狂おしいほどの…▶Yuning
「横浜読書会KURIBOOKS」の存在を知ってもらいたくて、
このブログを始めました。
ゆるく、長く、続けることが目標です。
こんにちは、Yuningです。よろしくお願いします。
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今日は、中山可穂さんの『感情教育』についてご紹介したい。
なんと22年ぶりに復刊された作品である。
中山可穂さんという作家を、私は知人から勧められるまで知らなかった。
その知人は私のアマチュア小説仲間で、私の書く文章を読んで「絶対に好きだと思うから読んでみて」と、この「感情教育」という小説を熱心に勧めてくれたのだ。
本作は2000年に講談社から出版された作品だったが、長らく絶版となっていたところ、なんとラッキーにも2022年に河出文庫より復刊される。それでなければ、私は西日本に住む彼女から本(2002年の講談社文庫版)を取り寄せなければならないところだった。
そしてその目に狂いはなく、最初の数ページで「あ、これ好き…」と思った私はあっという間に読み終えてしまう。そもそも1ページ目から「伊勢佐木町の繁華街にほど近いその産婦人科は…」と始まり、同じくその界隈で活動している横浜読書会としては、大変身近な舞台設定であった。
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この作品には二人の女性が登場する。那智と理緒である。共にそれぞれ過酷な生い立ちを背負った彼女たちは、運命の糸に引かれるようにして出会い、やがて宿命的な恋に落ちる。しかし那智にはすでに家庭があり、5歳になる娘がいた。これが苛烈の試練の始まりとなり、孤独な魂同士のぶつかり合いと共鳴の果てに、二人が選んだ道とは――。
…ああ、とても久し振りに「恋愛小説」といえるものを読んだなと私は感じた。例えるならば、それは、硬くて透き通った氷で飲むアイラウイスキーのような芳香であった。
そして、最初に出版された20年前ではなく、今のタイミングで読むことができてよかったと思った。遊び回っていた20代の私には伝わらなかったであろうほろ苦い人生の機微が、この作品の中にはたくさん散りばめられている。そして、パキっとした硬質で透明感のある文章とその深い抒情性の味わいに何度も唸らされた。
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もし、「今からでもこんな激しい恋をしたいか?」と聞かれれば、「いや、結構です。ご遠慮願いたい」と答えるだろう。アラフォーにはもはやそんな気力など残っていない(笑)。LAPHROAIG(ラフロイグ)を気取って飲んでいた時代はもう過ぎた。ウィスキーのロックどころか、最近はプーアル茶がお気に入りである。
でも、もう少し年を重ねたら、また違った読み方をするのかもしれない。
まるで5年、10年と熟成を重ねたプーアル茶がおいしくなるように…。
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そんな、読書という一生の趣味に、読書会という伴走者を。
皆さまのご参加をこころよりお待ちしております。
お相手は、Yuningでした!
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