「月報こんとん」2023年11月号
栫伸太郎「窓の窓」
ある程度鱧になるのは仕方ない
x切片がやることかね
窓枠のかたちになって考える
おおきなまるにあっぱくされて昼ごはん
粉末の終わりの方に鴨を置く
誰が見ても柿というものだけ食べる
入れ替わり立ち替わり胃をだまらせる
切り口が夕日になって仕方ない
来年度予算がきっと満ちてくる
パスタソースになって立ち去る
今田健太郎「音がきて人がコーヒー」
音がきて人がくるその逆はない
もともとの甘いコーヒーに、もどせ
うつくしきあれどうしてよなんでなの
段ボール箱にだいたい入ってる
顔を見ている時 時がとまってる
1時間半かけ風を見せてやる
浅草の聖火で焦げているところ
目には目をアカカンガルー歯には歯を
ここまでの話はぜんぶ合言葉
倉木澤麻衣から澤を取るような
暮田真名「光化学もぐもぐ」
綺羅星のごとくに距離をとっている
操り糸を機体につけて
わしづかみしてもされても同じこと
よくできた泥人形を気取っちゃえ
ムーミンママをしぼりだせそう
クッキーカッターなど無用だわ
本人のおかもち性に任せます
鍵を忘れる態度を見せる
やすりで研いだまぼろしと言え
だれかさんみたいに雹じゃないからね
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