2023年3月 18きっぷの旅、飯坂温泉
いさぜん旅館を出ると、曇り空で寒い。駅まではすぐ。
ほどなく、列車がやってきた。昨夜から今朝にかけて、部屋のすぐ脇を走る列車の音を何度も聞いていた。
小牛田から塩釜へ。ここで、仙石線に乗り換え。
仙石線の車窓は見逃せない。松島湾の風景。
と、空に煙で模様が描かれる。そうか、この近くにブルーインパルスの基地があるんだ。
終点、石巻。折り返しの間に、改札を出て、駅舎を眺める。40年ほど前、駆け出し編集者の頃、宮脇俊三さんに同行して石巻へ来た時、地元の方から、石巻には駅がふたつある、電車駅と汽車駅、と聞かされた。今でも覚えている。もちろん、宮脇さんの「終着駅へ行ってきます」にも書かれている。
さて、仙石線を引き返し、仙台へ。もうお昼。昨日もらった地域クーポンで土産を買った後、駅を出て、エデンという新しい施設へ。そこにある餃子の店でランチ。
仙台からは東北本線を白石乗り換え、福島へ。短い乗り換え時間で慌ただしく、福島交通飯坂線へ乗り換えた。車内には可愛いペイントや温泉の暖簾。
駅構内隣接のコンビニで缶ビールなど買って、今夜の宿へ。歩いてすぐ。平野屋旅館。1泊2食5000円で泊まれるが、今回はお任せ料理7700円で予約。もちろん全国割適用のため、6000円ちょっと、さらにポイント使って5000円台。さてどんな宿かな。見た目は古そう。
まずは、外湯を巡ろうと思う。先ほどから小雨が降っているので、傘と履き物を借りて、外へ。目の前に波来湯があるが、ここは後で。飯坂温泉には前に泊まったことがある入舟という古くて安い宿があったが、廃業したみたい。残念だなあ。少し歩くと、飯坂のランドマーク、鯖湖湯。何度か入ったことあるのでパス。大きな神社は八幡神社。仁義を切ってお参り。その近くに目指す八幡(やはた)の湯。
そもそも飯坂温泉の湯は熱い。ここはどうだろうか。こんにちわ、と挨拶して中へ。体をよく洗ってから、恐る恐る湯温を確かめると、めっちゃ熱いわ。やっぱり。足だけ入れても我慢できない。その様子を見て、水入れたらいい、と言って下さる。ありがたや。少し水を入れさせてもらい、その近くに思い切って身を沈めた。浸かればなんとかなる、はずだったが、1分ももたず、出た。足が火傷したみたいにヒリヒリする。常連さんは平気そうにどっぷり浸かってる。ただ、1人のお客さんは今日はちょっとピリピリするかなあ、と。よし、もう一度。やはりすぐ外へ。3回目で少しだけ慣れたかな。もう限界と、お先に失礼します、ありがとうございました、と声をかけたら、1人の人が、旅で来てるの? それでここに入ったんなら大したもんや、と褒めてくれた。嬉しいねえ。
浴舎を出ると、外気が体を冷やしてくれて気持ちいい。見晴らしのいい公園があった。かつての城跡だと看板。
雨はまだ降っている。宿の前の波来湯は、新しく建て替えたみたい。階段を降りて、川面レベルに受付。
少し物足りない気分で風呂から上がり、宿へ戻った。さて、今度は宿の内湯。どのくらい熱いかなあ。源泉掛け流しと言ってたからなあ。
脱衣所の成分表を見ると源泉温度60℃とあったが、後でご主人に確認したら、冬はあれぐらいの温度に自然になってしまう、夏は熱いんですよとのことだった。夏でなくて良かった。風呂上がりのビール、プッハー。
18時半、夕食が運ばれた。噂通り、すごい量だなあ。2人で切り盛りしてるから、当然、冷めてる皿もある。熱い皿は、タラとキノコのホイル焼き、茶碗蒸し、固形燃料に点火した陶板焼き、だけ。ま、しょうがないかな。
ついでに日本酒も注文。にいだしぜんしゅの80%磨きがあるというのでそれにした。
1時間半ほどして空いた食器を片付けられ、あとはそのままにしておいてと言われた。ここはやはり基本の5000円で泊まるのが正解。差額2700円は、翌朝口コミの写真をチェックすると、ブリ照り焼き、煮物ぐらい。あとはグラスの酒か。いずれにせよ、そこまでの価値はないと見た。
寝る前にもう一度、ゆっくり温泉に浸かった。昨夜に引き続き、花粉症がひどく、夜中に何度か目が痒くて目が覚めた。
翌朝、ご主人によれば粉雪が舞っていたそうな。5時過ぎに風呂へ行くと先客。
7時から朝食。
朝食後、名残りの一風呂。朝ドラを観てからチェックアウト。
列車を待っていると背景の山の頂上は雪で真っ白だった。
さて鈍行乗り継いで帰ろうか。