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キリスト教思想の形成者たち パウロ1

目下、こちらの書物、本題に入りました。

7人のキリスト教思想家を紹介する内容となっています。
それは、以下の人選になっています。

  • パウロ

  • オリゲネス

  • アウグスティヌス

  • トマス・アクィナス

  • マルティン・ルター

  • フリードリヒ・シュライエルマッハー

  • カール・バルト

まずは「パウロ」から、本書の順番どおり、はじめたいと思います。
「1.キリスト教徒とユダヤ教徒の間で最も争点となる人物」
これが本書の、本来の本題です。
本書15ページから20ページまでが、それに割かれています。
以下、引用をしながら、少しづつ紹介してゆきたいと思います。

最初に一つだけ言っておくべきことは、パウロこそ、ユダヤ教徒とキリスト教徒との間で議論の最大の争点となる人物だということである。今日にいたるまでそうなのだ。多くのユダヤ人にとって、このラビ的教養を身につけた男は、ユダヤ教に対する背教者そのものでありつづけている。一方キリスト教徒にとっては、かれは「使徒」そのものである。(※カトリックにおいて)彼はペトロと並んで理屈抜きに「使徒」と呼んでも意味が通じる存在である。(しばし両者は、唯一の教会の二人の守護者と呼ばれることがある)。それは、この二人のライバルの祝日が、ローマの教会歴で毎年同じ6月29日に一緒に祝われるからどうだけでは必ずしもない。

『キリスト教思想の形成者たち』より引用

わたし個人の話になって恐縮ですが、自分は、キリスト教を、母方の大叔父がプロテスタントの宣教牧師であったことから知識的に興味を思春期の頃に覚えて、それから40代になって受洗をして、同じ「一神教」で隣接、かつ肉薄している「ユダヤ教」を少しづつ知り始めたのは、それから後の読書活動によるものなので、まだ10年も経ていません。
パウロ」と「ペテロ」が、カトリックでは同日に、それも二人とも一緒に祝われる教会歴を持っており…そこに最初は「驚き」を隠せませんでした。
キリストとの出会い方も違い、その働きにおいても異なる、別人の二人を同日に、同時に祝ってしまおうという…その根拠も何も分からなかったからです。(※これは今でも正しくは理解できていませんが...)
引き続き引用を続けます...。

パウロ‐議論の争点となる人物、それにして、彼は自分のユダヤ教的信仰を棄てたと言えるだろうか。これはユダヤ人に対する問いである。またパウロはナザレのイエスを本当に正しく理解しているだろうか。イエスとは違った何ものかを作り出してはしまったのではないだろうか。これはキリスト教徒に対する問いである。

『キリスト教思想の形成者たち』より引用

本書では、このあとフリードリヒ・ニーチェの『アンチクリスト』が紹介され、ニーチェの発言として「パウロをキリスト教の本来的な創始者」としている点や、ひところのキリスト教神学たちによる「イエスに帰れ!「パウロ的キリスト教からの回心」を呼び掛ける潮流があったことなどにも触れている。
ここで本書に「パウロ年譜」が記載されているので、それをプリンタでスキャンしての、写真データ化しての貼り付けにて恐縮ではあるが、以下に貼り付けておきます。(※少し「斜め」になってしましました…スイマセン)

本書にあった「年表」より

引き続き、本文の引用に戻ります。

パウロの真正の書簡が、伝記にとっては優先的な地位を占める(年表参照)。これらの真正の書簡によって、後代のすべての資料が形成され、状況に合わせて訂正されなければならない。われわれは、彼自身の証言に基づいて、次のことは確かに受け入れることができる。パウロはベニヤミン族に属するユダヤ人家系の出身であり、生後8日でユダヤの伝統に従って割礼をうけ、その後も厳格なユダヤ的教育を受け、ファリサイ派に属していたということである。このことは、彼が律法およびヘブライ語聖書の解釈という教育を正式に受けたことを意味しており、それにはヘブライ語の知識も前提されている(おそらくアラム語も)。われわれはそれゆえ、若きパウロの姿を次のように思い浮かべなければならない。彼は、同時代のユダヤ教黙示思想から影響を受けた。思索的で深い情熱を持った厳格派のファリサイ人であり、律法と父祖の伝統を守ることに熱心な人間であった。おそらく彼はイエスとほぼ同時代に生まれたが、ヘレニズム的環境で育った。そこではギリシア語は彼をとりまくごく普通の言語であり、パウロの母語であった。ただし、パウロの手紙が証言しているのはただ、彼にとってはギリシア語が主たる言語であり、当時のギリシア語学校教育に含まれる一般的な哲学的観念の知識と修辞学的能力の知識を持っていたということである。

『キリスト教思想の形成者たち』より引用

本日は「パウロ」に関する「第1節」なので、パウロなる人物の、客観的に言いうる「人となり」を著者は案内した…といった章立てでした。

文字数が、そろそろ私の理想としている2,000文字に達するので深追いはしませんが、画像データで貼り付けた、本書にあった「年表」は、パウロを理解する上で、かなり正確な情報を取りえて便利です。ぜひ、ご活用の程を。

次回は「パウロ 2」、正式なタイトルは「生の方向転換‐時代の方向転換」へ、書き進んでゆきたいと思っております。

それでは、またの機会に、お元気で。

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くり坊
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