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2010年元旦の母

2010/1/2

昨日の元日は、午後から母の病院へ。子供二人と一緒に小手指へ向かう。

長い金髪をアイロンできれいにカールさせた娘を見て母は、「シンデレラ!」と声をあげる。

それからウェーブのきいたボブヘアの息子を見て、「王子!」と叫ぶ。

母にしては大きな声。元旦から、なかなか上手いことを言う母だ。

昔の母を知っている私たちには、それが母のおちゃらけであることはすぐに理解できるのだが、あの病棟で初めて母を見る人には、おそらくイッチャッテル婆さんと映ることだろう。

母にはどうしても、自分の手からお年玉を孫たちに渡したいという気持ちがあるので、去年同様私がお年玉の手配をした。

銀行からお金をおろし(のちほど母のお金で精算)、お年玉袋を買い「○○さんへ おばあちゃんより」と、昨年同様、私よりはるかに達筆の娘に書いてもらった。

母にお年玉袋をどうにか握らせ、娘と息子がそれを受け取る形になった。最近母の手はどんどん硬直して上手く動かない。

母を車椅子に移動させてもらい、病棟のダイニングスペースまで連れて行く。母に新しいカーディガンを着させる。「もったいないわ」と母が言うので、「お正月に着るのがもったいなかったら、いつ着るのよ?」と笑っておいた。

小さなお重に詰めた、栗きんとんと黒豆と伊達巻と、大晦日につくった煮しめとなぜか煮豚を、ほんの少しずつ、ひととおり母に食べさせる。

食後は特に血圧が下がる。間もなく母が、「気持ち悪くなってきた」と言うので、意識消失する前に、病室へ戻った。

最近の母は、食事中や食直後に目を開けたまま意識消失することもあると、
姉から聞いていた。元旦早々、完全にイッてしまった母の顔を見るのが怖かったこともあり、母の意思を尊重して、そそくさと病室へ戻った。

ベッドの上で肌のケアや足のマッサージなどを皆で施し、2時間ほどで病院を去った。

小手指から姉の家に電話をし、練馬へ向かう。
姉のお手製ローストビーフサンドとかサーモンクリームチーズベーグルサンドとかをご馳走になる。美味しいコーヒーも淹れてもらう。姉の家にはいつも、食べ物やあらゆる飲み物が溢れている。

飢えていた私と子供たちはガツガツといただき、姉が先日行った韓国旅行のお土産までもらい、喰い逃げ状態で立ち去った。

ヘンな時間に中途半端にお腹が満たされてしまった私たちだが、その後しばらくして、珍しく私の自己主張による提案で日高やに行く。店の前ののぼりに大きく印刷された五目麺が、年末からどうしても気になっていたのだ。

帰り道。空にはまん丸の月が出ていて、街路樹には相変わらずイルミネーションが輝いている。

信号待ちで止まった時、「なんだか今日は、一日三人で行動しちゃったね」と私が言うと、「ほんとだよ。なんだかバンドの巡業みたいだ」と娘が言った。

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