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小さなお店があちこちで生まれている今、思うこと


2月に物件を見つけ、物件取得に向けて動いてきた半年。
間もなく店舗が完成する。
9月にグランドオープンする店舗はベーグルとスコーンのお店。
週に2日の営業で、いずれはwsも行える、そんな場所にしたいと思っている。

一昨日、オーブンの代理店さんと現場確認
昨日は設計士さんと現場打ち合わせ、取材対応。
工務店さんによる現場作業も終盤となってきており、いよいよ来週、オーブンが入る。その後保健所の立ち会い審査だ。

ふとリアルとSNSで周りを見回すと、意外と新しいことをスタートしている方が多いことに気づく。同じように小さなパン屋やカフェを開業しようとしている方や、ネットショップを始めている方。業種は様々。やり方も多様だ。

おそらく今、開店目前になっている方達の中には、同じようなスケジュール感で動いていた人もいるのかもしれない。
私の場合はどうだったのかを、今改めて記録しておこうと思う。

出会うべき時に出会いはある

ちょうどコロナから一年が経った頃、今年の2月下旬に今の物件と出会った。
コロナまではベーグル屋の他にイベントと教室とまかないと。パラレルに働くことへのやり甲斐も感じ、何より教室の軸足を強めたいと思っていた。
そんな矢先にコロナにより、予定していた外部講座も自宅教室も、全て中止することになった。
一方で、5月の緊急事態宣言で営業を自粛した後、6月から再開したベーグルやスコーンの販売は、買いに来てくださる方が増え、週に一度の営業を待ち侘びて下さっていることが肌身で感じられた。

今できることはこれなんだな。
ベーグルをやり切りたい。

そう思った時に、目の前に空き物件が現れた。

実は初めて店舗物件を内見したのは6年前。
その時は、夫から「時期尚早」と一蹴された。
5年間のシェアキッチン販売を経て挑戦した今回の夫プレゼンのテーマは「10年後も飲食を仕事として続けていたい」というもの。
体力的にベーグル屋を10年続けられるかはわからないけれど、10年後も飲食の世界で働き続けるために、今ベーグル屋をやりたいと。

このプレゼンを夫は跳ね除けることをしなかった。
逆に、ふわふわと「お店がやりたい」と話す嫁を止めてくれた数年前の夫、ありがとう、と今思う。

はじめの2ヶ月は大きく3つの軸を追う

夫からの認可がおり、3月4月は、3つの軸、物件、機材、資金について並行して調べた。
「これを選ぶと、資金はどうか」
「資金がこのくらいだと、どういう設備が選べるのか」
それぞれの角度から仮説検証。
そして、可能かどうか事業計画書を何度も書き直した。

物件、内装、機材にどのくらい費用がかかりそうか。
自己資金以外の資金はどう準備するか。
機材を扱う業者さんや工務店さん、設計士さんへ相談した。

テストベイクというシステム

並行して、要となるオーブンを決めるため、テストベイクとして各社を回った。
業務用オーブンメーカーは、生地や材料を持ち込み、試し焼きさせてもらえるシステムを取っているところが多い。
私も3月〜4月の間に、4社5回のテストをさせてもらった。
家庭用オーブンはいちかばちかで買うしかないが、業務用オーブンは機械の説明を受けながら試し焼ができる。高額かつ営業の要となるので、ありがたいシステムだ。
将来的にパンやお菓子の店を持とうとしている方は、時間があるうちに1日も早くテストベイクをしておくことをお勧めする。
各オーブンで値段も特徴も焼き上がりの味も全く違う。自分はどんな店をやろうとしているのかも、テストと同時に明確になってくる。
私は焼き上がりの香りをより良く感じたオーブンを選んだ。
選べなかったオーブンも、担当の方はどなたもプロで、本当に勉強になった。
選んだオーブンと仲良くなれるまで、しばらくかかるかもしれないけれど、新しい自分のベーグルに会えると思うと、今からワクワクが止まらない。

さてその後は?

様々な方に相談する中、自己資金だけでは厳しいことがわかった。
スケルトン物件を作り上げるには、やはりそこそこお金がかかる。
シェアキッチンを運営している株式会社タウンキッチンにも相談した上で、足を運びやすい地元商工会にも相談。
4月下旬、国庫から融資を受ける内定をもらった。

ここでわかったのは、5年という月日は無駄ではなく、記録し改善し、数字を記録してきたことはちゃんとお商売として認められることだったんだな、ということ。
遡ると、大学や会社員時代、タルト屋の立ち上げや、料理教室講師の経験。
これまでの全てのことが繋がっていたような気がした。

そして、5月と6月は以前のnoteに書いた通り。

7月に始まった工事は、8月に完了。
8月下旬からプレオープンとなりそうだ。

店舗開店までにかかった時間、私の場合

振り返ると、スケルトン物件を見つけて開店するまでに、半年という時間がかかった。
どこを歩いているのか分からず不安な気持ちにもなったけれど、私には、必要な時間だったんだろうなと改めて思う。
特に今回、将来の営業スタイル変更も考慮しながら、チーム戦で製造することを想定し、設計士さんに相談に乗ってもらったので、ある程度時間をかけざるを得なかった。

実際、飲食関連の専門雑誌の開業特集など見ても、開業までにかかる時間は数ヶ月〜1年と様々。
急ピッチで開店できている方は、業界経験が豊富でやることが明確な方や、将来的にもワンオペでやるという覚悟で開業されている場合が多いように思う。

途中、なんて仕事が遅いんだ自分、と落ち込むこともあったけれど、たくさんの方々に助けてもらいながら、私なりによく頑張ったんじゃないだろうか。
支えて下さった皆さんには、仕事で恩返ししたい。

小さいお店の静かなオープンラッシュ

冒頭に戻るが、最近リアルとSNS、周りを見回すと新しい小さいお店があちこちに生まれたり、生まれようとしていることに気が付いた。

コロナ生活になった2020年の2月から1年半。
私と同じようにさまざまな葛藤を経て、今現在開店準備に追われているお店も多いようで、そんな同志たちに、自分も勇気をもらっている。

その背景には、コロナ禍だからこそ行われている補助金や助成金、優遇措置の取られた融資なども大きな理由となっているのかもしれない。

最近はYouTubeなどで、補助金の概要解説を上げてくださっている方もいるので、興味のある方は調べてみて欲しい。
ただ、補助金は内容や実施期間など詳細が日々変わっている。最新の正しい情報は、商工会や創業支援している施設などの相談窓口に確認してみると良いと思う。
書類が苦手な方にもおすすめだ。
相談窓口は各地域によっても様々なので、各々で確認して欲しい。

最近オープンしている小さい粉物系店舗のオーナーは私と同じような女性も多く、家庭と仕事、そして自分の体力とのバランスを取るために、週2〜3回の営業スタイルを取るお店も増えている。
季節の食材や安心できる材料を取り入れた、丁寧で優しい味の商品を並べていて、店構えも個性的だ。

コロナ前。
国内旅行をしても街並みはどこも似てきていて
空港から市街地に向かう道路はチェーン店だらけ。
代わり映えのしない景色に危機感さえ覚えていたけれど、この未曾有の状況の中で、小さな雑草みたいに芽吹いている小さなお店が生まれている。

これまでの当たり前と違う形を取っているお店も少なくないけれど、いろんなバランスを取りながら、持続可能な形を探している。
街の皆様も、どうぞ温かく見守って欲しい。

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