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暮瀬堂日記〜五月雨
ゆうべから降り続く雨は、朝になると雨脚を強め、ひねもす降り続いていた。
湿度は高かったが、梅雨寒となって前日より五度くらいも気温は下がったようだ。
横浜伊勢佐木町、横浜西口エリアで納品を済ませ、中村橋から磯子に出ると、一層大降りとなった。
海鳥も塒(ねぐら)に帰ったのか、係留される船だけがひたむきに雨に打たれていた。
ともづなをくゞる鷗や五月雨(さつきあめ)
五月雨や横浜磯子横須賀へ
そんな句を為しつつ横須賀に着くと、二時近くになっていた。
夕餉まで間が短いので、ランチの代わりに煎餅を食べながら、故郷最上川を思い返していた。
五月雨をあつめて早し最上川 芭蕉
まことに最上川は急流だが、この時期は尚のことである。川端に佇む俳聖の面影が目に浮かぶのだった。
(旧暦四月廾二日 芒種 腐草螢と為る候)