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整理能力
2007/02/19
(この記事は2007年、母がまだレビー小体型認知症と診断される前のものです)
夕方、母の部屋のキッチンをつくづくと眺めた。
「いいわね、こんなに収納があって」と私は羨ましく思う。シンク側にも壁側にも吊り戸棚がたくさん備え付けられていて、これだけ収納があれば、物なんてはみ出すわけもない。おまけに炊事はほとんどまったくといっていいほどしないのだから。
「何が入ってるのよ?」と、椅子を持ち出し、上の戸棚を開けてみた。いただき物の素敵な菓子盆の類いが3個。どれも上等で、使われるべきところで使われれば、すごく素敵なもの達。あとは要らないただの紙の空き箱やら汚いプラスティックの箱など。
隣の棚には三角ゴミ入れ用生ゴミ袋が2つ。「あらやだ、あったのね。今日生協で3つも届いちゃった」と母は言う。
そして重たい袋の中身はなぜか、クラシックのLPが十数枚。昔長女が捨てようとしたのをもったいないと拾ってしまっておいたらしい。
それからやっぱり空き箱がいくつかと、90年代のバラのジャム瓶詰めとか「なんか気持ち悪くて」といういただき物の中国茶。
「癌に効くっていわれて」買った、なんとか茶(忘れた)。「あ、ここにあったんだ。探してたのよ」という京都で買ったとかいう木製スプーン5本セット等々。そのまた隣の棚には、お皿やら古くて趣味の悪いグラス十数個。お椀がたくさん。使うはずもないものばかり。
そのほかにもお盆、小皿、信用金庫でくれる粗品の類い、「学校ぞうきんひも付き」が2袋。3年前に使用期限が切れている貼るカイロ2袋。「これは駄目だったの」というナイロン製カーラーがたくさん。布巾20枚くらい袋入り。白いハンドタオル10枚袋入り。
キッチンの床には物がたくさんつくねてある。これほど収納があるのにもかかわらず、ところ狭しと置かれている。
アルミの袋を出して、「コレは何?」と訊くと「さあ?」と答える。開けてみるとティーバッグだ。「あ、黒豆茶ね」と言う。すぐにはまるがすぐに飽きるタチだ。
使い切らないうちに物はどんどん劣化し、買ったことを忘れてまた買い足す。要らないものを沢山捨てさせたら、戸棚はガラガラになってしまった。ほとんどがゴミか、そこに収納すべきではない物ばかりだった。
こんなにガラガラなのに、ゴミ袋を入れるためのワイヤーのカゴ3段重ねなんかが今日、新たに生協の企画品で届いていた。「すごく便利」と言って、ゴミ箱の隣に無駄なスペースをとっている。まったくもったいない。
若い頃にふつうに整理能力のない人間は、歳をとるとここまでになってしまうのだ。よくよく覚悟をしておいたほうがいい。私もああなったらどうしよう。いや、ならないように頑張ろうっと。