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あんかけかた焼きそばが好きな理由▶︎チャーリー

横浜読書会KURIBOOKSの映画祭の司会を担当しています チャーリー です。

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「食」というのは小説の中でも取り上げられる事が多い要素だと思う。
池波正太郎という作家は食通としても知られていたが、その小説の中でもたびたび食に関するこだわりをのぞかせる。たぶん「鬼平犯科帳」の中の一編だったと思うのだが、「饂飩(うどん)」の歴史、鬼平のいた江戸時代のうどんについて語り、登場人物に熱々の天ぷらうどんを食べさせるシーンを書いていた。読んでいて、あれほど天ぷらうどんを今すぐ食べたいと思わせる文章は他になかった。

ところで僕は”あんかけかた焼きそば”が大好きだ。あんかけかた焼きそばとは、焼きそば麺を油で揚げてパリッとさせて、そこに大抵は海鮮の具を加えた野菜炒めを甘酢の効いたとろりとした「あん」でまとめたものがかけてあるものだ。
あんかけかた焼きそばはこの世で二番目に美味しいものだと思う。
ちなみに、三番目はそのあんの中で薄い衣があんに浸されることでちょっとふやけたイカだ。
もう少し言うと、四番目はあんの中で見え隠れする黒々としているキクラゲだ。

海鮮の具といえば、海老の方が上なんじゃないか?という人も多いだろう。まぁ海老も捨て難いのは確かだが、海老は器用だからあんかけかた焼きそばの皿の上の世界以外でも立派にやっていけるやつだと思うから、ここではちょっと遠慮してもらうことにした。
うずらのゆで卵もまた然り。あの計算された様な曲線の形状は他の皿の上でも充分に輝ける。

一方でちょっと違う理由で取り上げなかったものもある。
筍(たけのこ)なんてやつは、筍ご飯だとか、筍の天ぷらだとかでチヤホヤされるもんだから、ちょっといい気になっている。その高々と伸びた自慢げな穂先をちょっとへし折ってやらないとダメになってしまうから敢えてここでは言及しないことにした。
薄く切られたニンジンやカマボコ。彼らはどの皿からもちょっと具が少なくて淋しいという時にはお呼びがかかり、忙しくしている。そもそも彼らのような名脇役は上位なんて狙おうとは思わない。でも、ここぞという時には集団の中からスルスルと抜け出してきて、ちゃんと役割を果たす。

だが、しかし、だ。
やはりこの世で二番目に美味しいものはやはり、あんかけかた焼きそば なのだ。
そして一番は…、そう、一番は、かた焼きそばの、くるりと丸まって、そのしなやかな弧の部分が少し焦げて黒くなりかけた揚げ麺にあんが染み込んでホヨホヨホヨとなったところ、そこなのだ。

あぁ、食べたい。

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投稿者▶︎チャーリー

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