見出し画像

ボルヴィック、国内販売終了。「水選び」でわかる、日本人の心と購買意識の変化とは?

長年、日本人に親しまれてきたフランスの軟水ミネラルウォーター・ボルヴィックの2020年末での販売終了が発表されました。その決定の背景には、東日本大震災やコロナ禍の影響による、日本人の心の変化と関連があると考えられます。

コロナが変える!?日本人のミネラルウォーター購買行動。

画像1

上記のグラフが示す通り、日本におけるミネラルウォーターの製造・販売は、東日本大震災が起こった2011年に需要が高まり、その数は跳ね上がり、その後も伸び続けています。しかし、輸入ミネラルウォーターは、リーマンショック前年の2007年を頂点に減少ないし横ばいが続き、需要が高まった2011年に伸びたものの、その後は減少・横ばいが続いています。

リーマンショックによる大不況、そして東日本大震災は、日本人の購買意識・行動を変容させました。

・品質が良いものを、堅実に、リースナブルに買いたいという意識。
・環境保護や社会貢献になるものを選びたいという意識。
・家族や友人、かけがえのない人との時間を大切にしたいという意識。

こんな生活者の意識が顕在化し、エコカー、省エネ家電、LED電球などが人気商品となり、「内食・中食」の消費が伸びました。オシャレでスタイリッシュだけれども、比較すれば安くはなく、ストーリーが見えにくい、輸入ミネラルウォーターが、選ばれる比率が下がって行ったと、言って良いのではないでしょうか?日本人は水を1本、買うのにも、その理由を深く求めるようになったのでしょう。

水は差別化が難しい商品です。軟水、中軟水、硬水などの違いがあるものの、産地で味が大きく変わるわけでもありません。そんな中、日本コカ・コーラはリーマンショック翌年の2009年より「い・ろ・は・す」(以下、いろはす)の製造・販売を開始。生活者マインドや、時代背景に見事にマッチし、後発ながら、今日、トップシェアを獲得しています。

環境にやさしい軽量ペットボトルを採用し、「選ぶ、飲む、しぼる それだけで世界を変える水」と、環境への配慮、貢献をアピールし、ラベルにも「日本の天然水」と表記し、生活者のマインドに応えて、差別化に成功しました。そのコンセプトは今も大きく変わっていません。

withコロナ、afterコロナの市場では、生活者が「オシャレ」より「共感」「堅実」を求める傾向がさらに高まっていくでしょう。

西城秀樹の影響!?「水を買う」習慣が日本に定着。

そもそも、水資源に恵まれ、蛇口を捻れば安全な飲料水を手に入れられる日本において、生活者がペットボトル入りのミネラルウォーターを買うようになったのは、1990年代になってから。規制緩和により、熱殺菌していない水をペットボトル容器で販売できるようになり、ハウス食品が「六甲のおいしい水」のプロモーションを、バーモンドカレーのCMキャラクターとして、ハウス食品と馴染み深い、西城秀樹さんを起用して展開しました。(後に「六甲のおいしい水」はハウス食品からアサヒ飲料へ売却)

サントリーは、独特の世界観、美少女+自然+大滝秀治さんの味わい深いナレーションで、「南アルプスの天然水」を展開。「ペットボトル入りミネラルウォーター」が一気にメジャーになりました。

それまで、1971年生まれの私が小学生時代に目にしたミネラルウォーターは、非常食の入れ替えのタイミングの終業式にカンパンと一緒に配られる「富士ミネラルウォーター」でした。

画像3

江戸時代は?戦前は?知られざる「日本エビアン」。

この富士ミネラルウォーター、日本最古のミネラルウォーター(1929年・昭和4年)で、戦前には「日本エビアン」の名前で販売していたとのこと。

画像4

本家フランスのエビアンは1826年、ヴィッテルは1857年、日本で言えば、江戸時代、葛飾北斎が活躍した化政文化の頃から、ボトル入りミネラルウォーターを製造していたとのこと!凄い歴史!

画像5

ちなみに私がはじめてエビアンを飲んだのは、中学生の時。往年の映画「慕情」のロケ地となった香港のレストランでした。

画像6

バブル時代のトレンド「エビアンホルダー」。

バブル末期には、茶色の皮革でつくられた「エビアンホルダー」がトレンドとなりました。ここに南アルプスの天然水がブラ下げられることは決して、ありませんでした!このころは、持ち歩くにはエビアン、ボルヴィック、ヴィッテルなどの、フランスブランドが圧倒的にオシャレで人気だったのです。

画像7

ちなみに、2016年頃から、日本では、エビアンのボトルをペンケースにリメイクするのが、人気だそうです。なぜ日本人は、エビアンをそんなにオシャレだと思うのでしょう??フランス人がみたら、笑っちゃうでしょうね。

「共感」が求められる、withコロナ、afterコロナ時代。

かつて、エビアンの販売はカルピスが担っていましたが、その後、伊藤園に移ることとなりました。ボルヴィックも他の飲料メーカーが扱うことになるかもしれませんが、何らかの手を打たなければ、大きな伸長は難しいでしょう。withコロナ、afterコロナの時代では、世界市民が製品に「堅実」「共感」「ストーリー」を求めると思います。需要が伸びる中で、今後、各社はどんな展開をしていくのでしょうか?

画像8

ちなみに、私が今飲んでいるミネラルウォーターは「財宝」。商品名が一般名詞なのは、どうか?とも思いますが、東京ドームのスコアボード横の看板、「何だろう?」と思わせて、検索させる手法に感嘆してしまいました。(笑)

画像9

#ボルヴィック #ミネラルウォーター #エビアン #アフターコロナ #withコロナ #いろはす #環境 #リサイクル #マーケティング #CM #広告 #ペットボトル #eco #新型コロナ #財宝 #日本人


●参考Webサイト、資料出典

●参考Webサイト、画像出典

●参考Webサイト

●画像出典
https://ima.goo.ne.jp/column/article/7047.html



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?