お前、どんなアメリカ人なの?

最近映画館で映画を鑑賞することがめっきり減った。
そもそも映画自体鑑賞できる集中力が減った。最後に見たのは確か「トップガンマーヴェリック」だったと思うので、2年ぐらいは映画館には行ってない。配信に移行するタイミングも早くなったし、周囲の雑音がどうしても気になってしまうのが映画館から足が遠のいた大きな理由としてある。しかし、それでもたまに映画館で見たくなる作品も出てくる。それが「シビル・ウォー~アメリカ最後の日~」だった。

そもそもA24があまり好きではないが、テーマとしてかなり好きだったので、昨年予告編が出た時点から薄っすらと注目していた。ということで勢い込んで公開二日目に見に行ってみたが、直前にそれなりにお酒を飲んでしまったので、完全な寝落ち。翌日に改めて仕切りなおしてドライブがてら郊外の映画館まで足を運んだ。

若干余談ではあるが、日曜夜の郊外の映画館は空いてて良い。ドライブにも丁度良いし、都心部に住んでいるとあまり行かないイオンモールも楽しめる。たまに行くイオンモール、個人的には結構好き。

作品については、色々とサンプリングされたというか、「ああ、ここはあの映画っぽい」とか「このモチーフだな」みたいな細かいディティールについて目に付くところはあったが、それは割愛。そういうディティールに楽しみ方を見出していた時期もあったが、それを大っぴらにSNSで自慢げに語る行為自体に恥ずかしさを覚えるようになった。人それぞれ価値観はあるのでそういう楽しみ方は否定はしないが、それをやるなら対面でお酒飲みながら語り合ってるぐらいでちょうどいい。

で、全体的な感想としては非常に面白かったというか、考える要素が非常に多かったのが印象的だった。公開時間が109分と、2時間を切ってる分、集中力が途切れるでもなく、割としっかり最後まで見切れた気がする。詳細は割愛するけど、うまい具合に緊張度が高まるシーンが差し込まれるし、その緊張度の高さは映画館で見るのが物凄く迫力に寄与する部分もそれなりにあり、このあたりの巧みさがおしゃれっぽいと敬遠しがちだったA24の上手さなのかなと思ったりした。

尺が短くなれば、それだけ説明を省くことが必要になり、説明を省くということは見る側に委ねられる側面が増える。この作品はテーマがテーマだけに、そのあたりをうまく使って見る側が考えたり、見終わった後に議論する余地が多く、作品としても割とそれをさせたがっていそうだな、という印象を持った。その考えるためには知識が必要であり、その予備知識を事前にどれだけ持っているか、その知識に対してどういう考え方を自分が持っているかで議論は変化していくので、尺が短いということはそれだけ見る側にとっても様々なリテラシーを求められるんだろうなとも同時に感じたし、この作品はそこが非常に強く出ていた気がする。

そういう観点では、尺は短くなり、映像作品としては見やすいのかもしれないけど、しっかり映画をかみ砕き、理解していくという意味ではこの尺の短さはハードルを上げている印象を持ったし、そのハードルが嫌ではない人にとっては議論を経て答え合わせ的にまた映画館に足を運ぼう(あるいは配信に出るタイミングでまたすぐに見返そう)というモチベーションも生まれやすいのかな、と感じたりする。

あと、これは完全に穿った見方ではあるけど、どうせA24のことだから、何気なく映してるものにも全部隠された意味があるんだろ、とか思ってしまう感じはこの作品においては割と嫌いじゃなかったので、そういう部分を掘り起こしてまた見るために映画館に足を運んでしまいそうだなと思ったし、次回はIMAXで鑑賞しようと思っている。

What Kind of American are you?は多分今後映画史の中に残るセリフになりそうだけど、そもそもこれにもどうやら元ネタがあったらしく、結局こういうサンプリングの積み上げになっちゃうよな~と元も子もないところに最終的にはたどり着いてしまうけど、それもこれも前向きにとらえればまた新しい知識を得るきっかけにはなるので、まあそれはそれとして(青木真也)

個人的に一番好きだったシーンはここ。
A24作品全体に漂うあの居心地の悪さと不気味さがあまり言語化できてなかったけど、これはBackroomsに感じる気持ち悪さ、だとこのシーンを見て自分の中で繋がった。

Backrooms

これもA24で作品化される(監督までこの映像を作ったクリエイターを起用しているらしい)らしいけど、ニュースが出て行こう1年以上情報が更新されないし、このクリエイターも最近また更新を再開しているので、プロジェクト自体がとん挫した可能性もなくはない。

とりあえずもう1回ぐらい映画館で見ようと思う。今度はIMAXで。

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