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2022年1月 肘折温泉プチ湯治1

今年のはじめての旅は、肘折温泉へ。大人の休日倶楽部パスで上野から新庄まで山形新幹線。実は前日、東北方面への新幹線はトラブルのため昼過ぎぐらいまで止まっていた。きわどかった。福島から峠越えに向かうと車窓の雪は深くなっていった。

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山形を過ぎたあたりですれ違い列車の遅れのため新庄駅到着は少し遅れた。そうそう、新庄のひとつ手前の大石田でかなり大勢のお客が下車していった。若者が多い。皆さん、おそらく銀山温泉に向かうのだろう。銀山は若い世代にうまくアピールできてるんだと驚いた。さて、肘折温泉行きのバス停まで少し雪道を歩く必要がある。急いで向かうと、待つほどもなく村営のマイクロバスがやってきて、乗り込んですぐに発車した。乗り遅れた人がいたんじゃないかと心配になったほど。

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町の中では皆さん雪かきをしている。家の前の側溝に雪を落とす口があいている。お年寄りもがんばっていらっしゃる。とても真似できそうにないな。屋根の上で雪下ろしをしている人の姿も。

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町を外れると、さらに雪は深くなる。昨年来たのは9月、高原の広い畑は一面ソバの花が埋め尽くしていたが、ただただ白一色。時折、除雪車がいる。

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今回はカミさん連れなので、肘折温泉手前のループ橋が近づいた時、もうすぐ橋の上から温泉街が見えるよ、と話したら、運転席まで聞こえたようで「雪で見えないよ、今は」と運転手さん。それでも、少し徐行運転をしてくれた。

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今回泊まるのはバスの終点のすぐ向こう、木村屋旅館。昨年西本屋で泊まりあわせた湯治ベテランから予約が取りづらいけど木村屋旅館はいいよと教えられて、一度泊まってみたいと思ったのだ。西本屋もいい宿ではあった。
バスが着くと、なんと、宿のご主人が傘を持って迎えに来てくれていた。ありがたい。

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玄関を入ると、検温と手指消毒。脇を見れば、たくさんのこけしがお出迎え。温泉街にはこけし工房もある。

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女将さんに案内された部屋は2階の突き当たり。広い部屋。こたつが嬉しい。テレビは、こうした宿にしては珍しく、BSが受信できる。もちろん、wifiも使える。

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お風呂の前に、温泉街の商店へ飲み物を買い出しに出た。狭い道路にはほとんど雪はない。が、両脇の建物の屋根にはどっさり雪が乗っていて、道の端を歩かないようにと女将さんから注意された。

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地蔵さんもすっぽり雪を被っている。ご苦労さん。

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カネヤマ商店で酒類、お茶など買い込んできて、さあ、お風呂へ。こちらの宿には2階に大風呂、1階に貸切風呂が2つ。大風呂は、誰も入っていないときは戸が開いている。男が入るときは青い暖簾を引いて、戸を閉める。女は赤い暖簾。同性ならば後から入っていってもいい、というルール。なるほど。1階はシンプルで、戸が開いてさえいればいつでも入ってよい。まずは、1階の狭い方の風呂。最初は熱いが、なじめばそうでもない。いや、やはり肘折の湯はいい湯だ。

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少し間をあけて、今度は2階の大風呂へ。おお、こっちは好みのお湯。とてもいい。窓の外はびっしり雪。

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お湯は源泉掛け流し。贅沢なり。

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大浴場の入り口に植木鉢。おや、フキノトウが芽を出している。

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食事は朝も夕も部屋まで運んで下さる。今回は料理が少し多めのプランで予約したので、あれこれ並んでいる。銀ダラ照り焼き、刺身、ワラビ、うるい、熱々の茶碗蒸し、お鍋は牛肉醤油ベースの芋煮、自家製漬物、ナメコ汁、デザートはリンゴ。味付けは全体に繊細で、あまり濃い味にはしていない。好ましい。1泊2食8000円弱、その値段でこの料理は上等だな。いいねえ。

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さきほど買ってきた、地酒花羽陽の純米吟醸。店にはこの酒だけでも何種類も揃っていた。割とさっぱりめ。料理をつまみつつ、ゆっくり酒を吞む。外は雪が降り続けている。

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芋煮といえば、昔、会社の行事でソフトボール大会がある時には、大鍋を持っていき、芋煮を大量に作ってふるまったものだ。〆はカレーうどんにするのがいつからかお約束になってしまった。懐かしいなあ。でも、本場の芋煮はもう少し上品で美味しい。山形牛だからなあ。

