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『信の効用』 解説 目次

ヨハネパウロ2世の使徒的書簡に『ヒッポのアウグスチヌス』というものがあります。

そのなかにある文章に、ふと目が留まりました。

彼はいつも信仰が語ることに耳を傾けましたが、現世的な秩序や重大性に関しては、それに優位性や独自性を与えて、しばしば理性を称揚しました。彼は皆に「理解するためには信じなさい」と言い、「信じるためには理解しないさ」とも言っています。
彼は、現代でも十分に通用する、理性の有用性について、
を書き…

『ヒッポのアウグスチヌス』より引用

上記の文章にある「一冊の書物」こそが、今回から紹介を始めたいと思っている『信の効用』という1冊です。この文章は『アウグスティヌス著作集 4巻 神学論集』に収録されております。

今回は、こちら『信の効用』の解説文が、アウグスティヌス著作集第4巻の383~386ページまで記載されておりますので、そちらを中心としながら、加えて、本書の「目次」も合わせて紹介しようとおもっております。

まずは、少し順不同にありますが「目次」を、以下、付記して参ります。


序 ホノラトゥスヘ
第1章 旧約聖書の問題
 第1節 僕たちの問題意識
 第2節 四種類の聖書解釈法
 第3節 歴史的意味と原因論的意味
 第4節 類比的意味
 第5節 比喩的意味
 第6節 書物を読む者の三つの誤謬
 第7節 著者の誤謬
 第8節 古典の正しい解釈者
第2章 真の宗教を求めて
 第1節 探求の方法と出発点
 第2節 過去の求道生活
 第3節 信から出発すべきこと
 第4節 理解、信、憶測
第3章 権威の区分ー正しい権威と不正な権威
 第1節 賢者選択のための道
 第2節 権威への信が先行すること
 第3節 受肉したキリストー真理の媒介者
 第4節 権威の手段-多数と奇跡
結語


続いて、本書(『アウグスティヌス著作集 第4巻』’の、訳者、解説文から、以下、引用しておきます。

アウグスティヌスが司教となったのは391年であるが、本書は司祭主任後最初に執筆した書物である。本書成立の事情は冒頭のホノラトゥスに宛てた「序」において明らかなように、かつて彼とともにマニ教に入った友人ホノラトゥスを、何とかして正統的キリスト教にひき戻そうという意図の下に本書は執筆されたのである。

『信の効用』解説より

いわゆる「ミラノ回心」後5年を経過して、司祭として教会の責任を負わなければならなくなったアウグスティヌスが改めて、かつての彼と行動を共にし、今なおマニ教に留まっているこの友人に対して正統的キリスト教に入るよう説き勧めたのが本書である。

『信の効用』解説より

本書にあらわれたアウグスティヌスの信仰論は、これを様々な視点から分析することが可能であるが、訳者は、次の4つに区分することができるように思う。①歴史的・社会的認識としての信、②宗教的共同体における信、③知性の前段階としての信仰、④精神的浄化としての信仰。もちろんアウグスティヌスはこれら4種類の信ならびに信仰(単純な「信」とは区別される、より高度なあり方を「信仰」とする)を明確に区分し、その間の関係を自覚しながら、議論を展開しているわけではない。しかし彼の所論の内容を分析すれば、一応上記のような区分をすることが可能であるし、また読者は上記のような構造を心得ておかなければならないと思う。

『信の効用』解説より

ここで、すこしばかり余談ですが、ちょうど「マニ教」についての読書を先月から進めている最中で…とは云っても、それは概説的な知識を身に着けるためのものに過ぎないのですが…

このアウグスティヌスによる『信の効用』にて、アウグスティヌス自身が、かつての友人に向けて、以前は自分も足を踏み込んだ、遠くササン朝ペルシャはバビロニアに端を発する異教である「マニ教」に、自らが「司祭」という立場にもなって、いかなる態度変容を遂げているか?の確認にもなるので、個人的には、興味のある1冊です。慎重に、読み進めたいと思います。

では、またの機会に、お元気で。

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