もう一つの「孤独のグルメ」で新年を▶︎チャーリー
あけましておめでとうございます。
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皆さん、今年の年末年始はどのように過ごされましたか?
ご存知のように年末年始のテレビ各局は特番を組んで普段とは違う番組が流れる訳ですが、ちょっと特殊なのはテレビ東京。
テレビ東京と言えば今やドラマ版「孤独のグルメ」が大人気。それでもこの年末年始はちょっと特殊でした。
大晦日の夜に大晦日スペシャルという90分の新作を放送するというのは、どこのテレビ局にもある事です。おかしいのは再放送。
12月30日は11時から14時30分までの3時間半。31日は5時から13時までの8時間。明けて元旦は6時30分から16時55分までの10時間半、「孤独のグルメ」の過去作の再放送をしていました。つまり、年末年始3日間のうちのほぼ1日「孤独のグルメ」を放送していた、松重豊氏が頬のこけた顔で「腹が減った」と呟いていたことになります。
1月10日から映画版のロードショーも(「午後ロー」ではなく映画館で)始まるとはいえ、ちょっとすごいなと思いました。
「サンドウィッチは銀座で」 平松洋子 (文藝春秋社)
自分は昭和40年生まれ。街角の喫茶店全盛の時代を経験してきました。DOUTORや、スターバックスとは違い、「喫茶店」とは個人経営でコーヒー、紅茶以外にピラフやケーキといった軽食を作って提供するお店。街にはそれぞれ個性のある喫茶店が沢山ありました。
大抵の喫茶店にはサンドウィッチがありました。玉子サンド、ハムサンド、ミックスサンド、カツサンド…。大抵塩の入ったガラスのシェーカー(塩振り)も一緒に出てきて、パラパラと少量の塩を振って食べました。
「サンドウィッチは…」は食文化の研究者でもあり、僕よりも少し年上の平松洋子さんが、表題の銀座でサンドウィッチを提供するお店のオーナーのこだわりや、サンドウィッチを求める客側の事情などを実際にそのお店でサンドウィッチ食べつつ紹介してくれる章があるかと思えば、ベルギービール専門店やビアホールでの泡の愉しみだったり、鰻はもちろん、どぜうを食べ、滋賀県まで行って熊も食べるという具合に、安いものから滅多に食べられないものまで、様々な料理とお店と、その魅力を紹介するというグルメ・エッセイです。
そして、他にもグルメ・エッセイは沢山あるにもかかわらずここで紹介した理由はこのエッセイの挿絵を担当しているのが谷口ジローだからです。
漫画「孤独グルメ」の作画を担当した漫画家 谷口ジロー(2017年没)です。
カラーではない、黒いペンの線とスクリーントーンを駆使して描かれた料理。紙面からジュゥッというソースが焦げた香り、鍋の湯気が上がってくるのを感じる気がするその臨場感。
しかも単なる挿絵だけでなく、回によっては店の様子や、平松さんに同行する編集者が料理を食す様子がコマ割りの漫画として載っている回もあります。
2011年刊行なので、「孤独のグルメ」から15年ほど経っていますが絵はそのまま。テレ東の「孤独のグルメ」も少し見ましたが、2025年の読了第1冊はこのもうひとつの「孤独のグルメ」でした。
皆さんも新年から読書会で本について語り合いませんか?
本年もよろしくお願いします。
▶︎チャーリー