ポケットの中の冒険『スーパーマリオランド』『スーパーマリオランド2』
ゲームボーイ Nintendo Switch Onlineで『スーパーマリオランド2 6つの金貨』が配信され、先日クリアしました。以前3DSで初代『スーパーマリオランド』も遊んでいるので、合わせて感想を。
よく「14歳の時に触れた作品は一生心に残る」みたいな言説をネットで見かけます。ですがそもそもの話として、年齢に関係なく、子どもの頃に触れた作品って知らず知らずの間に我々の血肉になってると思うんですよ。
そういう「子どもの頃に触れることができてよかった作品」は誰にでもあると思うのですが、『スーパーマリオランド』シリーズがそれに当てはまる人はとても多いのではないでしょうか。
『スーパーマリオランド』シリーズは、端的に言えば「ゲームボーイで遊べるスーパーマリオブラザーズ」です。もちろん、単に無茶移植をしているわけではありません。アクションは全体的にシンプルになっており、『スーパーマリオブラザーズ3』から登場した甲羅投げやマップ等の要素はオミットされています。世界観も一新され、宇宙怪人タタンガにさらわれたデイジー姫を助け出すというストーリーに……いやタタンガって誰だよ!
まあタタンガはともかく、デイジー姫やワリオはその後のマリオシリーズでもおなじみの存在になっているので、マリオ史においても重要な作品なのは間違いないでしょう。タタンガはともかく。
他と違うのは、お姫様やボスキャラだけじゃないのも特徴。敵キャラも、クリボーじゃなくてチビボーだし、ノコノコじゃなくてノコボンだし、キラーじゃなくてギラーだし、同じようで違います。おまけに世界観も超個性的で、イースター島と思わしきイーストン王国ではモアイが動き回り、チャイナと思わしきチャイ王国はキョンシーが飛び回ってます。キノコ王国から飛び出しているのをいいことに、全くと言っていいほど統一感のない敵キャラがわんさか出てくるのです。
多分なんだけど、このゲームが公式だと知らないままプレイ映像を見たら「スーパーマリオブラザーズをゲームボーイに移したパチモン?」と勘違いするかもしれない。これは悪く言いたいわけではなく、それくらい強い個性を放っているのです。白黒のゲームボーイのロンチタイトルでこのマリオを出せる任天堂、なかなか肝が座ってる。
そしてこの個性こそが、マリオシリーズが成熟化し、全体的な世界観やキャラクターがガッチリ固まってる今だからこそ輝いてるんだよね。
例えばスーパーボールマリオ。これはファイアマリオとは似て非なる変身なんだけど、彼が放つスーパーボールは、ファイアボールと違ってコインをゲットできるんだよね。だから土管内部の密閉された空間にコインがぎっしりある時、スーパーボールで一気に取ることができるわけ。この感覚は普段のマリオではあまり味わえない気持ちよさがある。あと、スーパーボールは壁で跳ね返る性質があって、この跳ね返りを利用しないと取れないコインもある。単なるオモシロ変身ではなく、ちゃんとステージギミックにも活かされているのはさすが。
「ピラプト王国」「ミューダ王国」「イーストン王国」「チャイ王国」……今作の舞台となる4つの王国はどれも個性的かつ魅力的。
その魅力を深めているのがBGM。今作の楽曲はいい意味でマリオらしくない。かといって全くの場違い感があるわけでもなく、「マリオらしさ」と「場違いな曲」の間で絶妙なバランスを保っていると思う。基本的にほぼ全てのマリオゲームで統一されている地下のBGMすらも違うのはなかなか挑戦的だ。
私含めて、多くの人にとって忘れられないのは、やはりエンディング曲でしょう。マリオ史上最も忘れられないエンディングは今作かもしれないなと思うくらい、曲が良すぎる。当時ゲームボーイでこの曲を聞いたら、きっと忘れられない思い出になっているんだろうなあと。3DSでクリアした私ですらよく覚えていますから。
さて、続編の『スーパーマリオランド2 6つの金貨』についても語りましょう。ワリオの初登場作として有名ですが、前作の課題点を上手く克服しており、より遊びやすく、かつリッチになっています。
まず、前作はキャラ・ブロック・コインがかなり小さく視認性が悪かったのですが、今作は全体的に大きくなって見やすくなりました。
さらに、ワールドマップが追加されたことで、どのエリアから挑むか選べるようになり、攻略の自由度も向上しました。各エリアから金貨を集め、全6枚を揃えるとラスボスのワリオに挑める仕組み。どのエリアも個性的ですが、中でも巨大なマリオの機械の中を探索するマリオゾーンはインパクト大。というか誰が作ったんだよこれ。マリオが自分で作るように命令したのだろうか。だとしたら自尊心強くて嫌だな……
BGMも相変わらず名曲揃いなんですが、唯一「どうしてこうなった!?」となったのがスターのBGM。前作では天国と地獄だったんですが、今作ではオリジナル曲に。なんだけど、無敵なのになぜか控えめ。
ピッピッポッポピッピッピポッポ……言葉で表現するのは難しいので実際に聞いてほしいのですが、マリオ史上最も地味なスターBGMなのでは?
前作のようなシューティング面はなくなり、ボス戦は3回踏んで倒すオーソドックスなものに。全体的に弱いというか、苦労した記憶はないんだけど、その分ラスボスのワリオのしぶとさが印象に残る。マリオと同じ変身アイテムを使って戦うのはワリオならではな感じがして良き。あと誰も気にしてないですが、前作ラスボスのタタンガはワリオに操られて手下になってます。
つい最近クリアした私でも分かるのは、当時子どもだったとして、ゲームボーイでこのゲームをクリアまで遊んだら、一生忘れられない作品になっていたであろうこと。
それを確信できるくらい、今遊んでも味わい深い作品。いいゲームでした。
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