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この島を冒険したことは、きっと忘れない『ゼルダの伝説 夢をみる島』

スーパーマリオランドの時も話しましたが、手元で遊べるって、それだけで子どもには忘れられない価値があるんですよね。
不思議じゃないですか。ポケットに収まるサイズのゲーム機が、ドットの粗いゲーム画面が、ピコピコしたサウンドが、他にはない思い出を刻んでくれるわけで。
そんな私はDS世代ですが、「小さくて大きな世界が手元にある」という、根底にある特別感に大きな違いはないと思っています。そして今、Switchで遊ぶ子どもにとってもそれは同じかと。

今回プレイしたゲームは『ゼルダの伝説 夢をみる島』です。『ゼルダの伝説』シリーズといえば、スーパーファミコンで発売された『神々のトライフォース』でアクションアドベンチャーとして不動の地位を確立し、以降もゲーム業界に大きな影響を与えていく作品群ですが、今作は今までと異なる魅力に満ちています。そしてその魅力は、どこでも遊べるゲームボーイだからこそ発揮された部分も大きいと思うのです。

今作は任天堂から発売されたアクションアドベンチャーゲーム。
リンクが冒険する舞台は、「コホリント島」と呼ばれる地図にも載らないよ小さな島。その島から脱出するには「かぜのさかな」を起こすしかありません。リンクは8つのダンジョンの奥深くに眠る楽器を集め、かぜのさかなを起こすために島を冒険することになります。

この頃の携帯機で出る人気シリーズの作品は、だいたい外伝的な位置づけが多いんですよね。今作は外伝ではないものの、これまでのハイラルとは異なる舞台が用意されているのが大きな特徴です。携帯機でリリースするからこそ独自性を持たせたのかもしれません。

この作品のもう一つの特徴として、DX版が発売されていることが挙げられます。DX版はゲームボーイカラー向けに発売されたバージョンアップ版です。ゲームがカラーになっただけでなく、色を用いたギミックが登場する新しいダンジョンが追加されています。Nintendo Switch Onlineで遊べるのもDX版です。また、Nintendo Switchでは、リメイク版も発売されています。こちらは原作の痒い所に手が届いた良リメイクなので、今から遊ぶならこっちの方がいいかも。まるでミニチュアを上から見ているような独特なグラフィック表現も必見です。

さて、このゲームは何が素晴らしいのか。それを端的に表すなら、「コホリント島という特別な舞台で繰り広げられるここだけの冒険」と「ゲームボーイのアクションアドベンチャーとして一二を争う完成度の高さ」の二つに大別できると思います。

まずはコホリント島の魅力について。
コホリント島はめちゃくちゃ広いわけではないのですが、爆弾で進めるエリアや隠されたアイテムなどがいたるところに配置されていて、とても密度が濃くなっています。それこそ、無駄なエリアは一つもないと言えるくらい。
そんなコホリント島の中には、なんとダンジョンが8つもあります。8つですよ8つ! ゲームボーイでこれだけしっかり遊べるなんて思いもしなかったので驚きましたよほんと。ダンジョンも中身が薄いなんてことは決してなく、ちゃんと考えないと普通に詰みます。しかも先述の通り、DX版ではダンジョンが追加されているので、さらにボリュームが増しています。
この他にも、わらしべイベントや貝がら収集など、クリアには直接関係ないやりこみ要素が用意されており、抜け目がない。


何してるん?

もう一つ忘れてはいけないのが、任天堂のキャラクターがコラボ出演していることでしょう。ワンワンしかりクリボーしかりヨッシーしかり。ゴルドーは分かるけど、カービィが敵キャラとして出てくるのはどういうこと……?
これもコホリント島という特殊な舞台だからこそ可能だったと言えます。軽いネタバレになるけど、かぜのさかなは任天堂ファンだった……?

ストーリーは、現在だとマリオシリーズのプロデューサーを務めている小泉歓晃さんが担当していて、これがまたいいのです。冒険の道中で、この島に隠された秘密が明らかになりますが、要はこの島から脱出すると、二度とこの島に戻れなくなってしまうのです。マジかあ!
リンクは相変わらず無口なのでどう思っているかは謎ですが、プレイヤーは遊んでいれば分かるのです。この島を冒険して、個性的な住民たちに出会っていく内に、この島との別れが寂しくなっていくことを。それをボスたちも分かっているのか、ボスを倒すと捨て台詞で精神攻撃をしてきます。素直にたちが悪い。
そんな冒険を盛り上げてくれるのが、名曲揃いのBGM。どこか切ない雰囲気を持つかぜのさかな、巌しい道のりを盛り上げるタルタル山脈など、一度聞いたら忘れられない楽曲の数々が詰まっています。リメイク版ももちろん良いんですが、ゲームボーイのピコピコサウンドは何物にも代えがたい魅力があります。プレイが終わったら最後、あなたはサントラをポチっていることでしょう(多分)。

あと、これは任天堂らしいなと思ったのが、うるりらじいさんによるヒント機能。正直、これがなかったら次にどこに行けばいいか分からず困り果てただろうなと何度思ったことか。こういう親切なシステムを既にこの時代から取り入れているのは流石としか言いようがないですね。

一応、不満点というか気になった点もあるので挙げておくと、まずボタン数がどう見ても足りてない。ゲームボーイはファミコンと同じボタン数。それでスーファミの神トラと同じゲーム性を再現しようとするとやはり苦しい部分は出てきます。岩をどかす度にブレスレットを付けたり、穴を飛び越える度にロック鳥の羽根を装備するのは、単純に面倒。
この辺はリメイク版だと改善されています。原作では剣盾と道具が同じ枠扱いでしたが、リメイクではAボタンとBボタンに剣盾、XボタンとYボタンに道具が割り当てられ、遊びやすくなりました。

あと、個人的に悩ませたのが、一部見づらいグラフィック。特にダンジョンのヒビ割れた壁を見分けるのが大変で、最後のカメイワではあまりにも見つけられなくて一時間くらいダンジョン内をウロウロする羽目になったこともあります。これは辛かった!
こちらも当然ながらリメイクでは分かりやすくなっています。今から遊ぶなら、断然リメイク版がおすすめでしょうね。

あとはまあ、途中で急に300ルピー必要になるイベントで、ルピーを持っていなかった時に稼ぐのがやや面倒とかはあるんですが、これはそれほど気にすることではないかなと。クレーンゲームやればすぐに稼げますしね。

感想は以上!
ゲームボーイと侮るなかれ、ゼルダの伝説ここにあり!といった作品でした。気になった方はNintendo Switch Onlineで配信されているDX版か、リメイク版を遊んでみてね。


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