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暮瀬堂日記〜螢
横須賀で納品を終え、休憩を取る。
今日は腹が空いて居らず、五月雨も降続けているので、車で季寄せをめくっていた。講談社版日本大歳時記の基本季語をまとめたもので、袖珍本として重宝している。
仲夏の項では菖蒲・あやめ・杜若が気になったが、螢に目が止まった。
狩衣の袖のうら這ふ螢かな 蕪村
様々な例句が並んでいるが、永田耕衣の螢に邂逅した時はドキリとしたものだった。
死螢に照らしをかける螢かな 耕衣
何と淋しみに溢れていることか。いずれ斯様な句を為して見たいものである、と一句を戯れると、丁度出発の時間であった。
火袋でひと夜を明かす螢かな
(旧暦五月十九日 小暑の節気 温風至る候)