduces alcoholic hepatotoxicity in rats by altering fatty acid metabolism and membrane composition.(2004)


5-3.水分補給

お酒は、アルコールの代謝と利尿作用によって脱水症状を引き起こします。
お酒の量を減らすという意味でも、水分はたくさんとりましょう。


5-4.栄養補給

1~5章に書いてきましたが、アルコールの代謝に使われる栄養、水分と一緒に出てしまう栄養、アルコールによって吸収が阻害される栄養があるので、それらを食事で補給するのが一つの策だといえます。

・アルコールの代謝に使われる栄養
(ビタミンB1、ビタミンC、葉酸、マグネシウム、亜鉛、ビタミンD、ビタミンE、セレン)
・水分と一緒に出てしまいやすいミネラル
(マグネシウム、カリウム、ナトリウム)
・アルコールによって吸収が阻害される栄養
(ビタミンA・ビタミンB群(特にB1,B2,B3,B9,B12)・ビタミンC)

並べて書いてみましたが、どれも肌や体調を保つうえで大事な栄養素ばかりですね。

食品の例をあげるなら、ビタミンAやB系を補給できる肉系や魚介系。
マグネシウム、カリウム、ビタミンCを補給できるホウレンソウ、ブロッコリーなどの緑黄色野菜を摂取すべきだと考えられます。ナトリウムはあまり気にしなくていいと思います。おつまみはしょっぱいものが多いですし・・・。



6.お酒の害に効きそうなサプリは?


5-4に書いたビタミン・ミネラルのサプリをとっても良いと思いますが、ビタミンA、B、E、セレンはサプリでの摂取はおススメしません。その理由はこちらのnoteに書いています。

このnoteにかかれているリスクは長期で服用した場合なので、常用せずお酒を飲む前だけマルチビタミン等を飲む、という選択もありだと考えられます。

でももし、5-4の栄養をサプリでとるなら、不足しがちなビタミンDとマグネシウムがおすすめです。

ビタミンCもとっていいと思いますが、リポソームされたものをお勧めしておきます。ただ、サプリの中にはお酒との併用ができないものがあるので、飲む前やアルコールが抜けた後に摂取した方が良いでしょう。

他にも期待できるサプリがあるのであげておきます。


・SAMe(S-アデノシルメチオニン)
・コリン

お酒によって、肝臓のS-アデノシルメチオニンのレベルが下がると、脂肪肝になりやすくなります。そのため、SAMeを摂取して補う、もしくはSAMeをサポートしてくれるコリンを摂取することで脂肪肝をできにくくなります。
SAMe1は高いので、おすすめはコリンです。また、コリンは、卵黄を一日4個でも代用できます。


・グルタチオン

アルコールの分解にグルタチオンを使用します。そのため、補っておくのが良いでしょう。ただグルタチオンはサプリの吸収効率が悪いため、体内でグルタチオンを生成するサプリがよいでしょう。そのサプリは、こちらのnoteを参照してください。

S-adenosyl-L-methionine treatment for alcoholic liver disease: a double-blinded, randomized, placebo-controlled trial.(2011)
Glutathione!(2014)Joseph Pizzorno, ND, Editor in Chief


・ウコン(クルクミン)

ウコンに含まれているクルクミンが肝臓に良いのは有名な話。しかし、クルクミンは体内に吸収されづらく、効果が期待できないとされていました。(ウコンの力に意味がないのはこれが理由)
このため、もし購入するならNature's Bountyのターメリックなどの吸収効率を格段に上げたクルクミンを選択してください。iherbで検索してくださいな。


The Essential Medicinal Chemistry of Curcumin(2007)



いかがだったでしょうか。
耳をふさぎたくなる話も多かったと思いますが、対策法をしっておけばリスクも最小限に抑えることができます。ぜひこの知識を活かしていただけたらなと思います。


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