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食後、3歳の孫からのLINEビデオコールがあり、楽しい一時。寝る前にもう一度、1階の風呂に入って体を温めた。
翌朝、雪はやんでいた。2階の大風呂で朝湯。明るくなると、表の道路を除雪車が何度も行き来している。川向こうの家の屋根には雪下ろしする人の姿も。大変だなあ。
7時45分、朝食が運ばれる。昨夜、お櫃のご飯の量がとても多かったので、ご飯はたくさんは食べられないので、と少なめにお願いした。おかずがもりだくさん。朝はしっかり食べる方なので嬉しい。左上の小鉢の煮物に入っている干しダイコンは捻れて長い。ジャバラ大根というらしい。

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さて、持参した本でも読むか。最近、ロック調にアレンジしてバンドの持ち歌にしているプカプカ。西岡恭蔵の名曲だが、そのゾウさんの自伝、「プカプカ 西岡恭蔵伝」。生前、一度だけ会ったことがある。大阪の写真家糸川耀史さんのパーティーが下北沢であった際、紹介してもらったのだ。感激したなあ。大きな体からお人柄が滲み出てるような感じがした。ほどなくして亡くなってしまうとは思いもよらなかった。

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一休みは、1階のお風呂へ。道路向こうの宿の屋根から雪が今にも滑り落ちてきそうでコワイ。

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昼ご飯に出かけるが、ちょいと銅山川に架かる橋へ。肘折ダムが見える。その手前に源泉公園があるのだが、雪の下に埋もれてるだろうな。

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昼ご飯は温泉街中ほどの田舎家。ラーメンを食べよう。先客夫婦1組。店主がひとりで接客もしている。時間がかかるけどいいかと訊かれた。いいですよ。生ビールととんこつラーメン。カミさんは味噌ラーメン。ビールのつまみのつもりかワラビの1本漬けが、もう細いのしかなくてゴメンといいながら、吞まない先客含めて4名の前に一皿ずつ出された。3本乗ってる。古い白黒写真を席まで持ってきて説明。いい写真だけど、そんなことしてる場合か、ちゃんとラーメン作ってよ。

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今度は、手持ち無沙汰のように見えたのか、カミさんの前にインスタントコーヒーの類い各種とポットとカップが出された。さらに自家製のカリントウ。おいおい、食事の前にあれこれ食べさせないでよ。ビールを飲み終えると、ボクの前にもカップを置いて飲めと言う。ええっ! ま、いいか。そんなことばかりしてないで、さっさとラーメン作ってよ。

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結局、1時間ほどしてようやく味噌ラーメンが運ばれてきた。丼からはみだすほどの大盛り。とんこつはまだこれからみたい。で、その後、出されたとんっこつラーメンも麺2玉分の大量、しかも茹ですぎの麺は美味しくない。とんだ店だった。

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宿に戻り、本を読んで一服。15時過ぎ、券を宿でもらって共同浴場上の湯へ。誰もいない。広い浴室を貸切。

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風呂上がりに、昨日買い物に来たカネヤマ商店へ。一角にカウンターがありお酒が飲める。去年はここで生ビールを風呂上がりに吞んだ。今日は地酒利き酒セット。酒田の蔵の松嶺の富士、鶴岡の白露垂珠、酒田の麓井の3種。おお、なかなかよろしい組合せ。500円なり。いい気分で吞んでいたら、目の前にドサリと屋根から雪が落ちてきてビックリ。

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また小雪が舞い始めたようだ。働き者のお婆さんが旧郵便局の前を台車を引いていく。

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宿の手前のバス停には昨日乗ってきたのとは違うバスが停まっていた。試験運行中とあるが、貨客混載の試験かな。

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夕食前に、1階のもうひとつの貸切風呂へ入った。こっちの方が隣の浴槽より少し広い。気のせいだろうか、お風呂によって微妙に湯の感じが違うような気がする。

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で、今夜も夕食の膳が並ぶ。今夜の鍋は豚しゃぶ。左手前の赤いのは、赤コゴミだそうな。コゴミというと緑のイメージだが、これは赤い茎で1本ずつちょんちょんと出てくるのだという。その右はナバナとキクラゲのおひたし。さらに右隣はアサツキとイカのぬた。いいねえ。今宵も花羽陽をやりながらご機嫌。

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今夜も寝る前に2階の風呂で一浴び。今日は結局、6回温泉に入った。(つづく)

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