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kitaq0
幻覚の品格?
2009/1/31
(この記事は2009年のものです)
今日は大雨の中、母の病院へ。
母は眼をパッチリと開いて、窓の方をじっと見つめている。幻覚を見ているというより今日は、ただぼんやりとしているように映る。
火曜日と金曜日は入浴日。
「今日はまだお風呂じゃないのね」と言うと、「私は昨日入ったから…」と言う。時々排泄の具合で身体を汚してしまい急遽入浴することがあるので、またそんなふうだったのかと思ったら、まったくの出鱈目だった。
いつもよりも少し遅れてお風呂の順番が回ってくると、母は眼を大きく見開いて「私もお風呂ですか?」と看護師に訊く。「次にお迎えにあがりますよ。待っててくださいね」と言われると、母は驚いて眼を丸くする。時間の感覚が、かなりおかしくなっているのだ。
「今日は何も見えないの?」と私が訊くと、母は天井のほうを見つめ、「今日もリスがスタンダップしてるわよ」と言う。最近「スタンダップしたリス」がお気に入りだ。
「バカみたい。頭をおかっぱにして」と可笑しそうに笑うので、「…リスが?」と訊ねると、母は頷く。「立ちションベンしてるわ」と苦笑するので、「…リスが?」と訊ねると、愉快そうに笑って頷く。
先日姉が行ったときには、パンツを履いているリスとパンツを下ろしているリスがいたとかで…。あまりえげつない幻覚を語り始めると、娘としても、ちょっとせつない。