話題になることよりファンを・・・ ~【櫻坂46】「摩擦係数」緊急生配信のタイミング~
それにしても、昨夜の「摩擦係数」は圧巻だった。
ライブ配信で行われているのが不思議なくらい完成度が高かったのが印象的だ。
あれを観ていると、今回のMVがパフォーマンス部分ではほとんど演出していないことがわかる。
もう、どこでどのようにやっても、一定以上のパフォーマンスをすることができるだけのスキルが身についていることに頼もしさを感じる。
アルバムを記念して公開されているインタビュー記事でメンバーも話していたが、ダンスに要求されているものも確実に変化している。
今までは、「余り美しくなかったとしても、気持ちがあることが大切」というものであったが、「気持ちがあることはもちろん、テクニック的にも美しく、観ている者に快感を与えられるレベル」が求められるようになっている。
パフォーマンスをするにあたり、一番大切なのは、自分たちの内面や伝えたいことを表現することである。
欅坂46時代から、TAKAHIRO先生はこれを真っ先に教えてきた。
そのため、デビュー曲の「サイレントマジョリティー」の時から、彼女たちのパフォーマンスは、観客たちに圧倒的に訴えかけるものがあった。
この表現者としての肝の部分をTAKAHIRO先生が伝え、メンバーの皆さんも、それをしっかりと受け止め、シングルを出す度に進化してきた。
櫻坂46となってからも、この伝統は変わること無く、二期生もそれを受け継ぎながらパフォーマンスをしている。
櫻坂46となって二年目。
もう「パフォーマンスとは何であるか」という部分は、十分伝わっているため、次の段階に進んだのだろう。
身体全体を使って、いかに美しく表現していくのかを追求するようになっている。
これも、少しずつ基礎となる新しいスキルを身につけることで、準備を調えていたからに他ならない。
ただし、このレベルに至るまでには、かなりの精進が必要だったはずだ。
それでも、彼女たちはこれをやり遂げた。
グループに加入するまで、きちんとしたダンスレッスンなどを受けたことがなかったメンバーも含め、TAKAHIRO先生のもとで、プロとして、最短距離でスキルを向上させてきた結果が、今回のようなパフォーマンスとなった。
このような段階になって制作されたMVの監督が池田さんであったことも、彼女たちにとっては幸いであった。
池田監督は、以前から、演出を最小限にしながら、彼女たちの「現在」を映像に収めることに注力していた。
そのため、グループとして「次の段階」に進んだ彼女たちを正確に捉えることに成功している。
公演中止と音楽番組の辞退が続いてしまったことで、「摩擦係数」のパフォーマンスを披露する機会を逃していた。
アルバムをひっさげて展開する予定だった全国ツアーのことも伝えられないまま、悶々とした日々を過ごさざるを得なかった。
ファンの前で大々的に「特報」として告知したかったのだろうが、その願いは叶わなかった。
普通であれば、話題性を考えて、予定のタイミングに匹敵するようなイベントまで待つところなのだろうが、彼女たちは、それよりもファンに感謝の気持ちを伝え、ファンの皆さんに「ライブをたくさん控えている」ということを告知する方を選んだ。
この彼女たちの気持ちが、本当に嬉しい。
自分たちを応援し、支えてくれているファンを大切にしていこうとする気持ちは、ファンにもしっかりと伝わっているだろう。
彼女たちの「恩返し」を、これからもきっちりと受け止めていきたい。