自分の価値を自分で決める前に。
自分の価値を自分で決める。一見、ポジティブな言葉だ。しかし、私はあまりこの言葉が好きではない。社会で生きていく中で、自己評価と他者評価を比べた時、基準にされるのは往々にして他者評価だ。自己評価では、自分を適切に判断できないことが多いからだ。
特に問題になるのは、自己を過大評価してしまう場合だ。自分ではできないことや、許容範囲を超えたものを抱えるリスクが生じる。その結果、責任を果たせなくなり、職場や家庭での信頼を失うことにも繋がりかねない。そしてその尻拭いをするのは、周りの人間だ。
もちろん、自分の価値を自分で決めることが、自己肯定感を高め、外部の評価に振り回されないために必要な場合もあるだろう。しかし、この言葉が、今の自分にとって、都合の良い甘言ではないかを考えるべきだろう。
自己評価を適切に行う努力なしに、自分の価値を主張するのは危険だ。聞こえの良い言葉に飛びつく前に、自分自身の行動がどれだけ他者の視点と重なるのか、立ち止まって考えてみることが必要なのだと思う。格好いいことを言っている分、自分の至らなさが浮き彫りになるからね。